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アウステルリッツ 新装版
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アウステルリッツ 新装版
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商品レビュー
4.3
5件のお客様レビュー
《私》に向かって語らえる建築史家アウステルリッツの言葉。 文体の純度の高さ、その密度の高い言葉が語るヨーロッパ各地の建築や駅舎、要塞や収容所などの記録。それが建築史、ヨーロッパの歴史にまで広がる試みはフィクションでありながら、全てがフィクションとも言い切れない不思議な感覚を覚えた...
《私》に向かって語らえる建築史家アウステルリッツの言葉。 文体の純度の高さ、その密度の高い言葉が語るヨーロッパ各地の建築や駅舎、要塞や収容所などの記録。それが建築史、ヨーロッパの歴史にまで広がる試みはフィクションでありながら、全てがフィクションとも言い切れない不思議な感覚を覚えた。 だが、どうしても地理的な知識が薄いからなのだろうか、どうしても語られる言葉が滑り落ちていくような感覚を所々で感じてしまった。 好みのタイプの作品だろうと感じて手に取ったが、これはちょっと合わなかったんだろうな。 もしくは今の自分には合わなかっただけか。 いずれまた読み直したい作品。
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ゼーバルトの独特の空気感。匂いまで漂ってきそうなほど煮詰められてる感じがする。戦後ドイツ文学がどうあるべきかに真っ直ぐに向き合うということ。写真という記憶装置。 この本の世界にもう一度戻りたいと思う…それほど懐かしさを感じる。
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①文体★★★★★ ②読後余韻★★★★★ アウステルリッツというタイトルは三帝会戦を思わせますが、登場人物の名前です。アウステルリッツは建築史の研究者として、駅舎や裁判所、要塞都市、病院や監獄などに興味をひかれ、文献をあたり、また実際にその場を訪れ記録をする人物です。語り手であ...
①文体★★★★★ ②読後余韻★★★★★ アウステルリッツというタイトルは三帝会戦を思わせますが、登場人物の名前です。アウステルリッツは建築史の研究者として、駅舎や裁判所、要塞都市、病院や監獄などに興味をひかれ、文献をあたり、また実際にその場を訪れ記録をする人物です。語り手である「私」は、そんな彼と出会い、彼の聞き手として、文章を綴ります。 アウステルリッツはおのれの出自をたどろうと、ヨーロッパの諸都市を旅します。それはユダヤ人として迫害を受けた両親をたどるまでにつながり、暴力、そして権力による歴史を目の当たりにすることになります。 彼が訪れた様々な建築物、聴こえない声に耳をすませるアウステルリッツの博識から語られる歴史、そして彼自身の過去を支える文章は、抑制のある静謐なものです。それらの記憶が都市や建造物、廃墟に寄せられ、内部へと反響するかのように感じます。 段落も章分けもない語り口。文章とあわせところどころ挟みこまれたモノクロの写真。膨大な知識と思索がぎっしり詰め込まれた密度の高い文章には「~とアウステルリッツは語った」というフレーズが不自然なまでに挿入され、読み手にあるひっかかりを与えながら過去から現在に私たち読者を引き戻します。 いったいどこまでが本当のことで、どこからがフィクションか曖昧で、小説なのか、それとも散文としてとらえていいのかよくわかりません。そしていったいなんのことであるのであろうか、と思わせるほど、読んだ片端から文字が流水で洗われるかのようにかき消えていく感覚にもなります。それがこの本を幾度も手にする理由になっています。
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