アウステルリッツ 新装版 の商品レビュー
ゼーバルトの独特の空気感。匂いまで漂ってきそうなほど煮詰められてる感じがする。戦後ドイツ文学がどうあるべきかに真っ直ぐに向き合うということ。写真という記憶装置。 この本の世界にもう一度戻りたいと思う…それほど懐かしさを感じる。
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①文体★★★★★ ②読後余韻★★★★★ アウステルリッツというタイトルは三帝会戦を思わせますが、登場人物の名前です。アウステルリッツは建築史の研究者として、駅舎や裁判所、要塞都市、病院や監獄などに興味をひかれ、文献をあたり、また実際にその場を訪れ記録をする人物です。語り手であ...
①文体★★★★★ ②読後余韻★★★★★ アウステルリッツというタイトルは三帝会戦を思わせますが、登場人物の名前です。アウステルリッツは建築史の研究者として、駅舎や裁判所、要塞都市、病院や監獄などに興味をひかれ、文献をあたり、また実際にその場を訪れ記録をする人物です。語り手である「私」は、そんな彼と出会い、彼の聞き手として、文章を綴ります。 アウステルリッツはおのれの出自をたどろうと、ヨーロッパの諸都市を旅します。それはユダヤ人として迫害を受けた両親をたどるまでにつながり、暴力、そして権力による歴史を目の当たりにすることになります。 彼が訪れた様々な建築物、聴こえない声に耳をすませるアウステルリッツの博識から語られる歴史、そして彼自身の過去を支える文章は、抑制のある静謐なものです。それらの記憶が都市や建造物、廃墟に寄せられ、内部へと反響するかのように感じます。 段落も章分けもない語り口。文章とあわせところどころ挟みこまれたモノクロの写真。膨大な知識と思索がぎっしり詰め込まれた密度の高い文章には「~とアウステルリッツは語った」というフレーズが不自然なまでに挿入され、読み手にあるひっかかりを与えながら過去から現在に私たち読者を引き戻します。 いったいどこまでが本当のことで、どこからがフィクションか曖昧で、小説なのか、それとも散文としてとらえていいのかよくわかりません。そしていったいなんのことであるのであろうか、と思わせるほど、読んだ片端から文字が流水で洗われるかのようにかき消えていく感覚にもなります。それがこの本を幾度も手にする理由になっています。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
私(語り手)はアントワープの中央駅待合室で建築家のアウステルリッツにふと声をかける。彼は駅の歴史から始まってつらつらと様々な建築の歴史を、果ては自分の生い立ち、イギリスでの学校での出来事、蘇った記憶、ユダヤ人としての出自、両親との別離と捜索、人との出会いと別れを、私(語り手)に会うたびにとめどなく語っていく。 アウステルリッツの語りはあちらこちらへと移り、思考は分岐する河のように流れ、イラストではなく写真が載せられていることもあり、実在人物から話を聞いているように読みました。 意外な写真の効果を再認識しました。真実と思わせる力。いやーすごい。
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読み終わってない。興味深い内容だし、文体も素敵なのだが、はいってこない。なぜなんだ。 しばらくフィットしないかも
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