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3.8
7件のお客様レビュー
農学者による米の歴史の本です。 本書では日本史を大まかに6つの時代に分け、それらの時代の、米に関係する農業、土木、食文化などを取り上げています。 「歴史をひもとき、物語を構築するのは歴史学者の仕事で、わたしの仕事ではないからだ。わたしがやりたかったことは、その歴史を通史として描き...
農学者による米の歴史の本です。 本書では日本史を大まかに6つの時代に分け、それらの時代の、米に関係する農業、土木、食文化などを取り上げています。 「歴史をひもとき、物語を構築するのは歴史学者の仕事で、わたしの仕事ではないからだ。わたしがやりたかったことは、その歴史を通史として描き出すことではなく、むしろ時代を重ねそれを重層的にながめることによっていまの米食や稲作が何であったかを描き出すことである」(p.282) この引用のとおり、歴史を軸にしてはいるものの、歴史そのものを語ろうという本ではありません。 農学者だけあって、理科の話が豊富なのが良いところです。例えば次の箇所。 「イネの品種は栽培される緯度ごとに違ってくる。イネの開花期が緯度に応じて異なる日長時間(昼間の長さ)によって変わってくるためだ。気温なのではない。」(p.264) 私は旅行が好きなのですが、日本各地を旅するごとに、「この辺は田植えが遅いな」「もう稲刈りやってるのか」といった稲作の時期の比較をしがちです。 でも、稲の開花は一夜にして終わるので、開花期を比較しようと思ったことはありません。 なので、上の引用のような指摘は目から鱗でした。 日長時間で開花期が異なるというメカニズムは中学生で習うことなのに、恥ずかしながら案外思い至らないものです。 食文化の話では、すしの進化系統樹(p.122)が印象に残っています。 「すぐに腐ってしまう魚のタンパク質を、乳酸菌によって発酵させることで保存するという超絶技法」(p.120)としてのすしから発展して、今のにぎりずしに至っているというのは、意外なような納得なような。 米価高騰がニュースとなる昨今ですが、これはある意味、有史以前からの日本人の米食への強い愛着がリバイバルした事例なのかもしれません。 日本人が「米が高いならパンを食べればいいじゃない」とか言い出したら、ちょっと悲しいですからね。
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「モチはウルチに対して劣性になる」なんですって。 モチ米は意図的に育てないとウルチ米になってしまうってことですね。 意図的な選別の結果ですね。 https://seisenudoku.seesaa.net/article/483352110.html
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日本人にとって特別な食・コメ。稲はどこから日本列島に伝来し、どのように日本に普及したのかなど、稲作の起源を解説します。各時代の中でどのように米が作られ、そして水路建設するほど水利に力を入れ、お酒や和菓子づくりなど米食文化が花開いた近世時代を紹介します。さらに、戦国時代、明治の富国...
日本人にとって特別な食・コメ。稲はどこから日本列島に伝来し、どのように日本に普及したのかなど、稲作の起源を解説します。各時代の中でどのように米が作られ、そして水路建設するほど水利に力を入れ、お酒や和菓子づくりなど米食文化が花開いた近世時代を紹介します。さらに、戦国時代、明治の富国強兵、そして、先のアジア・太平洋戦争を支えた米と兵站・ロジスティックの相関も考察します。農学や文化の視点を交えながら「米食悲願民族」日本人の歴史を解き明かします。最後に、日本の少子高齢化と低成長、あるいは社会の縮小を前提としたときに、「地球環境」の視点で、持続可能な社会のために「米と魚(淡水魚)」のシステムこそが日本の持続可能なシステムであることは、歴史が如実に物語っているとまとめます。
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