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友だち 新潮クレスト・ブックス

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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2020/01/30 |
JAN | 9784105901639 |
関連ワード | シーグリッド・ヌーネス / 村松潔 / 外国の小説 |
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友だち
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商品レビュー
3.7
18件のお客様レビュー
思っていたよりも犬ではなく人間との対話の話だった フィクションのような私小説のようなテンションで続く作品 翻訳されたものがなかなか読みにくい文章になっていたりして、一文を何度も読み直すことがいくつもあった ちょっとしんどかった めげずにどんどん海外小説を読んでいきたい
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『友だち』は、人生の終盤を迎えた語り手による、深遠な思索に満ちた随筆的小説だ。作者は「オートフィクションではない」と明言しているものの、作者自身の思考と重なり合う語り手を通して、自死した師であり親密だった友人との対話や、その友人が遺した大型犬グレートデンとの生活を軸に、文学や映画...
『友だち』は、人生の終盤を迎えた語り手による、深遠な思索に満ちた随筆的小説だ。作者は「オートフィクションではない」と明言しているものの、作者自身の思考と重なり合う語り手を通して、自死した師であり親密だった友人との対話や、その友人が遺した大型犬グレートデンとの生活を軸に、文学や映画を引用しながら、喪失、孤独、友情、痛み、愛などを文学的に探っていく。 作者は、生粋のニューヨーカーでとても遅咲きの作家である。大学卒業後は「英語圏で最高峰の知的文芸誌」といわれる『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』誌で編集アシスタントを勤めた。また、『反解釈』『他者の苦痛へのまなざし』などの鋭い批評で世を風靡したスーザン・ソンタグと一時期共に暮らし、良き師と認めているように、後年その伝記『Sempre Susan』(未訳、2021年)を表し、本作にもその影響が感じられる。その後、雑誌に寄稿しながら、コロンビア大学などで文学とライティングを教え、1995年44歳のときに自伝的な作品『神の息に吹かれる羽根』(水声社)でデビューした。小説は高く評価されたが、商業的にはふるわず、2018年に67歳で発表した本作で全米図書賞を受賞するまで、執筆で生計を立てることはできなかったという。 本作ではこの作家としての苦闘の経験や、長年文学教育に携わってきた作者ならではの視点で、商業的成功を追い求める文学界の現状や、SNS時代の表層的な読書体験の蔓延に対する批判的な考察も展開される。文学とは何か、なぜ我々は物語を必要とするのか、そうした根源的問いかけが、作品全体を通底している。 人身売買の被害者たちへワークショップを行ったくだりがとくに印象的だ。女性たちの書く作品は、「いつもだれかがたたかれ、だれかが痛めつけられていた。いつもだれかが奴隷みたいに、物みたいに扱われていた」。また、次の章では大好きな作家の作品を読み返すなかで、見過ごしていた「女性に対する敵愾心」を発見し、作者に嫌悪を覚える。ある経験を通して、いままで見えていなかった物事に気づき、二度と以前のような見方ができなくなることがある。特権を得てきた者たちのとくに父権的な世界観に、いつのまにか取り込まれていたことを示す場面がたびたび挟まれ、わたしはそこに作者の意図を大いに感じた。 これらの深い考察を積み重ねながら、後半で読者を驚かせる構造がこの作品の小説としての最大の妙味だろう。その詳細は読み手それぞれの発見にゆだねるが、この仕掛けによって、喪失感こそが自我の中核であることや、種を超えた「友だち」の存在意義を浮き彫りにし、喪失と孤独を抱えながらも<守りあい、境界を接し、挨拶を交わしあうふたつの孤独>を認め、互いに寄り添う共感と思いやりの価値を力強く謳う作品へと昇華するのではないか。 作中では、ヴァージニア・ウルフやリルケなど、他にも作者が影響を受けた作家や作品への言及が散りばめられ、ちょっとした読書や映画案内にもなっている。流れるように思考が連なり、一見取り留めのない内的独白のようだが、緻密に組み立てられた表現は、ウルフらが駆使した意識の流れの手法と、書くことをあきらめず、時代と文学に真摯に向き合ってきた作者ならではの、現代的な感性を融合させた独自のスタイルといえるだろう。 本作と次作『ザ・ルーム・ネクスト・ドア(原題:What Are You Going Through/あなたはどんな思いをしているの?)』(2020年)、そして最新作『The Vulnerables(こわれやすいものたち)』(未訳、2023年)は、一種の三部作で、作者本人であるかのような名前のない語り手が、さまざまな喪失や痛みに出会い、考察し、寄り添う作品となっているようだ。本作と『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』は、ともに2024年に映画化され、後者はベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞している。これらすべての作品が、日本でも翻訳、公開されることを願ってやまない。
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恋人ではないが大切な友だちである作家の男が自殺した。同じく作家である私は喪失のただ中に落とされ内省に沈む。男の妻からは、男の飼っていたグレートデンを引き取るよう頼まれ、「やさしい巨人」である犬との生活がはじまった。初老の女性作家と犬が、互いに孤独をもちよって男の不在をみつめる。 ...
恋人ではないが大切な友だちである作家の男が自殺した。同じく作家である私は喪失のただ中に落とされ内省に沈む。男の妻からは、男の飼っていたグレートデンを引き取るよう頼まれ、「やさしい巨人」である犬との生活がはじまった。初老の女性作家と犬が、互いに孤独をもちよって男の不在をみつめる。 文学について、死について、愛について、物言わぬ動物(特に犬)についての考察が豊かで、どこを切りとって読んでもいいような、思考の漂いともいうべき作品だった。文学や映画からの引用も豊富で、言葉を大切にする作家さんだなという印象をもった。 とりわけ書くことの限界や可能性について、友だちの男性作家(実は死んでいなかったのか?)と対話している部分は、ひとつの文学論ともなっていて、この作品をただならぬものにしている。
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