1,800円以上の注文で送料無料

「きめ方」の論理 社会的決定理論への招待 ちくま学芸文庫
  • 新品
  • 書籍
  • 文庫

「きめ方」の論理 社会的決定理論への招待 ちくま学芸文庫

佐伯胖(著者)

追加する に追加する

「きめ方」の論理 社会的決定理論への招待 ちくま学芸文庫

1,430

獲得ポイント13P

在庫あり

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2018/08/01
JAN 9784480098764

「きめ方」の論理

¥1,430

商品レビュー

3.8

9件のお客様レビュー

レビューを投稿

2024/07/23

第1章の投票方式だけでも読み応えある。 各投票者が各選択肢に対する好みの順番を付けた場合に、各選択肢の総当たりや逐次勝ち抜きを行う多数決方式は、多数決を行う順番で結果が変わる場合があり、その発生確率は選択肢が3つの場合9%、5つの場合25%、10個の場合49%になる。 選択肢...

第1章の投票方式だけでも読み応えある。 各投票者が各選択肢に対する好みの順番を付けた場合に、各選択肢の総当たりや逐次勝ち抜きを行う多数決方式は、多数決を行う順番で結果が変わる場合があり、その発生確率は選択肢が3つの場合9%、5つの場合25%、10個の場合49%になる。 選択肢の中から一つだけを選んで記入する単記投票方式は、選択肢が多いほど多数決方式の結果と一致する確率が低くなる。また、最悪のものを選んだ結果と一致することがあり、不合理性が明らかなものと考えられている。 上位二者決選投票方式では、単記投票方式よりも多数決方式の結果と一致する確率が高くなるが、やはり選択肢が多いほど多数決方式の結果と一致する確率が低くなる。また、最悪のものを選んだ結果と一致することもある。 各投票者が複数の選択肢を無制限に選ぶ認定投票方式は、必ず多数決勝者を選出することが証明されている。また、同系競合による相殺を防ぐことができる。最適集団、部分集合を類別する考え方であり、委員や議員の選出などに適している。 各投票者が、決められた数の選択肢を選ぶ固定数記名投票方式の場合は、選択肢数の半数を選ぶようにすると、多数決勝者を選出する確率が最大になる。 固定数記名投票を2回行う二段階複紀投票方式は、1回目の投票で選択肢数の半数を選び、2回目に上位二者の決選投票を行うのが最適である。単記投票による上位二者決選投票方式よりも、多数決勝者を選出する確率がかなり上昇する。 各投票者が各選択肢に付けた順位に評点を与えて合計する順位評点法は、多数決勝者を選出する確率が高く、選択肢数の影響を受けない。しかし、選択肢の変化によって結果が変わることがある。多数にとって好ましく、難点のないものを選ぶ場合に適している。

Posted by ブクログ

2024/04/22

元々難解な概念を取り扱っているのだから仕方がないのだが、何ともわかりにくい。 結局、いくら数学的な表現を駆使して『決め方』を追求しても、結局は『正しい決め方』は個人の利害を超えた社会性とか倫理観に依拠するという身も蓋もない話になる。もっと実践的で白黒明解な決め方の正解を期待したの...

元々難解な概念を取り扱っているのだから仕方がないのだが、何ともわかりにくい。 結局、いくら数学的な表現を駆使して『決め方』を追求しても、結局は『正しい決め方』は個人の利害を超えた社会性とか倫理観に依拠するという身も蓋もない話になる。もっと実践的で白黒明解な決め方の正解を期待したのだが。 まぁそうであるからこそ、世界中で様々な選挙制度が採用されているのだろう。唯一絶対の『正しい決め方』が幻想である事だけは理解できた。

Posted by ブクログ

2023/05/04

意思決定理論に興味があり特に事前情報なく本書を手に取りましたが、文庫にしては恐ろしく中身の詰まった本でした。ここまで中身の濃い書籍は久しぶりで、しかも内容は簡単とは言えずかなり時間をかけてやっと読了しました。本書は「社会決定理論」ということで、ある集団のなかでの意思決定の方法やそ...

意思決定理論に興味があり特に事前情報なく本書を手に取りましたが、文庫にしては恐ろしく中身の詰まった本でした。ここまで中身の濃い書籍は久しぶりで、しかも内容は簡単とは言えずかなり時間をかけてやっと読了しました。本書は「社会決定理論」ということで、ある集団のなかでの意思決定の方法やその良し悪し、落とし穴などを、これでもかというくらいの情報量で解説しています。社会決定理論は、特に数学的な展開という意味ではミクロ経済学、厚生経済学、またゲーム理論(ミクロ経済の一部)など経済学者によって発展されてきた面が強く、本書でも、アローやセン、ハーサニのようなノーベル経済学賞受賞者の理論が多数紹介されています。 そのなかでもケネス・アローの「一般可能性定理」を本書の基底において議論が進められます。アローは、以下の民主主義の条件をすべて満たす意思決定方式は存在しない、ということを証明したのですが、具体的には(1)個人選好の無制約性、(2)市民の主権性・パレート最適性、(3)無関係対象からの独立性、(4)非独裁制、の4つです(公理と呼ばれています)。言い換えると、(1)~(3)を満たそうとすると、(4)が満たされず独裁者が生まれる、つまりある特定人物の選好が社会全体の意思決定結果になってしまう事態が起こる、ということを示しました。 またアマルティア・センは、アローの1番目と2番目の公理を満たす社会的決定理論を構築しようとすると、各人にはどんな自由も認められない(例:あおむけで寝るかうつ伏せで寝るかの自由もない)、という「自由のパラドクス」があることを示しました。このパラドクスに対して、センは「パレート最適」の持つ「毒性」に注目します。平たく言えば、みながみな自分の好みを「社会的議論」の土壌に載せてしまうことで、制約が厳しくなり効用レベルのかなり低いパレート最適ができあがってしまう、というような話です。 そして本書の主張は何かと言えば、これらのパラドクスが起こる根本原因として、人間を利己主義的存在としてみる見方を指摘しています。つまり議論の前提条件が間違っているということで、パレート最適という概念の危うさや、意思決定の「無関係対象からの独立性」という前提が完全に間違っていることを指摘し、これからの社会決定理論は、「社会の目」をもった人間による意思決定理論として進化させなければならない、ということです。私は著者の主張に強く共感しましたが、1点思ったのは、人間は「社会の目」をもつのと同時に「個人の目」も持っていると考える方が正しく、あまりに「社会の目」理論に偏ってしまうと、それは個人主義偏重と同様におかしなパラドクスを生み出すのではないかということです。社会の目を持った人間による意思決定では、ケインズが紹介した「美人コンテスト」のようなことが起こるかもしれません。つまり自分が誰を美人と思うかではなく、周りの人が誰を美人と思うかを予想して投票する、という意思決定です。あまりに社会の目を持ちすぎると、今風に言えば「忖度」が横行し、自分はこう思う、ではなく周りがどう思うかで意思表明してしまう人が増えてしまうかもしれない、という危惧は抱きました。

Posted by ブクログ

関連商品

同じジャンルのおすすめ商品

最近チェックした商品