1,800円以上の注文で送料無料

ギリシャ語の時間 韓国文学のオクリモノ
  • 新品
  • 書籍
  • 書籍
  • 1222-01-06

ギリシャ語の時間 韓国文学のオクリモノ

ハン・ガン(著者), 斎藤真理子(訳者)

追加する に追加する

ギリシャ語の時間 韓国文学のオクリモノ

1,980

獲得ポイント18P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 晶文社
発売年月日 2017/10/10
JAN 9784794969774

ギリシャ語の時間

¥1,980

商品レビュー

4

48件のお客様レビュー

レビューを投稿

2025/03/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「この本は、生きていくということに対する、私の最も明るい答え」。ハン・ガンはそう語る。なぜそう言えるのか? 端的に言えば、人間は完全に理解し合えなくても互いに存在を認め合うことで、間に<剣>が置かれて触れられない世界でも、なんとか生きていけるから…だろうか? だからハン・ガンは「『ギリシャ語の時間』はまだ終わっていない。この本の結末は、開かれている」、開かれている…と語っているのではないだろうか? この物語は、視覚を失っていく男と自ら口を閉ざす女、の両面から「断片的」に語られる(この断片的、はハン・ガン作品の特徴、特に『すべての、白いものたちの』では)。 断片的な表現により、読者を積極的に言葉の中に参加させ、通常の文章であれば難しい、立体的かつ心象的映像を読者の脳内に再現させている。 視覚を失っていく男は、いずれ全く視えなくなる恐怖のなかで、過去の映像を、そして現在の映像を、非常に大切にして生きている。そういう意味で、病による外的要因により「見えていない」のだが、それでも能動的に生きようとする。 一方で口を閉ざす女は、世界を拒否している。しかしこれは、実は<中動態>なのだ。彼女が「拒否する」のか、世界から「拒否される」のか、そのどちらでもない。彼女は口を閉ざしているのはなく、精神的暴力により閉ざされているともいえるし、そういう意味で、彼女は受動的になっている。 つまり、ある意味で対照的な二人。 冒頭、「我々の間に剣があったね」とボルヘスの墓標が書かれているが、世界と自分の間には、剣が置かれている。 「ときどき、不思議に感じませんか。私たちの体にまぶたと唇があることを。それが、ときには外から封じられたり、中から固く閉ざされたりするということを」

Posted by ブクログ

2025/03/30

「鼎談 ハン・ガンを読む 評者・井手俊作、きむふな、池澤夏樹」(「毎日新聞」2025/3/29) https://mainichi.jp/articles/20250329/ddm/015/070/023000c

Posted by ブクログ

2025/03/14

一読しただけでは理解が及ばず、ユリイカの特集を読み再読。でもやっぱり難しかった。 二人の主人公はそれぞれ、言葉を失い、視力を失いつつある。私には本の最後、二人の物理的な距離は重なり合ったものの、心の距離が縮まることがないのではと感じられた。ギリシャ語講師は言葉を失った女を理解しな...

一読しただけでは理解が及ばず、ユリイカの特集を読み再読。でもやっぱり難しかった。 二人の主人公はそれぞれ、言葉を失い、視力を失いつつある。私には本の最後、二人の物理的な距離は重なり合ったものの、心の距離が縮まることがないのではと感じられた。ギリシャ語講師は言葉を失った女を理解しないままだし、女はやっと言葉を取り戻したばかり。今後女が言葉を尽くしたとして、ギリシャ語講師は女を視力を失ったその目で見ようとするだろうか。私はそうは思わない。初恋の相手に綴った手紙のように想いが一方的で、簡単に過去を美化してしまうから。 どうしてこの物語がハン・ガンにとって「生きていくということに対する、私の最も明るい答え」なんだろう。

Posted by ブクログ