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エルサレムのアイヒマン 新版 悪の陳腐さについての報告
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エルサレムのアイヒマン 新版 悪の陳腐さについての報告

ハンナ・アーレント(著者), 大久保和郎(訳者)

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エルサレムのアイヒマン 新版 悪の陳腐さについての報告

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 みすず書房
発売年月日 2017/08/24
JAN 9784622086284

エルサレムのアイヒマン 新版

¥4,840

商品レビュー

4.4

17件のお客様レビュー

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2024/06/22

イスラエルの諜報機関である「モサド」によってアルゼンチンから連れてこられ、裁判を受けさせられて刑場の露と消えた男であるアドルフ・アイヒマンを哲学者であるハンナ・アーレントが書いた裁判傍聴記録です。 本書はアルゼンチンに潜伏していたところをイスラエルの諜報機関である「モサド...

イスラエルの諜報機関である「モサド」によってアルゼンチンから連れてこられ、裁判を受けさせられて刑場の露と消えた男であるアドルフ・アイヒマンを哲学者であるハンナ・アーレントが書いた裁判傍聴記録です。 本書はアルゼンチンに潜伏していたところをイスラエルの諜報機関である「モサド」によって拉致同然に連れてこられ、裁判を受けさせられて刑場の露と消えた男であるアドルフ・アイヒマンを哲学者であるハンナ・アーレントが書いた裁判傍聴記録です。 あまりにも有名でありながらも、有名なアイヒマンの言葉である 「私は書類に判子をついただけだ」 は余りにも重く、今の今まで読むことを躊躇していたわけですが、それを変えるきっかけになったのは再放送されていた『BS世界のドキュメンタリー「実録 アイヒマン裁判」』とハンナ・アーレントの生涯を描いた伝記映画『ハンナ・アーレント』を相次いで見たことからでした。 アーレントはアメリカの高級誌『ザ・ニューヨーカー』からの依頼でイスラエルにて行われ、後に『アイヒマン裁判』と呼ばれる歴史的裁判に立ち会い、そのルポルタージュであり後の本書の基なる連載をを発表するわけですが、その内容が 「アイヒマンを擁護している!」 とのことで「身内」であるはずのユダヤ系コミュニティーですら轟々たる批判を受け、彼女が孤立を深めていく姿が描かれるわけですが、本書の中で言及され、「悪」というものを考える上で国際的な「スタンダード」となりつつある 『悪の凡庸さ』 という概念について、アーレントは裁判の傍聴体験を基に考察を深めていくのです。 彼女の眼差しを通して浮かび上がる「稀代の犯罪者」の実像は、我々の隣にいる人間なのかもしれないということであり、実務的には有能で、己の職務に誇りを持って取り組み、その成果に責任と自信。そして所属意識を感じる。一見なんら落ち度はなく、むしろその賞賛され、おそらく現代社会を構築する大体の組織、社会文化や規範に照らし合わせてみても、「立派な社会人」「一人前の組織人」と見なされ、評価を受けることでしょう。 しかし、それが 「一つの民族を地球上から抹殺する」 方向に振り向けられると世界史上類を見ないほどの大量虐殺が生まれるのかと。その「事実」に文章を書いていて慄然とする思いがするのです。 アイヒマン本人は本書が指摘するように根っからの「悪人」ではなく、「凡庸な人間」が外部からの「力学」によって、または自らの「職業的良心」に忠実であろうとするが故に(規模は違えど)「悪」をなしえることが往々にしてある。本書は我々に強く訴えかける一冊であり、その「想い」は人の世が続く限り何度でも繰り返し、問われ続けることでしょう。 【追記】 本書は『エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告【新版】』(みすず書房)として2017年8月24日に用語を中心に大幅に手を加え、用字法なども今後の読者のために読みやすく書き換えた。関係年表も一新。四六判になって生まれ変わり、再販されました。

Posted by ブクログ

2024/05/22

「哲学者なのにレポートみたいだな」と思いましたが、雑誌ニューヨーカーの記事にするために書いたのでレポートみたいになるのは当然でした。  解説に詳しく書いていましたが、本編を読んでの感想と同じく、アイヒマンは頭は悪く、命令には従うけどその命令の意図や命令の結果どうなるか、といった思...

「哲学者なのにレポートみたいだな」と思いましたが、雑誌ニューヨーカーの記事にするために書いたのでレポートみたいになるのは当然でした。  解説に詳しく書いていましたが、本編を読んでの感想と同じく、アイヒマンは頭は悪く、命令には従うけどその命令の意図や命令の結果どうなるか、といった思考力や想像力は皆無で反ユダヤ主義はなく、特定の分野だけ有能だがそれ以外無能な凡人にすぎない、ということをアレンとは書いています。  学業成績は大したことなかったみたいで、従って(書いてませんが)大卒だらけの職場ではかなり学歴コンプレックスがあったみたいですね。  アレンとがこの本でめちゃめちゃ非難されたのは ①悪の権化であるはずのアイヒマンが単なる凡人だった→「アイヒマンはいい人だ」と言っているように捉えた人達が多くいた。 ②ユダヤ人団体がナチスに協力してその人達も犯罪者だ、と主張した(本の中ではそんなに出てこないけど書いてることは書いてる)。  SNSでも勘違いして発狂してぐちゃぐちゃ言う奴がいますが、今も昔も変わりませんね。  ところでアイヒマン(とそれ以外のナチスの連中)はエマニュエル・カントの定言命法を引用しました。  定言命法とは感情や欲望ではなく理性と普遍性に基づいた絶対的命令を自分に課すことが最も道徳的で正しいことなのですが、要するにアドルフ・ヒットラーの命令が感情や欲望ではなく理性と普遍性に基づいた絶対的に正しい命令としてそれを唯々諾々と遂行することが重要だと考えることで、これにより自らの愚かで残虐な行為を正当化して罪悪感を持たず、昼間はユダヤ人を虐殺して夜は家族サービスに徹する非人間的ナチス将校を作り上げたのです。作り上げたといっても当然SS如き死刑以外ないけどね。  従って今を生きる我々に重要なことは愚かな間違った命令には反逆する、従わない、逃げる、サボタージュする、大っぴらに公開して外の世界にさらけ出して外部勢力からも批判させることで、アイヒマンを反面教師にすることです。

Posted by ブクログ

2024/01/07

本書の存在を知ってから10年。辛うじて読了。内容は副題のとおり。社会の一員として、誰もがアイヒマンになりうる可能性を心に留めていきたいと思う。

Posted by ブクログ

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