商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 吉川弘文館 |
発売年月日 | 2017/07/01 |
JAN | 9784642083188 |
- 書籍
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牛車で行こう!
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牛車で行こう!
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商品レビュー
4.1
20件のお客様レビュー
本来難しい古典の世界の話題を牛車という題材でわかりやすく書かれており、なかなかおもしろかった。今回勧めれれなければ読むことがなかったものなので、人に勧めれれて読む本もいいなと実感した。
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初読。課題本。 平安時代の牛車に焦点を当てた珍しい研究で面白かった。古文、特に牛車というとかなり取っ付き難いイメージを抱くが、文章はとてもソフトでわかりやすい。 実用性を完全に度外視した権力誇示のための移動手段というイメージに反して機能的な側面もあったり、出不精のように思われる平...
初読。課題本。 平安時代の牛車に焦点を当てた珍しい研究で面白かった。古文、特に牛車というとかなり取っ付き難いイメージを抱くが、文章はとてもソフトでわかりやすい。 実用性を完全に度外視した権力誇示のための移動手段というイメージに反して機能的な側面もあったり、出不精のように思われる平安貴族が徒歩での移動を行ったりと平安時代の意外な一面を垣間見ることが出来た。 面白いなと思ったのは上座下座や同乗者、人給の車の話。現代でも車種や機能性で権力やブルジョワジーであることをアピールする人や、タクシーでさえも上座下座にこだわる(一番生存確率が低い場所が下座らしい)人などが居るけれど、平安時代も同じようなことが行われていたのは興味深い。読み物に出てくるだけで身分や意図が把握出来る程度には牛車の種類による印象が共通認識となっていたのも、この時代の常識を断片的に知ることが出来る。 ただ、私の平安時代に関する知識が浅いため役職とか関係性、京の位置関係はぶっちゃけ言うとよく分からなかった。これをインターネット無しで調査した松平定信は凄い。ちゃんと学習してから改めて読みたいなと思った作品。
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【概略】 中世の公家の移動手段であった輿、それ以前は牛車が活用されていた。現代の我々から見ると違いを感じられない、「どの牛車も一緒」な牛車だが、実は身分による装飾の違い、牛の違い、乗降のマナー等々、様々な違いがある。その違いから垣間見える様々な人間模様も、現代の人間模様に通じる...
【概略】 中世の公家の移動手段であった輿、それ以前は牛車が活用されていた。現代の我々から見ると違いを感じられない、「どの牛車も一緒」な牛車だが、実は身分による装飾の違い、牛の違い、乗降のマナー等々、様々な違いがある。その違いから垣間見える様々な人間模様も、現代の人間模様に通じるものがある。本書では牛車にまつわる様々なエピソードが語られている。 2023年03月24日 読了 【書評】 いやぁ~奥が深い。牛車一つでこんなに語られるとは。そして、時代は違えどツールは違えど、人間ってやること考えることってそんなに変わらないやんと思ってしまった。牛車は自動車、その自動車に対する見栄の張り方・使い方、上席・部下がいる場合の席の座り方 etc. 同じで微笑ましく思う。 皇室がトヨタ・センチュリーを使ったり、「いつかはクラウン」(古い)のような高級セダン、社用車で使われるような普通車、喜餅の愛車・ロードスターのような・・・まぁ、そんな尖った車は別としても、唐車・檳榔毛車(びろうげのくるま)・糸毛車・網代車といったグレードが存在していて。身分や官職によって乗る牛車が違うらしい。・・・ということは、人目を忍んだ形での逢瀬を楽しみたい場合は、レンタカーや友達の車、ならぬ違った種類の牛車を使ったりするという。また車を引っ張る牛も、グレードや飾りが違うそうな。現代でも、L型エンジン・2J・RB・SR・VR等々、名エンジンとされるものがある。壊れにくい・トルクが出る・軽い等々、それぞれ特性が違ったりする。牛もそうらしい。いやはや、面白い。「エアロパーツどうしようかな?」「インテリアを飾りたい」「エンジン載せ替えだ」「自分にとっては手が届かない高級車」「奥さんにバレるから車を使えない」といったやりとりを平安時代の人達もしていたかと思うと、ニヤニヤする。 この本を読んで2点、「おぉ」という点が。一つは牛車の乗降マナーで取り上げられていた木曽義仲の話。牛車は後ろから乗って前から降りるそうで。降りる時には牛を車から外した(車かけはずさせる)後に、前から出るという。それを木曽義仲は、後ろから乗って後ろから降りたそうな。「あれ?これって『鎌倉殿の13人』で取り上げられてなかったっけ?」と思いチェックしてみたよ。第14話「都の義仲」にあった!そして多分だけど、女性が乗ってるよってサインの「出衣」らしい装飾もあったり。どうやら平宗盛が京に残した車を使ったそうだけど、京の人達にとっては当たり前のマナーを、田舎者の義仲は知らない、その義仲を京の人達は笑うというね。いやぁ~別にこういったことを知らなくたって十分に鎌倉殿の13人を楽しむことはできるけれど、こういうことを知ってることで、知らない自分よりも一つ余分にニヤリできるよね。 もう一つは「松平定信」という人物。寛政の改革の松平定信ね。この寛政の改革しか知らなかった自身の無知よ。松平定信という人物、学問や文化に対する造詣が深く、なんと「輿車図考」などという図なども掲載された牛車研究の本まで出しているという。凄い人物なんだねぇ。しかもこの人、現代でいうところのネット用語のような漢字の使い方とかしちゃってるのよね。ほら「ネ申」とか「タヒね」とかあるじゃない?定信の定を「宇下」に、信を「人言」として「宇下人言(うげのひとこと:自叙伝・回顧録)」なんてものも記してるのだよね。なんともウィットに富んだ感覚もあるじゃないのよ。(勝手に「まんが日本の歴史」かなにかから)松平定信のイメージ(倹約ばかりでカタブツなイメージ)とは全然違う。面白いねぇ。 この書評を書くに至ってもなお檳榔毛車を「びろうげのくるま」とは読めなくて、何度となく確認しちゃうぐらい記憶力も低下してるし、細々とした事柄なんてスルーしちゃってるし、なによりも引用されている古文の原文箇所なんて、超絶斜め読みでスキップしちゃったけど、平安時代の人達も、令和の我々と思考回路は殆ど変わらないんだなぁと親近感を持った一冊だったね。 ロードスター的牛車は当時、あったのだろうか?調べてもらいたい(笑)
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