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このたびはとんだことで 桜庭一樹奇譚集 文春文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
| 発売年月日 | 2016/03/01 |
| JAN | 9784167905668 |
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このたびはとんだことで 桜庭一樹奇譚集
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このたびはとんだことで 桜庭一樹奇譚集
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商品レビュー
3.6
20件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
モコ&猫 触れたい、近づきたいとは思わず、ただ見つめていたい男の話。これを恋や愛と言っていいのかは分からないけれど、感情ってそんな単純なものじゃなくて矛盾を含んだものだよな〜と。 このたびはとんだことで 死後に妻と愛人の争いを見守る男の視点で進む。女の愛とは重いものです、と言わんばかり。 青年のための推理クラブ 誰が現実ではどんな人で、誰になりきっているのか掴むのに若干苦戦。違う人格として過ごす空間が少女たちには必要だったんだなと。 冬の牡丹 今回はこれが一番刺さった。 かつては父に一番に認められている自分を軸に生きてきた、現代的で慎重で"残念な"美しい女性。でも途中から風向きが変わって、結婚していない彼女は家族から下に見られるようになる。どう生きれば良かったのか自問自答する彼女の姿が苦しい。"世間"みたいなものから外れたお隣さんの居心地の良さ。 五月雨 吸血鬼と吸血鬼と戦う町の人間の話。桜庭先生あるあるだけど、島根とか鳥取って妖怪とか怪奇みたいな伝承が根強く残ってたりするのかな?とか思ったり。 赤い犬花 これも良かった。両親の離婚のために一時的に預けられたどこかも分からない田舎で、姉を自殺で亡くした少年と一緒に、姉の死の真相を求めて険しい山奥を目指す話。家へ戻る最後に急に現実に戻る感覚になるんだけど、困難を共にした少年とのある種特別な絆が描かれていて良かった。普通の友達とは違う、特殊な環境や状況でできた友達の感覚ってなんか分かる気がする。
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「モコ&猫」 恋心ではなくて。 抱いている気持ちに簡単に名前をつけられていれば、こんな複雑な想いを味わう事はなかったのだろうな。 「このたびはとんだことで」 ことんとなる度。 女の意地の張り合いのようになっているが、流石にやり過ぎなうえに最後には狂ってしまっていただろう。 「...
「モコ&猫」 恋心ではなくて。 抱いている気持ちに簡単に名前をつけられていれば、こんな複雑な想いを味わう事はなかったのだろうな。 「このたびはとんだことで」 ことんとなる度。 女の意地の張り合いのようになっているが、流石にやり過ぎなうえに最後には狂ってしまっていただろう。 「青年のための推理クラブ」 窓辺から見てた。 偶然が重なったとはいえメールが届いてなければ、大事になり問題になり大変なことになってただろうな。 「冬の牡丹」 自由に生きてる。 心配してくれるのは有り難いことかもしれないが、勝手に段取りを決めて逐一確認されたら無理だろうな。 「五月雨」 最期の一匹とは。 語られた話が本当のことだったとしたら、それは三十年近く前に出会ったものと同一人物だったのかもな。 「赤い犬花」 冒険をした日に。 こんな選択肢を選ばせてしまう前に、悲しみの中で気付いたのかもしれない感情を贈ればよかったのにな。
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奇譚集、と銘打っているだけあって何とも奇妙な感覚をもたらす短編集。ただ設定が異質なのは骨になった男が妻と不倫相手のやり取りを傍観する表題作と、夜のホテルでホテルマンが見た幻の話「五月雨」だけで、他は日常で有り得る話。しかし大学で一目惚れした相手をただ見つめるだけの話「モコ&...
奇譚集、と銘打っているだけあって何とも奇妙な感覚をもたらす短編集。ただ設定が異質なのは骨になった男が妻と不倫相手のやり取りを傍観する表題作と、夜のホテルでホテルマンが見た幻の話「五月雨」だけで、他は日常で有り得る話。しかし大学で一目惚れした相手をただ見つめるだけの話「モコ&猫」が、アパートの隣人との交流から己を振り返る「冬の牡丹」が、田舎での地元の子との冒険「赤い犬花」が予想外の歪さを見せてくる。映写機でのフィルムを見せられているような距離感から急に距離を詰めて揺さぶって来る語りがが桜庭さんらしい。「冬の牡丹」「赤い犬花」に漂うどうしようもない切なさが響いた。
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