このたびはとんだことで 桜庭一樹奇譚集 の商品レビュー
「モコ&猫」 恋心ではなくて。 抱いている気持ちに簡単に名前をつけられていれば、こんな複雑な想いを味わう事はなかったのだろうな。 「このたびはとんだことで」 ことんとなる度。 女の意地の張り合いのようになっているが、流石にやり過ぎなうえに最後には狂ってしまっていただろう。 「...
「モコ&猫」 恋心ではなくて。 抱いている気持ちに簡単に名前をつけられていれば、こんな複雑な想いを味わう事はなかったのだろうな。 「このたびはとんだことで」 ことんとなる度。 女の意地の張り合いのようになっているが、流石にやり過ぎなうえに最後には狂ってしまっていただろう。 「青年のための推理クラブ」 窓辺から見てた。 偶然が重なったとはいえメールが届いてなければ、大事になり問題になり大変なことになってただろうな。 「冬の牡丹」 自由に生きてる。 心配してくれるのは有り難いことかもしれないが、勝手に段取りを決めて逐一確認されたら無理だろうな。 「五月雨」 最期の一匹とは。 語られた話が本当のことだったとしたら、それは三十年近く前に出会ったものと同一人物だったのかもな。 「赤い犬花」 冒険をした日に。 こんな選択肢を選ばせてしまう前に、悲しみの中で気付いたのかもしれない感情を贈ればよかったのにな。
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奇譚集、と銘打っているだけあって何とも奇妙な感覚をもたらす短編集。ただ設定が異質なのは骨になった男が妻と不倫相手のやり取りを傍観する表題作と、夜のホテルでホテルマンが見た幻の話「五月雨」だけで、他は日常で有り得る話。しかし大学で一目惚れした相手をただ見つめるだけの話「モコ&...
奇譚集、と銘打っているだけあって何とも奇妙な感覚をもたらす短編集。ただ設定が異質なのは骨になった男が妻と不倫相手のやり取りを傍観する表題作と、夜のホテルでホテルマンが見た幻の話「五月雨」だけで、他は日常で有り得る話。しかし大学で一目惚れした相手をただ見つめるだけの話「モコ&猫」が、アパートの隣人との交流から己を振り返る「冬の牡丹」が、田舎での地元の子との冒険「赤い犬花」が予想外の歪さを見せてくる。映写機でのフィルムを見せられているような距離感から急に距離を詰めて揺さぶって来る語りがが桜庭さんらしい。「冬の牡丹」「赤い犬花」に漂うどうしようもない切なさが響いた。
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桜庭一樹さんの神秘的な世界観には 定期的に触れたくなる。 期待に違わず、ちょっとひやっとするようなお話が多くて満足した。 それぞれが独立したお話なので、読みやすい。 すぐに桜庭一樹さんの世界に入れた。 モコ&猫 冬の牡丹 が好きだった。
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【モコ&猫】 普通でない愛 【このたびはとんだことで】 男の骨壺を挟んだ妻と愛人 【青年のための推理クラブ】 と見せかけて? 【冬の牡丹】 残念美人のグダグダ 【五月雨】 吸血鬼もの 【赤い犬花】 少年が田舎で冒険
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心の中に、普段は目を背けているような影を持つ そんな登場人物たち。 苦い笑いを浮かべたくなるような そんな短編集
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
完全にノンシリーズで関連なしの短編集。解説にも同じ趣旨の話があったが、長編作品のある一部分を切り取ったかのような味のある作品が揃う。つまり、この続きを見てみたい、とか、彼らのその前の話を見てみたい、という感情が湧き出てくる。それだけ、各編の登場人物は濃く、その設定は魅力的である。「モコ&猫」の好きでいることの不思議な切なさ、「冬の牡丹」に見える漠然とした生き辛さは心に響いた。
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『このたびはとんだことで 桜庭一樹奇譚集』読了。 短編集でとても良かった。どれも読み終わった後に内容から疑問を投げかけられそれに対しいろいろ考えたな。特に「冬の牡丹」は未来図がみえてしまった。自分もこうなるだろうっていう。 2016.7.19(1回目)
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短編集。「モコ&猫」「冬の牡丹」が好きでした。男女の歪なようにも見える濃い関係を描かせるとピカイチな作家さんだなと改めて実感する作品集でした。
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2016年、9冊目はラノベ脱却期の『少女には向かない職業』以来、おそらく、十数年振りの、桜庭一樹。その短編集、6編収録。 モコ&猫:大学生時代の憧れと、恋愛の狭間のようなイビツな想いの回顧譚。いやぁ、自分が、いかにミステリ脳で読んでいたか、というコトを反省させられた。冒頭で気付...
2016年、9冊目はラノベ脱却期の『少女には向かない職業』以来、おそらく、十数年振りの、桜庭一樹。その短編集、6編収録。 モコ&猫:大学生時代の憧れと、恋愛の狭間のようなイビツな想いの回顧譚。いやぁ、自分が、いかにミステリ脳で読んでいたか、というコトを反省させられた。冒頭で気付かされて良かったよ。 このたびはとんだことで:表題作。既に別れた若い浮気相手と正妻の修羅場に居合わせる男の話。コレは展開の予想はつきました。しかし、大オチは上手いと唸ってしまった。 青春のための推理クラブ:ミステリ仕立て。そこで感じた違和感は、その後……。自分のような、桜庭一樹初心者と、フリークとでは感想異なるんだろうな。 冬の牡丹:30代、独身、彼氏なし、一人暮らし、派遣OLの物語。近しい人との疎外感と、思わぬ人との親近感。 五月雨:ホラー・テイスト。ややベタな題材ではある気もするが……。一方で、空気感をココだけガラリと変えるのは、さすが。 赤い犬花:少年の夏休みの1日の冒険譚。絡めてあるのは、二人それぞれが抱える、少し重たい現実。でも、ラストはホッコリ。 見事に6編、方向性の異なるモノを並べてきた。しかも、言葉の紡ぎ方が上手い。句読点、「っ」、「ー」を上手く使って、時にリアリティーを、時にリズムを演出。比喩や描写が実に内容、雰囲気にあった一工夫をしている。会話回しにもセンスが溢れている。 全体として、それぞれ、★★★☆☆~★★★★☆で、大ハズレはない。一方、今回は、今後出会うであろう長編への期待も込めて、少し辛め、★★★☆☆としました。
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桜庭一樹の魅力が凝縮された作品。 どこか空想的だけど地に足がついた現実的な物語が上手だなといつも思う。比喩表現も相変わらず美しい。
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