エンジェルフライト 国際霊柩送還士

佐々涼子【著】

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2012/11/24
• JAN: 9784087815139

商品レビュー

2024/10/22

国境を越えて遺体を家族のもとへ送り届けるのが国際霊柩送還士の仕事。日本初の専門会社で働く人々と遺族の取材を通して、筆者は人が人を弔うことの意味を書き綴っている。

佐々涼子さんの本『エンド　オブ　ライフ』を読ませていただき、こちらも気になって読ませていただきました。
ドラマでも、最近あることに気がつきました。米倉涼子さん、大好きな女優さんだけあって、かなりキャラクターがリンクされて良かったです。
海外で亡くなること、その時の対応やその後のケア、遺族への配慮にとても感動しました。
昔、観た『おくりびと』を思い出しました。
死後のあとのケア仕事は、敬遠されがちな職てはありますが、こういう仕事があって、亡くなった人たちが安心して天国へ行けるのでは無いかと思います。

2024/09/30

生きなさい。ふり返っていのちを無駄にしたと後悔しないように。
生きなさい。してきたことを悔やみ、別の生き方を望むことのないように。
正直で、じゅうぶんな人生を生きなさい。
生きなさい。
エリザベス　キュプラー　ロス
人生は廻る輪のように　

都市で暮らしていると、死が隔離され、忌避される。しかし、死を意識せずに本当の生を全うする事ができるだろうか。メメントモリ。死は周りに溢れている、直視せよ。

2024/09/25

骨太の内容。海外で亡くなった日本人はどうやって日本に戻ってくるのか？また、日本で亡くなった外国人はどうやって祖国へ戻るのか？全くかかわることのなかった分野だけれど、とても大切な仕事であることをこの本を通して実感した。
ラジオで世界の主要都市の天気が流れるとき、きっと海外にいる大切な人を思ってこの情報を必要とする人がいるのだろうなと思っていた。遠い国にいる大切な誰か。その急な死に直面して動揺しないわけはない。
飛行機で遺体を搬送する時に、気圧の上昇により大量の体液が漏れ出すこと、事故などにより損傷した部分が修復されずにそのままだったり、エンバーミングもしないまま送り出す国もあるということ、初めて知ることばかり。そんな遺体を処置車の中で汗だくになりながら、死者と心の中で対話しながら、傷をかくし、損傷した部分を補い、パスポート写真を見ながら化粧をするエアハース・インターナショナルの人々。死者の穏やかな表情、遺族の感謝と喜びの言葉。翌日には火葬されてしまうけれど、火葬前にこうして生前に近い穏やかな表情の故人と存分に別れをする時間が遺族の今後の人生に与える大きな影響。そして遺族がいずれエアハースの人々の存在を忘れ去ることも死を受け入れるひとつの過程であるという考え。もう、色々なことが新たな発見で、胸に響いて、どんなに尊い仕事であるかを伝えたい著者の気持ちがとても伝わってきた。仕事というか聖職だと思った。