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ふがいない僕は空を見た 新潮文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2012/09/29 |
| JAN | 9784101391410 |
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ふがいない僕は空を見た
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ふがいない僕は空を見た
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商品レビュー
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「魔が差す」ようなかたちであふれだす欲望や衝動。それらは性欲や嫉妬などに絡んでいた。人間だからこそのどうしようもない部分だろう。「魔が差す」とは言っても、誰かや何かに追いつめられたりしたことで見つけた逃げ道としての行為であったりはする。そしてその行為の前後、主要人物たちは苦しみに...
「魔が差す」ようなかたちであふれだす欲望や衝動。それらは性欲や嫉妬などに絡んでいた。人間だからこそのどうしようもない部分だろう。「魔が差す」とは言っても、誰かや何かに追いつめられたりしたことで見つけた逃げ道としての行為であったりはする。そしてその行為の前後、主要人物たちは苦しみに見舞われていたりする。そういった人物ばかりではないけれど、それぞれすべての主要人物が、それぞれに割り切れない事情を抱え苦しんでいた。そういった連作長編だった。 人は、苦しんでいるのは自分だけで、他人は深い悩みもなく楽しい日々を送っていると思いがちではないか。たとえば「隣の芝生は青い」という言葉のように。でも、少なくない人々が、それぞれ苦しんでいて、それぞれの苦しみの源となる個別の事情を抱えている。失敗をしない人生はないし、誰かの失敗を背負う人生も珍しくない。人生にとって深い打撃となる失敗は避けたいものだけれど、えてしてやってしまう過失というものはある。そういった過失が関係する連作長編だった。完璧になんて生きられない。だからこそ、深い落とし穴に落ちることもないわけではない。巻き添えをともなって深い穴に落ちることも、なんら珍しいことではない。そういった連鎖関係も、この作品で意図して構成されているところ。この世界で暮らす人々は過失それだけを切り取ってみてしまいがちだからこそ、見落としている背景が書き込まれているところに読み手は惹きつけられる。日々の死角や盲点をそれとなく気づかせてくれてもいるからだ。 読み手はそんな人間関係のしがらみや抑えきれない欲望や衝動のその後を見せられて、はたしてどう受け止めるだろうか。紙一重で選んでしまった過失や、過失への巻き込みがなければ、いたって平穏にくらせていたに違いない人たちなのだから、彼等に対してそう簡単に割り切れる気持ちは湧きおこらないのではないかと思う。そして、過失を経たあとを描くからこその「ふがいない僕は」であり、すなわち過失の後を切り捨てないがゆえにできあがった物語なのだと思う。 これは、実世界では多くの人たちが興味を失うか、直視を恐れる部分ではないか。そこを描くことで、「生きること」が見えてくる。最後の章は主人公の家である助産院を営む母親が主人公だったが、そこで描かれる産みの苦しみは再生の苦しみともリンクして感じられた。この世に誕生するときに、赤ちゃんも母親もとても大変な想いをする。再生の過程とて同じことなのかもしれない。もう一度生き直すとき、もう一度立ちあがるとき、陣痛や出産の痛みや苦しみに通じるなにかを甘んじること。それは生きるか死ぬかの瀬戸際でしか成し遂げられないと覚悟を決めることだろうと思った。 しめくくりに最後の章で少しだけ登場する漢方医・リウ先生のセリフの場面を。 __________ リウ先生が白い歯を見せて笑い、すっと息を吸うと、まるで呪文を唱えるように言った。悪い出来事もなかなか手放せないのならずっと抱えていればいいんですそうすれば、 「オセロの駒がひっくり返るように反転するときがきますよ。いつかね。あなたの息子さんが抱えているものも」リウ先生が指をぱちんと鳴らした。(p296) __________ 長い苦しみの後に赤ちゃんが生まれるように、悪い出来事による苦しみも、いつか反転するときがくる。それはきっと、産まれること。再生なのでしょう。 というところですが、おまけとしてちょっとだけ記しておきたいことがあるので、それを。 自分の子どもがそんな大層なことをしたわけでもないのに褒めて喜んで、それがほんとうに心からそうしている様子なのがわかって、「この人たち、やっぱりどこかおかしいのかもしれない」と親を思うようなのって僕もあったなぁ、とちょっとさみしく思い出したのでした。「2035年のオーガズム」の章の最後からでした。中心人物である男子高校生と恋人同士になるかならないかの関係から発展を期待している高校生の女の子が主人公の印象深かった章です。でもそこで事件というか事故というかに見舞われる男子高校生の運命に振り回されていく。家庭問題も抱えていたり。
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救えるわけでもないし、救おうともしていないが、存在を肯定しているというのがこの作品の良さであると思った。ドラマティックな展開はないけれど、細くても光が見えるような5編。私はセイタカアワダチソウの空が1番好きでした。
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十人十色の人生がありました。 全員闇深い。 ただただ全員の闇の部分を知り、その時各々が感じたことをありのままに受け止める感じで読み進めました。 かける言葉が見つからず己の未熟ささえ見つけてしまった本でした。
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