商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2010/05/06 |
JAN | 9784167348250 |
- 書籍
- 文庫
春の夢 新装版
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春の夢 新装版
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商品レビュー
4
37件のお客様レビュー
ふと死にたくなったり、ふと生きたくなったり、人は簡単に生死を扱うときもあるけれど、生きることは、そんなに容易くない。正解も解らない中で、意味など知ることもなく、ただ生かされている、そんな風にかんじる時もある。 でもキンのように、いつか自由になることを夢見て生きていいんじゃないかな...
ふと死にたくなったり、ふと生きたくなったり、人は簡単に生死を扱うときもあるけれど、生きることは、そんなに容易くない。正解も解らない中で、意味など知ることもなく、ただ生かされている、そんな風にかんじる時もある。 でもキンのように、いつか自由になることを夢見て生きていいんじゃないかなぁ。 ただ生きてることの尊さ。力強さ。 それだけで、誰かを突き動かす原動力になったりすることもある。 「春の夢」ってきれいな題だなぁ。読み終わって、余韻に触れた時の題1の感想がこれだった。
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なんとも感想が難しい。 1982年、のちにバブル経済とよばれる好景気の直前が舞台でしょうか。 中途半端に過去なので、ちょっとした違和感がすごく気になってしまう。 主人公は大阪の大学生だが、父が亡くなる直前に残した借金のため、京都にほぼ近いようなはずれのボロアパートに暮らし、ホテルのボーイのアルバイトで生活している。 借金取りに追われ、母親とも別れて身を潜めて暮らしているが、時々ちょっと贅沢だな、と思う部分もある。 贅沢をする、というのではなく、例えばホテルで出る賄いを食べずに帰るとか、お金を借りる相手をわざと怒らせて借りずに返すとか。 そんな場合じゃなかろう?って思うのだけれど。 生活の糧はアルバイトで得ているはずなのに、失恋したと思えば20日も仮病で休むし、スマホのない時代、無断欠勤も当たり前…だったっけ? とはいえ、バブルの前なので、自己破産なんて知恵もなく、ホテルのボーイなのに借金取りに何度も顔をボコられても、割と普通に「酔っ払いにやられた」とか言って仕事してるし。 お客さん、びっくりしないのか? など、突っ込みつつも、その極限で生きている大学生が、辛いことも経験しつつ腐らずに、誠実に、時には弱く、短慮だったとしても、明るい未来を思わせる終わり方なのは、さすが宮本輝というところでしょうか。 哲之がボロアパートに越してきた日、ケチケチ大家が電気の契約をするのを忘れていたため真っ暗な部屋で壁にくぎを打ったことで、壁に打ちつけられたままその一年間を生き通した蜥蜴が助演賞。 蜥蜴はただ生きているだけなのだけど、哲之がそれをもとに哲学的にいろいろ思索するわけです。 時に宗教であったり、時に自らの人生についてだったり。 それから哲之の彼女がかなりキュート。 女子大生のわりには懐が広く、かと思えば他の男性にちょっとゆれてみたり。 そして、最後の一行が秀逸。 このためにこの作品があるのではないかと思うくらいの、良いエンディングでした。
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