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室生犀星自選 室生犀星詩集 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2004/07/20 |
JAN | 9784003106624 |
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室生犀星自選 室生犀星詩集
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室生犀星自選 室生犀星詩集
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「ふるさとは遠きにありて思ふもの」 そのワンフレーズしか知らない状態で手に取った。 生い立ちは辛いものだった。 生まれてすぐ養子に出され、本当の母親を知らぬまま育った。 文学に興味をひかれて状況するも、生活は困難で。 そんな中、沢山の作品を残した。 『小景異情』 その1の、「白...
「ふるさとは遠きにありて思ふもの」 そのワンフレーズしか知らない状態で手に取った。 生い立ちは辛いものだった。 生まれてすぐ養子に出され、本当の母親を知らぬまま育った。 文学に興味をひかれて状況するも、生活は困難で。 そんな中、沢山の作品を残した。 『小景異情』 その1の、「白魚はさびしや」の1行目からやられた。 何という感性! 白魚のその黒い目がしおらしいと犀星は言う。 それを、一人寂しく外で昼食をとる自分の余所余所しさと重ねている。 そわそわと身の置き場のない感じか? そこへ、聞きたくもない雀が鳴いている。 悲哀そのものだ。 その2の1行目が、あの有名な「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」だ。 憧れて上京したものの生活は苦しくて、また故郷へと帰る。 そしてまた上京…ということを繰り返したのだという。 そのことを知ってから読むと、これまでとは全く違った印象が。 以前は、もう長いこと帰っていない遠い故郷(金沢)に恋い焦がれて、東京で歌ったのだと思っていた。 でも違うんじゃないか。 己のように上京と帰郷を繰り返すのではなく、東京でしっかり暮らしを営んでこそ、本当に故郷を遠く懐かしく思えるものだと歌っているのではないか。 心の中では、もはや東京も故郷も遠く、孤独や辛さを感じる。 「うらぶれて異土の乞食となるとても 帰るところにあるまじや ひとり都のゆふぐれに ふるさとおもひ涙ぐむ」 『砂山の雨』 「砂山に雨の消えゆく音 草もしんしん 海もしんしん」 「砂山に埋め去るものは君が名か」 「いそ草むらはうれひの巣 かもめのたまご孵らずして あかるき中にくさりけり」 失恋を歌っているのかしら??? 砂山がどんどん雨を吸い込んでいく様。 君の名前も砂山に吸い込まれてゆく。 草も海もしんしんと、雨が打ち付け吸い込まれてゆく。 寂しさや虚しさを感じる。 愁いの巣にあるカモメの卵は、孵る前に腐ってしまう。 成し遂げられなかった思いの悲しみを感じる。 『時無草』 時無草・・・"室生犀星記念館に問い合わせるも、植物の固有名ではなく、犀星のイメージによるもの"との資料発見。 どんな野草をイメージして歌われたのだろう。 「秋のひかりにみどりぐむ ときなし草は摘みたまふな やさしく日南(ひなた)にのびてゆくみどり そのゆめもつめたく ひかりは水のほとりにしずみたり ともよ ひそかにみどりぐむ ときなし草はあはれ深ければ そのしろき指もふれたまふな」 不思議な詩だな。 とても美しく繊細だ。 友人の萩原朔太郎も同じく"時無草"という言葉を詩に使っているとのこと。 二人の間で使われていた造語なのかしら。 静かで、繊細で、孤独で。 そんな詩が多かったかな。 犀星の目線は、心の内から季節ごとの風景にも及び、それらはとても美しい表現で言葉にされている。 小さき命や自然への情愛を感じることが出来た。 そして胸を捕まれる。 「白魚はさびしや」 「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」(小景異情より) 「したたり止まぬ日のひかり うつうつまはる水ぐるま」(寂しき春より) 「うららかに声は桜にむすびつき 桜すんすん伸びゆけり」(桜と雲雀より) 「秋のひかりにみどりぐむ」(時無草より) 「いま哀しみはびろうどのごとく もの静かにもおとなひきたり われと和みとけゆけり」(遠くよりのぶるものより) 「抱かれてねむり落ちしは なやめる猫のひるすぎ」(愛猫より) 「わが手にしたたるものは孤独なり」(都にのぼりてより) 上記のように、好きなフレーズを揚げだしたらキリがない。 好きな詩も沢山だ。 『小景異情』『ふるさと』『桜と雲雀』『時無草』『春の寺』『こころ』『女人に対する言葉』『心』『海』(P139)『日々の思ひ』『茶の花』『家族』『家庭』『垣なき道』『あひたきひと』『いづこに』 等々。 大切な1冊になった。
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幾度目かの再読。 生活に根ざした詩が多い室生犀星。 とても人間臭く、物事の様子や抱いた感情がド直球で、胸に響く。 この詩集はホッコリもするし、悲しみに打たれたりもする。 人間の持つ喜怒哀楽がギューッと詰まった、そして犀星の身に起こった様々な生活が垣間見える。 初読時、犀星の詩に一...
幾度目かの再読。 生活に根ざした詩が多い室生犀星。 とても人間臭く、物事の様子や抱いた感情がド直球で、胸に響く。 この詩集はホッコリもするし、悲しみに打たれたりもする。 人間の持つ喜怒哀楽がギューッと詰まった、そして犀星の身に起こった様々な生活が垣間見える。 初読時、犀星の詩に一瞬にして魅了されたのは言うまでもない。 この詩集は常に鞄に入れておきたい。
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のびやかで澄んだ、観察のことば。読みやすく、読み返したくなる。 和歌以来のきれいな言葉の面影を残しつつ、中身はわがままとも言える個人の悩みであったり、異国やもっと細かいものの観察であったり、あるいは混ざり合ったりということかしら。対象を見ながら自分を見ている、というのが朔太郎同...
のびやかで澄んだ、観察のことば。読みやすく、読み返したくなる。 和歌以来のきれいな言葉の面影を残しつつ、中身はわがままとも言える個人の悩みであったり、異国やもっと細かいものの観察であったり、あるいは混ざり合ったりということかしら。対象を見ながら自分を見ている、というのが朔太郎同様に当てはまったりするのかしら。 「第二愛の詩集」「ノオト」より 人はいつも寂しさにおはれる (おふは走にょうに診のつくり) どれだけ深い心の持主でも いつも風のやうな寂しさに すこしづつ動かされてゆく [...] 人は寂しさの隙間に ちひさい喜びを見出すけれど そこに慰めの根をしばらくは置くけれど それもやがて秋の日のうすれて移るやうに 其処をも去る 一つのかげも止めず 「寂しき都会」の「寂しき生命」 語つても語りきれない一点にまで辿りつくと 私は黙つてしまはなければならない なぜ言へないか 自分が恐ろしいからでも 世界をこはがるからでもない これを言つてしまつては あとに何もないからだ この二つの詩集が特に良い。
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