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きつねのはなし 新潮文庫
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きつねのはなし 新潮文庫

森見登美彦【著】

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きつねのはなし 新潮文庫

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商品詳細

内容紹介 舞台は底知れぬ謎を秘めた古都。細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男に、闇と夜の狭間のような仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。そして次々起こる怪異の結末!独特の世界観と文体で芸術的に描く森見ワールド全開!京都の雰囲気や不思議な話が好きな方におすすめ!
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2009/06/27
JAN 9784101290522

きつねのはなし

¥737

商品レビュー

3.5

547件のお客様レビュー

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2025/02/02

 私の本棚より。  ざっくりとしか読んでいないので、細かいことは書けないのだけれども、本書の場合は、それでちょうど良いのかもしれない。  森見登美彦さんのシリアスなホラー寄りの作品という情報を聞いて、大分前に古書店で購入していたのだが、読んでみると、単純にホラーと位置付けて...

 私の本棚より。  ざっくりとしか読んでいないので、細かいことは書けないのだけれども、本書の場合は、それでちょうど良いのかもしれない。  森見登美彦さんのシリアスなホラー寄りの作品という情報を聞いて、大分前に古書店で購入していたのだが、読んでみると、単純にホラーと位置付けていいのかどうか分からない曖昧さが強く、それが物語の展開の意味合い的にも同様であるところが、好みの分かれるところとは思われるけれども、それ故の面白さも感じられて、特に「果実の中の龍」の先輩の存在感には、物語の生み出される源が、あくまでも人間の心の中にあることを教えてくれながら、その手段が異なるだけで、こうも印象が変わってしまうのかという皮肉も露呈させている点に人間の哀愁も滲ませていることには、森見さんが単に怖いものを描きたいのではなく、人間味を描きたいのだということがよく分かる。  また、その中でも、人間が生まれる前から存在し続けるものに対する(それを『もの』と言ってしまうのは畏れ多い気がするものの)、森見さんの敬意とも捉えられそうな「水神」も印象深く、更にそこに琵琶湖疏水の歴史のエピソードを絡めるのが何ともスリリングでありながら、やはり哀愁的なものも潜まれていて、論理的に説明するのが難しい事象から漂い出す恐怖が、怒りだけではなく悲しみの方がより大きいのは、和の怪談でもお馴染みの構成と感じながらも、そこに一捻りあるのが森見さんならではのホラーなのかもしれない。  それから、上記の琵琶湖疏水からも分かるように、本書は京都が舞台となっていることで、より朧気な印象が強く、それは四つの短編に登場する様々な要素が緩やかに繋がっていることからも感じられたのだが、その中でも二度登場する吉田神社の節分祭は、雪の降る夜の描写とも相俟って何とも情緒豊かでありながら、物語の置き所としては、まるでカレイドスコープを覗いているようなクラクラとした、美とも悪夢ともつかない状況を追体験できたのは、その場から放たれる独特なエネルギーもあるようで、そうした現場ならではの感覚を実際に行って追体験できる、京都に住む人達が羨ましくてならない。

Posted by ブクログ

2025/01/02

2025年最初の一冊。京都はやっぱり「怪異」が似合う街だと思う。それは多分、京都という土地が人の思いとともに積み上げてきた歴史がそうさせているのだと思う。その歴史は良いことばかりではなく、歴史の闇に消えていった人々の怨嗟も含んでいる気がする。言霊、ではないけれど、京都の地名に感じ...

2025年最初の一冊。京都はやっぱり「怪異」が似合う街だと思う。それは多分、京都という土地が人の思いとともに積み上げてきた歴史がそうさせているのだと思う。その歴史は良いことばかりではなく、歴史の闇に消えていった人々の怨嗟も含んでいる気がする。言霊、ではないけれど、京都の地名に感じる魅力はそういった歴史の積み重ねがあるからだとも思う。だから京都は「ホラー」でも「怪談」でもなく「怪異」が似合う。この作品はそんな怪異を扱った作品だ。 森見登美彦氏は文体がどこかユーモラスで、正直個人的にはそんなに怖さを感じなかった。ホラー小説と思って読むと拍子抜けするかもしれない。しかし前述の通り、私はこれを「怪異小説」と捉えている。京都の街の怪異のお話、と思うと、なんだかゾワっとするのに京都に出かけたくなる、そんな話に感じるんじゃないかな、などと考えた。

Posted by ブクログ

2024/12/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

久しぶりに読んだ!10年ぶりくらいかも……?そのくらい読んでなかったので「怖かった」という印象以外忘れていたのだけど、やっぱり怖かった! 表題の「きつねのはなし」がナツメさんと過ごす静かで優しい日々に段々暗雲が立ち込めていく雰囲気が好きだ。 「果実の中の籠」、先輩の秘密が分かってからの物悲しさがたまらなかった。 「魔」が一番怖かったかも……妙なところで途切れるシーン達に戸惑いながら読み進めていって最後……。 この本に水が勝手に溢れ出していく印象があるのは何故だろうな〜と思ってたら、たぶん「水神」の印象だったんだろう。

Posted by ブクログ