商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2009/04/23 |
JAN | 9784004311829 |
- 書籍
- 新書
イスラエル
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イスラエル
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商品レビュー
3.8
21件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
イスラエルのガザ侵攻より一年。この本を再読した。 この本の目的の一つとして著者は、 「パレスチナ人に対する戦争すらも「対テロ戦争」で正当化するシオニズムの核心部分を、内在的に理解しなければならないと思ったから」だと述べている。 しかし一つの列島に同一の民族として生きてきた日本人にはなかなか理解が難しいのかもしれない。ヨーロッパのユダヤ人には長く迫害されてきた歴史があり、それが「シオンの丘」にユダヤ民族国家を建設しようというシオニズムにつながっていったことを考えると、その強い防衛意識はあながち過ちだとは言い切れない。 イスラエル社会は大きく分けて三つの分裂があるという。一つ目は政教分離の原則にかかわる分裂。イスラエルは民主国家であるが、イスラエルをユダヤ教に基づく宗教国家にすべきであると考える「ユダヤ教原理主義」の人々との対立が顕在化している。二つ目はユダヤ人の出身地域からうまれる文化的差異に基づくエスニックレベルの対立である。一口にユダヤ人といってもヨーロッパからの移民だけではなく、イラク、エチオピア、モロッコからの移民もあり、それぞれの生活習慣も違う。ソ連崩壊以降は旧ソ連地域から100万人近いロシア系ユダヤ人が流入したが、その多くはヘブライ語も学ばず、ロシア文化と生活様式を維持している。そして最後にユダヤ市民とアラブ市民の民族的対立がある。イスラエル建国後もその地にとどまったアラブ人たちがいて、イスラエル総人口の約20%を占めるという。かれらはイスラエル国籍を持っており、公共サービスも受けることができるが、経済的・社会的格差がある。さらには今問題となっているガザ地区やヨルダン川西岸には多くのパレスチナ人がいる。 イスラエルは実に多様な文化が入り組んだ国家である。それを反映して政党数も非常に多く、その変遷も複雑であるが、大きく言えば上記に挙げた三極を争点として争っているといえる。そのため多くの場合一党で組閣をすることはできず、連立内閣となることが多い。 イスラエル社会は右傾化が進んでいるように見える。今のネタニヤフ内閣は右翼政党、宗教政党との連立内閣である。そこに来て2023年10月7日のハマースの奇襲が起こった。社会のバランスが一気に崩れてしまったかのようだ。 マスコミの報道は圧倒的にガザ地区のものが多く、イスラエル国内のものは少ない。まして普通のイスラエル市民を伝えるものはごくわずかだ。しかし、この人たちのことも理解し、対話をしなければ、この戦争は終わらないだろう。
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イスラエルという国は、成り立ち、現状共に恐ろしく複雑であることがわかった。国民国家として今後やっていけるのかとすら思ってしまった。
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イスラエルについて包括的な本である。イスラエルを知るには必須の本であろう。読むのにかなり時間がかかるほど、イスラエルの政治は複雑である。イスラエルと周囲の国、米国との関係などが単発的に新聞で報道されるが、そう単発的なことではないことを本書は示している。
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