商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 1969/01/07 |
JAN | 9784488629021 |
- 書籍
- 文庫
結晶世界
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結晶世界
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商品レビュー
3.6
37件のお客様レビュー
ディストピアの古典的名作2作を読んだあと、破滅ものを読みたくなり同じく古典である本作を手に取る。 名作であるゆえ、概要を知っている人も多いかとは思うが、タイトル通り世界が結晶化していく。 その世界の終わりが、カメルーンの深い森から始まる中、その森を中心に主人公のサンダース医師と...
ディストピアの古典的名作2作を読んだあと、破滅ものを読みたくなり同じく古典である本作を手に取る。 名作であるゆえ、概要を知っている人も多いかとは思うが、タイトル通り世界が結晶化していく。 その世界の終わりが、カメルーンの深い森から始まる中、その森を中心に主人公のサンダース医師とそれを取り巻く人々の様々な人間関係が語られていく。 とびきりのSFを期待して読み出したのだが、SF要素はかなり薄い。 結晶化という現象は、科学的に語られているように見えて、随分と哲学的である。 また、結晶化という科学的な現象に対して、それを解決しようとする科学も特に出てこない。 どちらかというと、哲学的にあるいは人間の精神性をもって受け入れられる。 そして結晶化された世界は、大変に美しく記述される。 大変に美しく記述されるのだが、これがなんというか、SFを超えて執拗なまでに記述される。 その美しい結晶化された森に対して、件のサンダース医師達の人間関係が暗喩的に配置され、意味づけされる。 途中で思った。これはSFっていうより、純文だ。 ただ、純文という目で見ると、残念ながら私は純文としての美しさを感じられない。 もちろん筆力は素晴らしい。好みの問題。 んー、テンポかな。 一方、破滅ものSFとしてみるとちょっと中途半端感。 絶望感があまりない。 破滅ものの最大の魅力である、現実では一切混じり合い得ない「絶望と美」の同居が感じられない。 そう考えると、ネヴィル・シュートの「渚にて」は本当に傑作だったと思う。 繰り返しになるけど、純文学テイストが強いので、再読したら印象が変わる可能性はもちろんある。 もう数年経ったら、また読んでみようかな。
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ここでは松岡正剛翁の遊読365での紹介をそのまま引用する。 「春分の日にアフリカの河で水死体となった男の腕は水晶のように美しく輝いていた。どうやら遠方の島宇宙で反物質銀河系が衝突して時間が消去し始めたらしい…。史上最も近くて遠い美を抽出しえた作品だ。」
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被写体の選択行為とは。「荒涼とした風景」を表現した写真を観ての感想である。JGバラードの「結晶世界」というSFがある。タイトルの通り精神病患者の「荒涼」(結晶世界)とした心象風景を表現した作品であり名著と呼ばれている。SFには外の宇宙(スターウォーズのような作品)を表現した作品だ...
被写体の選択行為とは。「荒涼とした風景」を表現した写真を観ての感想である。JGバラードの「結晶世界」というSFがある。タイトルの通り精神病患者の「荒涼」(結晶世界)とした心象風景を表現した作品であり名著と呼ばれている。SFには外の宇宙(スターウォーズのような作品)を表現した作品だけでなく人間の内面の宇宙を表現した作品がある。文学作品でも三島由紀夫の「金閣寺」は人間の精神をシンボリックに表現した作品だし、映画作品でも「地獄の黙示録」はベトナム戦争を描きながら、人間の内面への旅路を表現した作品である。写真でもカメラマンの内面が表現される傾向は存在する。「荒涼とした」あるいは「殺伐とした」風景を好んで撮る行為には、カメラマンの精神性がそのまま現れる。被写体を選びシャッターを切る行為により心象風景が投影されるのである。春の「桜」や秋の「紅葉」だけが被写体ではないと思う。真摯に自己の精神と向き合えばシャッターボタンを押す行為にも内面が表現されることに気が付くであろう。写真技術を学ぶだけではなく文学作品に親しみ、そこから精神性を学ぶことにより、新しい作品のヒントを学ぶことも出来るであろう。写真の表現の幅を広げる為に文学・哲学を学ぶアプローチもあると思う。ありきたりの論考であるが、人間としてこの世に生を受けてきたからには、人間を学ぶことが非常に重要だと思う。この辺は文芸評論家「小林秀雄」の影響が非常に大きい。
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