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ナツコ 沖縄密貿易の女王 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2007/10/10 |
JAN | 9784167717476 |
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ナツコ 沖縄密貿易の女王
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ナツコ 沖縄密貿易の女王
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商品レビュー
4.1
25件のお客様レビュー
2024年9月読了。 「あんたの目の前にあるのはなんだ? ただの海じゃないよ。海の向こうには黄金があるさ。さあ、黄金の海を渡りなさい」 同じ物でも見る人がどう見るかで、意味や価値が異なる。
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奥野修司(1948年~)氏は、立命館大学経済学部卒、南米で日系移民調査に従事した後、帰国し、フリージャーナリストになる。2006年、『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞。高校生の首切り殺人事件を取り上げた、同年発行の『心に...
奥野修司(1948年~)氏は、立命館大学経済学部卒、南米で日系移民調査に従事した後、帰国し、フリージャーナリストになる。2006年、『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞。高校生の首切り殺人事件を取り上げた、同年発行の『心にナイフをしのばせて』は発行部数10万部近いベストセラーとなった。 私はノンフィクション作品が好きで、各ノンフィクション賞を受賞した作品の多くを読んでいるが、本書は新古書店で偶々見つけ、手に取った。 本作品は、戦後の米軍軍政下の沖縄で(密)貿易業を営み、“沖縄密貿易の女王”と称された金城夏子(1916~54年)の一生を描いたものである。 ナツコは、1916年、鹿児島県徳之島の漁師の家に生まれ(戸籍上は、1915年沖縄の現・糸満市出生)、18歳のときに、兄姉を頼ってフィリピン・マニラに渡り、マニラでは、市場で魚を売買し、糸満出身の女性たちのボス的な存在だったという。1941年、開戦の直前に帰国し石垣島に転居、1944年、台湾に疎開したが、1946年、終戦後に石垣島に戻った。係留されていた18トンの船を買い取って、海人草の密貿易で莫大な利益を得た後、新造船の高速船を購入し、精米所を建設、更に、商事会社を設立するなど、手広く貿易業を行ったが、1954年、頭部の皮膚がんで死去した。 尚、沖縄では、終戦から1950年頃まで、米軍軍政下で民間貿易が禁止されていたが、実際には、台湾ルート、香港ルート、本土ルートで広く密貿易が行われており、米軍も生活必需品を扱う密貿易を強くは取り締まらなかったという。そして、そこで活躍していたのがナツコなのである。 読み終えて、まず感じたのは、我々(私は関東地方の戦後生まれの人間である)は沖縄のこと・沖縄の歴史を本当に何も知らないということである。著者はあとがきで「沖縄には「アメリカ世」や「ヤマト世」があっても「沖縄世(ウチナーユ)」がないというが、戦後の数年間こそ「沖縄世」だったのではないか、このとき沖縄人が秘めていたエネルギーを爆発させたのが密貿易であり、その最前線を走る夏子は彼らの夢だったのかもしれない」と書いているのだが、私は、沖縄の人々の中に、琉球王国時代(或いは更に遡った時代)からの海洋性民族としての血が流れていることを再認識したし、ナツコはそうした沖縄の人々の象徴とも言える存在なのではないかと強く感じた。 また、本作品は、著者が12年間、根気よく取材をした結果世に出たもので、本作品がなければ、密貿易という性格上、歴史としては残ることのなかった内容ではないかと言われる。そうした意味で、インターネットやSNSが浸透した現在、ノンフィクション作品の意義を問う向きもあるが、その問いに対する有力な答えになる作品と言えると思う。 (2024年1月了)
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1946年から1951年の間、八重山列島や台湾、香港と日本本土を船で結ぶ密貿易の拠点として栄え、「ケーキ(景気)時代」と呼ばれた沖縄を舞台に、幼い二人の娘を抱える母親でありながら、度胸と才覚で密貿易の女親分にのぼりつめた、金城夏子の生涯を追ったノンフィクション。関係者や遺族からの聞き取りと、膨大な資料から、当時の沖縄の密貿易の実態と、時代の熱気が立ち昇ってくる一冊です。 ちなみに夏子は、和歌山にも密貿易品の販路を広げ、当時、和歌山市内に居住していた大物右翼と手を結び、沖縄から紀ノ川河口まで砂糖を密輸し、それを老舗和菓子屋が買い取っていたという驚きのエピソードも。
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