商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋/ |
発売年月日 | 2005/11/03 |
JAN | 9784163675404 |
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プーさんの鼻
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プーさんの鼻
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商品レビュー
4.2
24件のお客様レビュー
俵万智さんの歌集ですね。 『子どもの歌、恋の歌、家族の歌……。短歌は、私のなかから生まれるのではない、私と愛しい人のあいだにうまれるのだ。三十代半ばから四十代はじめの作品を整理しながら、あらためてそう思った。愛しい人との出会いに感謝しつつ、三百四十四首を、本集のために選んだ。』と...
俵万智さんの歌集ですね。 『子どもの歌、恋の歌、家族の歌……。短歌は、私のなかから生まれるのではない、私と愛しい人のあいだにうまれるのだ。三十代半ばから四十代はじめの作品を整理しながら、あらためてそう思った。愛しい人との出会いに感謝しつつ、三百四十四首を、本集のために選んだ。』と、あとがきに綴られています。 俵万智さんの、若山牧水賞、受賞の第四歌集です。 腹を蹴られなぜかわいいと思うのか よっこらしょっと水をやる朝 吾のなかに吾でなき我を浮かべおり 薄むらさきに過ぎてゆく梅雨 ぽんと腹をたたけばムニュと蹴りかえす なーに思っているんだか、夏 秋はもういい匂いだよ早く出ておいでよ 八つ手の花も咲いたよ バンサイの姿勢で眠りいる吾子よ そうだバンサイ生まれてバンサイ 唯一の存在という危うさを 子と分かちあう冬空の下 生きるとは手をのばすこと幼子の 指がプーさんの鼻をつかめり 記憶には残らぬ今日を生きている 子にふくませる一匙の粥 こんもりと尻あげたまま眠りいる 吾子よ疲れた河童のように たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやる いつかおまえも飛んでゆくから 自分の時間ほしくないかと問われれば 自分の時間をこの子と過ごす 叱られて泣いてわめいてふんばって それでも母に子はしがみつく ふるさとに降る雪年々減るという 父母のめぐりは軽くなるらし 揺れながら前へ進まず子育ては おまえがくれた木馬の時間 着ぶくれて石拾う子よ人類は 月まで行って拾ってきたよ リセットのできぬ命をはぐくめば 確かに我は地球を愛す 俵万智さんの歌集を読むと、付箋だらけに成るのが常ですが、出産からの子育ての歌は、どれも感動が波打たれていて、全部書き出したい衝動に襲われました。感動の歌集ですね。
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若山牧水賞受賞作品。 俵万智さん40代の初めの頃の歌集。 作者あとがきより 八年半ぶりとなるこの歌集には、子どもの歌が圧倒的に多い。ちょっとどうかと思うほど、たくさん作ってしまった。同じ素材、同じテーマで、こんなに作ったのは初めてのことだ。 いや、同じ素材でありつづけないから...
若山牧水賞受賞作品。 俵万智さん40代の初めの頃の歌集。 作者あとがきより 八年半ぶりとなるこの歌集には、子どもの歌が圧倒的に多い。ちょっとどうかと思うほど、たくさん作ってしまった。同じ素材、同じテーマで、こんなに作ったのは初めてのことだ。 いや、同じ素材でありつづけないから、作らされてしまう、と言ったほうが正確かもしれない。 子どもは大げさでなく、一日一日変化してゆく。 その存在に振り回される日々の中で、なんとか自分の心を、言葉で追いかけてきた。 たぶん短歌でなかったら、できなかったと思う。子育ては、驚きと慣れの連続だ。一度慣れてしまったら、はじめの驚きの感覚は失われてしまう。それはそうでなかったら、前へは進めないわけで、子どもが歩くことに毎朝感動している親はいないだろう。だからこそ初めの一歩の驚きを逃さずに三十一文字に刻みたいと思った。 ー以上作者あとがきより抜粋 俵さんはお子さんに普通の親が何度もカメラのシャッターを切るような調子で三十一文字を刻んでこられたのだと思いました。 カメラとはまた違う表現手段でご自分と息子さん、他のご家族の気持ちまで刻むのだから、短歌ってすごい! 短歌の魅力が改めてわかった気がしました。 ○夕飯はカレイの煮つけ前ぶれを待ちつつ過ごす時のやさしさ ○どこまでも歩けそうなる皮の靴いるけどいないパパから届く ○もう会わぬと決めてしまえり四十で一つ得て一つ失う我か ○新生児ふかふか眠る焼きたてのロールパンのごと頭並べて ○バンザイの姿勢で眠りいる吾子よ そうだバンザイ生まれてバンザイ ○ひざの上に子を眠らせて短編を一つ読み切る今日のしあわせ ○生きるとは手をのばすこと幼子の指がプーさんの鼻をつかめり ○フリージア、スイトピーなど飾れるに子はまずつかむ白きかすみ草 ○一分まとめて進む長針がひた、ひた、ひたと迫るさよなら ○軽々と肩車されしはしゃぐ子よそれが男の人の背だよ ○たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやるいつかおまえも飛んでゆくから ○自分の時間ほしくないかと問われれば自分の時間をこの子とすごす ○ブーケストおどけてキャッチする我の中で何かが泣きそうになる ○何度でも呼ばれておりぬ雨の午後「かーかん」「はあい」「かーかん」「はあい」
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手元に置いて、ふとした時に読み返したいと思える作品だった。子育て中だから、より響いたというのはあるかもしれない。詩集を読むのは初めてだったが、詩から自分の経験を思い出したり、様子を想像したり、短い一文でこんなにも楽しめるということを知れてよかった。日常のふとした瞬間を大切にしたい...
手元に置いて、ふとした時に読み返したいと思える作品だった。子育て中だから、より響いたというのはあるかもしれない。詩集を読むのは初めてだったが、詩から自分の経験を思い出したり、様子を想像したり、短い一文でこんなにも楽しめるということを知れてよかった。日常のふとした瞬間を大切にしたい、と思わせてくれる作品。
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