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戦場の精神史 武士道という幻影 NHKブックス998
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戦場の精神史 武士道という幻影 NHKブックス998

佐伯真一(著者)

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戦場の精神史 武士道という幻影 NHKブックス998

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 日本放送出版協会/日本放送出版協会
発売年月日 2004/05/28
JAN 9784140019986

戦場の精神史

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商品レビュー

4

9件のお客様レビュー

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2025/01/04

平安時代から戦国時代までの武士は、「正々堂々」と戦っていたのか、「だまし討ち」についてどのように認識していたのか、だまし討ちを悪・正々堂々を善とする「武士道」はいつ頃成立したのか等について論じる。 日本中世文学を専攻する著者の本。 武士道の内容があいまいであること、特に江戸・明...

平安時代から戦国時代までの武士は、「正々堂々」と戦っていたのか、「だまし討ち」についてどのように認識していたのか、だまし討ちを悪・正々堂々を善とする「武士道」はいつ頃成立したのか等について論じる。 日本中世文学を専攻する著者の本。 武士道の内容があいまいであること、特に江戸・明治時代に変質していたことを指摘する。 新渡戸稲造が「武士道」という言葉をほとんど自分の造語だと思っていたことは驚きだった。

Posted by ブクログ

2014/03/30

 武士道という言葉は、どんなイメージで流通してるのか。ためしに「武士道精神の復興」を唱えて大ヒットした『国家の品格』から抜き出してみる。 慈愛、誠実、忍耐、正義、勇気、惻隠、「名誉」と「恥」の意識、名誉は命よりも重い、日本の道徳の中核、戦闘の現場におけるフェアプレイ精神……etc...

 武士道という言葉は、どんなイメージで流通してるのか。ためしに「武士道精神の復興」を唱えて大ヒットした『国家の品格』から抜き出してみる。 慈愛、誠実、忍耐、正義、勇気、惻隠、「名誉」と「恥」の意識、名誉は命よりも重い、日本の道徳の中核、戦闘の現場におけるフェアプレイ精神……etc.  いやいやたいしたものだ。「日本の道徳の中核」とまでとは。そこまでいかずとも、「卑怯はいけない」「フェアプレイ精神」くらいなら、なんとなく「武士道」いいじゃん、と思わんでもナイ。  しかし、ほんとうに武士は卑怯を嫌い、正々堂々戦ったのだろうか? そういった疑問から始まって、「武士道は、日本人固有の精神的伝統である」という「常識」をひっくり返したのが本書。  じっさい文献にあたってみると、だます、裏切るはあたりまえ。手柄をひとりじめするために味方にウソをつくなんて茶飯ごと。だいたいみんな大好きな源義経だって、楠木正成だって、奇襲戦法の名手だったなぁそういえば。  じゃあ、『国家の品格』に出てくるような「武士道」はどっからきたのか? その源泉は新渡戸稲造の『武士道』にある。のだが、この本に出てくる「武士道」はまさに新渡戸稲造の創作であって、それまでの歴史からは断絶しているものなのだ。あいまいな知識を脳内でふくらませ、ヨーロッパの騎士道精神風味をブレンドしたものというのが正体で、「日本古来の」とかなんとか言えるようなモノではけっしてない。『葉隠』にしても、戦争がなくなったあとの太平の世の産物であり、これまた武士の道徳の伝統からは外れた一種の「倒錯」「異端の書」であるのだそーだ。  武士が名誉を非常に重んじたのは間違いない。「命よりも名を惜しめ」という言葉もあるぐらい。しかし、それは「卑怯はいけない」といううすっぺらい道徳心とは違うものだ。 「名を惜しむ」という価値観の軸が、「敵に討ち取られることこそ恥辱であり、勝つことこそ名誉である」という方向に設定されているのが、大きな違い。「武者は犬ともいへ、畜生ともいへ、勝つことが本にて候」という言葉にも、その倫理観が示されている。正義とかフェアプレイとかしゃらくせーこと言うよりも、さすが斬った張ったやってたころの武士は、実際的で骨太な倫理観を持っていたのだなぁと思う。  べつに『国家の品格』副読本(というよりも解毒本だが)としてだけでなく、単独の読み物として非常におもしろかった。現代的な課題と密接にリンクする歴史研究の例としてすばらしいと思うし、間違った知識の上に砂上の楼閣のような「武士道万歳」をとなえるよりも、実像に近い日本の歴史を知ることのほうがよほど「日本人」として大切だという思いをあらたに出来た。

Posted by ブクログ

2013/05/09

資料が豊富であるのに、見事に整理されているので、重箱の隅をつつくような論調でない。「サムライジャパン」などと表現される武士像がいかに虚妄か、実証に満ちた説得力に富む名著である。文体は教養書としても読めるなだらかな文章で、研究書の難解な文体ではない。着実に武士の実像を歴史的に、古代...

資料が豊富であるのに、見事に整理されているので、重箱の隅をつつくような論調でない。「サムライジャパン」などと表現される武士像がいかに虚妄か、実証に満ちた説得力に富む名著である。文体は教養書としても読めるなだらかな文章で、研究書の難解な文体ではない。着実に武士の実像を歴史的に、古代から近代まで浮かびあがらせる筆致は素晴らしい。

Posted by ブクログ