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わたしの名は「紅」
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わたしの名は「紅」
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商品レビュー
4
24件のお客様レビュー
一つには絞れない様々なテーマがこの作品を形作っているのだと思うが、私には特に「抗えないものに飲み込まれるとき、人はどう思いどう動くのか」ということを考えさせられた。 ベオグラードの人民博物館を訪れた際、正教会の伝統的なイコン美術が時代が下るにつれて西洋の新古典的な絵画スタイルに...
一つには絞れない様々なテーマがこの作品を形作っているのだと思うが、私には特に「抗えないものに飲み込まれるとき、人はどう思いどう動くのか」ということを考えさせられた。 ベオグラードの人民博物館を訪れた際、正教会の伝統的なイコン美術が時代が下るにつれて西洋の新古典的な絵画スタイルに侵食されていくのを見て物悲しい気持ちになったことを思い出した。 イコン職人たちも黙って自分の立場を明け渡したわけではないだろう。そこにあったであろう葛藤や怒り、無力感、そんなものを考えさせられてしまった。
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読了した自分をホメてあげたい。部厚がその「障害」であったワケではない(その理由は他のヒトの評にも散見されるもの)。殺人の動機に関わる部分(というか関わるさま)にエーコ『薔薇の名前』が連想された。語り手(語り口)がめまぐるしく代わって魅力ある物語世界(世界観)の拡がりやその多彩が想...
読了した自分をホメてあげたい。部厚がその「障害」であったワケではない(その理由は他のヒトの評にも散見されるもの)。殺人の動機に関わる部分(というか関わるさま)にエーコ『薔薇の名前』が連想された。語り手(語り口)がめまぐるしく代わって魅力ある物語世界(世界観)の拡がりやその多彩が想像されるのでその、そのうち新訳版で再読したい。 同著者の旧訳『雪』も読了まで難儀したが、訳者の異なる『白い城』では稀有の豊潤な物語を堪能(耽溺)できた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本当はハヤカワ新訳版で読みたかったのだが、図書館にあったこっちを読んでみた。 スゲーしんどかったってのが第一印象。読み応えありすぎ、小説でここまでの歯ごたえは数年来ではないだろうか。 とにかく濃密なのである。イスラム世界を題材にした細密画ってのがこの小説の重要な舞台かつ設定にあるんだが、文章で細密画を表現すると確かにこうなるよなぁって細かさっぷり。目も集中力も限界が来て、途中で読み飛ばしたくなるんだが、読み飛ばすとせっかく構成されてきた精緻な世界が瓦解しそうで、また数ぺージ戻って読み直して… 隙間時間も駆使して一所懸命読んで1日100Pが精いっぱい。ほぼ1週間の濃密だったこと。こってりと脂ったイスラム世界を堪能しました。ミステリーであり恋愛小説であり中近東史であり芸術小説である本書。じっくりゆっくり読書の濃密な世界を味わいたい人は手に取る価値あり。トルコに行ったことのある人行ってみたい人は是非とも! 正直言うと俺には少し濃密すぎた。読み終わった時も小説の世界に浸ったというより、最後のページまで読み終えた達成感に満足を覚えてしまい、それは読書じゃなく、苦行の域に属するもので…。 心と時間の余裕、何よりもイスラム細密画の世界にとっぷり1カ月くらいかかって浸ってやろうってな気持ち、これらが足りない俺には。この本の神髄は理解しきれていないのかもなぁ…。残念なのは小説ではなく、読書スキルの追いつけなかった俺である。
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