1,800円以上の注文で送料無料
冬の犬 新潮クレスト・ブックス
  • 新品
  • 書籍
  • 書籍
  • 1222-01-07

冬の犬 新潮クレスト・ブックス

アリステアマクラウド(訳者), 中野恵津子(訳者)

追加する に追加する

冬の犬 新潮クレスト・ブックス

2,090

獲得ポイント19P

在庫あり

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介 内容:すべてのものに季節がある. 二度目の春. 冬の犬. 完璧なる調和. 鳥が太陽を運んでくるように. 幻影. 島. クリアランス
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2004/01/30
JAN 9784105900373

商品レビュー

4.4

40件のお客様レビュー

レビューを投稿

2026/06/27

まず『島』から読んだ。文章の密度の濃さと作品としての完成度の高さに圧倒される。北方の島の自然が織りなす四季の描写は鮮烈で、その情景がありありと目に浮かぶようだった。 決して奇をてらっているわけではなく、むしろ筆致は淡々としており静謐ですらある。しかし、自然をつぶさに見つめ写し取...

まず『島』から読んだ。文章の密度の濃さと作品としての完成度の高さに圧倒される。北方の島の自然が織りなす四季の描写は鮮烈で、その情景がありありと目に浮かぶようだった。 決して奇をてらっているわけではなく、むしろ筆致は淡々としており静謐ですらある。しかし、自然をつぶさに見つめ写し取ることで、これほどまでに神秘的幻想的な世界が立ち上がるのかと読みながら何度も驚かされた。真夏の緑に光る海中でねじ切れたように見える脚、血と卵と精液にまみれた色彩豊かなサバの産卵、あふれた涙が氷へと変わる冬―そうした島の季節のなかで、女は灯台守として生き、やがて時代が彼女を必要としなくなったとき、そこに彼女自身の人生のみならず島に生きた一族の終焉までもが重ね合わされる。 ラストの光と影が織りなす寂寥感と余韻はほんとうに見事で、思わずため息が漏れる。 その後ほかの作品もちらほら読んでいったが、そのどれもが良品で、まさに「珠玉の短編集」と呼ぶにふさわしいという感慨を抱いた。しかし一点、どうしても気になるのは、入植者としての加害性について私が読んだ限りほとんど(というか全く)触れられていないことである。 『クリアランス』には先住民ミクマック族の名が一瞬出てくるが、著者はどうも彼らと自らの民族を同一線上にあるかのようにとらえているらしく、そこに加害の意識を感じとることはできない。 スコットランド移民の喪失と追放の記憶を、ルーツやアイデンティティへの愛着や郷愁、寂寥の念をこれほど豊かに描きながら、一方で彼らの入植によって周縁へと追いやられた他民族との間に生じている権力勾配についてはまるで視野に入れられていない。そのことにはやはり、どうしても違和感を覚える。 例えば『島』では、かつて存在していたゲール語による土地の名前が消滅していく切なさが描かれるが、いや、あんたら来る前はそこに違う民族の言葉があったやろ。その人らがどうなったかは気にならんのかい。あんたらの先祖来たのせいぜい200年前くらいでしょうが…、というところがやっぱりどうにも引っかかって仕方ない。 彼らスコットランド移民はクリアランスによって故郷を追われた被害者であると同時に、入植された側からすれば自らの土地や文化、そしておそらく時には生命をも奪っていった加害者とも言えるのではないか。著者が自民族への愛着・哀切の念を見事に描けば描くほど、そうした側面への無自覚さが一層際立ち、やけに脳天気に思えてくる。 また、多くの移民社会において「伝統」は驚くべき強度で保持されることがあるが、その「伝統」に郷愁を抱けないほどに共同体の規範や価値観に苦しめられてきた人々も当然いるはずで、そこも気になるところではある。

Posted by ブクログ

2026/06/24

”これから話そうとしているのは、私が十一歳のとき、ケープ・ブレトン島の西海岸にある小さな農場に家族と住んでいた頃のことである。家族はずっと昔からそこに住んでいた。(中略)それでも、今一九七七年のクリスマスにその話をする時に、自分がどのくらい当時のままの声で話、どのくらいそれ以後の...

”これから話そうとしているのは、私が十一歳のとき、ケープ・ブレトン島の西海岸にある小さな農場に家族と住んでいた頃のことである。家族はずっと昔からそこに住んでいた。(中略)それでも、今一九七七年のクリスマスにその話をする時に、自分がどのくらい当時のままの声で話、どのくらいそれ以後の大人になった声で話すのか、そしてどのくらい、当時の時分はこんなふうだったと思う少年の姿に今の私の思い込みが入っているのか、よくわからない。というのも、クリスマスは、過去と現在の両方が混在する時間であり、この二つは大体不完全にまじりあっているからだ。その時点での「現在」に足を踏み入れながら、たいていの場合、後ろを振り返っているのである。”(p.6,”すべてのものに季節がある”) 人はみな、過去の上の現在に立っている。 思い出したくない過去もあれば、大切にしたい過去もある。そしてその過去が本当の過去なのか、現在から見た過去なのか、もはや区別することは不可能で、それらが混然一体となって、自分の前に立ち現れる。 自分の過去、ルーツ、育った環境を、こんな考えで眺め、それを基に言葉を紡ぐアリステア・マクラウドの作品は、どれをとっても、脈々と流れる温かい血液のぬくもりを感じられるものである。こういう視点だからこそ、単なるノスタルジアだけではなく、時に淡々とした印象を受けるところさえある。 冒頭の引用部分は、思わず何度か読み直してしまった。 カナダ東海岸の、多分今は資本主義に大きく影響されてしまったであろう小さな島の、人間や動物の生と性にまつわる、記憶の物語。

Posted by ブクログ

2025/04/20

そびえ立つ山の彼方に わたしの愛する人の住処があり、 いつも心暖かきその人を、 わたしはこよなく愛していた。

Posted by ブクログ

関連商品

同じジャンルのおすすめ商品

同じジャンルのおすすめ商品

最近チェックした商品

履歴をすべて削除しました