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冬の犬 の商品レビュー

4.4

38件のお客様レビュー

  1. 5つ

    18

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

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2025/04/20

そびえ立つ山の彼方に わたしの愛する人の住処があり、 いつも心暖かきその人を、 わたしはこよなく愛していた。

Posted byブクログ

2025/02/26

カナダ生まれの作家。著者は、スコットランド高地からの移民が多く住む、カナダの東端ケープ・ブレトン島で育ち、そこでの生活体験を元に書かれた短篇は、ときにエッセイではないかと勘違いしたくらい事細かく描写されていましたが、おそらく翻訳もさることながら、元の文章もいいのでしょうね。それで...

カナダ生まれの作家。著者は、スコットランド高地からの移民が多く住む、カナダの東端ケープ・ブレトン島で育ち、そこでの生活体験を元に書かれた短篇は、ときにエッセイではないかと勘違いしたくらい事細かく描写されていましたが、おそらく翻訳もさることながら、元の文章もいいのでしょうね。それでも『二度目の春』は、読者を置いてけぼりにするくらいの細かさで、おそらくジェイムズ・リーバンクス『羊飼いの暮らし』(これはスコットランドのノンフィクション)みたいな文章を書きたかったんだろうなとふと脳裏をよぎったりしましたが。 それにしても、繁殖だの交尾だの射精や精液がどうのとか……ほとんどの短篇が、そこまで書かなくてもいいのにと思わされ、『完璧なる調和』や『島』のようないい話しが書かれていても、誰にもおすすめできないなと思いました。ただ、先頭の『すべてのものに季節がある』は、そのような描写もなく内容もよく考えられて書かれており、おそらく今後クリスマスが近づくたびに思い出すかもしれない名作。あと、タイトル作『冬の犬』は情景が目の前に思い浮かぶような筆力で書かれた名作だと思いますが、犬好きの人にはおすすめしづらいかな。 ところで、この短篇集は著者が残した短篇16作のうち、後半に書かれた8篇で、前半の8篇は『灰色の輝ける贈り物』に収録されているようですが絶版ですね。繋がりはないようですが、機会があれば読んでみたいです。 収録短篇: すべてのものに季節がある
二度目の春
冬の犬
完璧なる調和
鳥が太陽を運んでくるように
幻影
島
クリアランス

Posted byブクログ

2024/12/10

舞台はカナダの東端にあるケープブレトンという島で暮らす人々をえがいた短編集。 感動された、元気付けられた、というハッキリとした感情ではなく、「美しい」という言葉だけが出てくるような、なんとも言えない感情にさせられた素晴らしい作品です。 島で暮らす登場人物たちの孤独や虚しさが描か...

舞台はカナダの東端にあるケープブレトンという島で暮らす人々をえがいた短編集。 感動された、元気付けられた、というハッキリとした感情ではなく、「美しい」という言葉だけが出てくるような、なんとも言えない感情にさせられた素晴らしい作品です。 島で暮らす登場人物たちの孤独や虚しさが描かれている一方、極寒の自然や、動物たちの生き生きと動く描写が魅力的に表現され、物悲しさと自然の美しさに読んでる側が惹き込まれるように書かれています。時々自分も同じ世界観に入りたいと、思わせるような。 普段の生活ではなかなか聞く事のない世界だからこそ、何回も読んで、また時間空いて読み直して、噛み締めたい、理解したい。2回読んでもそう思わされる作品でした。

Posted byブクログ

2025/03/12

冬の季節に、もう一度読もうと決めていた。凛としたマクラウドの文章に相応しい気がして。 もちろん穏やかな関東の冬晴れは、カナダの凍える寒さとは比ぶべくもないのだけれども。 “当時のことについては、はまるで昨日のことのように懐かしく思い出される。それでも自分がどのくらい当時のままの...

冬の季節に、もう一度読もうと決めていた。凛としたマクラウドの文章に相応しい気がして。 もちろん穏やかな関東の冬晴れは、カナダの凍える寒さとは比ぶべくもないのだけれども。 “当時のことについては、はまるで昨日のことのように懐かしく思い出される。それでも自分がどのくらい当時のままの声で話し、どれくらいそれ以降の大人になった声で話すのか、よくわからない。クリスマスは過去と現在の両方が混在する時間であり、この二つはだいたい不完全に混じりあっているからだ。その時点での「現在」に足を踏み入れながら、大抵の場合、後ろを振りかえっているのである。” 『すべのものに季節がある』の冒頭に記されたこの言葉は、クリスマスに限らずマクラウドの短編のすべてに当てはまるだろう。 子供時代の思い出が、祖父母が暮らし父母が受け継いだ土地のにおいと景色が、ゲール語の歌に残る大西洋を隔てた遠いスコットランドハイランドの記憶が、そのすべてがありありと目に浮かび、季節と共に繰り返し繰り返し続いていくように思えながらも、時代は移ろいそのときには二度と戻ることは叶わないことが同時にわかっている 。 深い喪失の痛みが胸に沁みてくる。 ケープ・ブレトン島を舞台に描かれるのは牧歌的な理想郷の物語ではない。貧しく、過酷な労働の日々を誠実に生きる家族の暮らしそのものだ。 マクラウドは最後の語り部として、遠く離れた愛する故郷と、そこに生きる人々を書き記しておきたかったのだろう。 『クリアランス』で、変わりゆく時代に抗うではなくとも“俺たちは、こんなことになるために生まれてきたんじゃない”と呟きながら、遠きスコットランドの地でかつて出会った友の言葉を胸に、決然と一歩を踏み出す老人に湧き上がる誇り。 『完璧なる調和』で、金を得るために伝統を曲げた歌唱でコンサートステージに出ようとする一族の若い荒くれ者たちと対立しながら、一方で彼らの中にこそハイランダーの勇猛果敢な祖先の血が流れているとも感じる、伝承を尊ぶ最後の歌い手の胸に浮かぶ思い。 そして不意に放たれる“あのさ、俺たち、わかってるから。わかってる。みんなちゃんとわかってるから”という、言葉。 一つの時代は幕を下ろすとも、つながっていくものも確かにあるのだ。

Posted byブクログ

2023/01/03

カナダ東部のケープブレント島を舞台にした8編からなる短編集。またすごい本を読んでしまった。今より不便で、伝統や神話がもう少し身近だった時代のお話。動物はペットではなく、仲間であり食料でもあった。「完璧なる調和」の最後の場面でなぜか泣きそうになってしまう。「俺たち、わかってるから。...

カナダ東部のケープブレント島を舞台にした8編からなる短編集。またすごい本を読んでしまった。今より不便で、伝統や神話がもう少し身近だった時代のお話。動物はペットではなく、仲間であり食料でもあった。「完璧なる調和」の最後の場面でなぜか泣きそうになってしまう。「俺たち、わかってるから。わかってる。みんなちゃんとわかってるから」生活のために伝統が薄れていってしまうことがあっても、誇りはそこで輝き続けるのだ。

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2022/02/03

カバーの絵が私を惹きつけて離さない。読む前も、読んだ後も。 雪の林の中にたたずむヒトと大きな犬 カナダ、北米大陸の北東のスミのスミのスミッコの島の物語 登場するのは、ヒト、犬、牛、馬、羊、林、島、波、雪、流氷、歌……。 収録された短編八話は独立しており連作ではない。 なのに、...

カバーの絵が私を惹きつけて離さない。読む前も、読んだ後も。 雪の林の中にたたずむヒトと大きな犬 カナダ、北米大陸の北東のスミのスミのスミッコの島の物語 登場するのは、ヒト、犬、牛、馬、羊、林、島、波、雪、流氷、歌……。 収録された短編八話は独立しており連作ではない。 なのに、どれも同じものを感じ、なぜかどれも不思議な魅力でひきこまれてしまう。 スコットランドとの歴史的民族的背景が、この物語たちの性格付けに影響している……と何だか偉そうな私は、読み終わって調べてからの「後付け」。 読んでいる最中より読み終わった後に漂う余韻、これは何だろう。 書かれたことば一つ一つが「強い」から? ……じゃなくて「生きている」? うーん、違うなぁ……そこに「ある」ということ? ただものではない感じは伝わったけど……。 たぶん、再読する。それも頭からではなく、突然に、気に入った個所からの……。

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2022/01/05

多くは語らない。しんと静かに染み渡るような、寡黙な文章。だけどそこには、喜びも悲しみも、生命の営み全てがある。本当に良い本。 白い雪が舞う、静かな夜更けの冷たい空気に包まれて、去りゆくものは、良いものを残していく。 そんな本。 胸にじーんと来る。ほうとため息が漏れる、読後感。

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2020/06/20

スコットランド(高地)系カナダ人の日常を描いた短篇集。16篇収録のオリジナルを、2分冊としたものの後半らしい。前半は未読である。時代設定が古いこともあるが、書かれている内容は厳しい自然や、動物との繋がりを絡めたものが多く、特に冬期の描写は過酷を極める。どれも味わい深いが、表題作の...

スコットランド(高地)系カナダ人の日常を描いた短篇集。16篇収録のオリジナルを、2分冊としたものの後半らしい。前半は未読である。時代設定が古いこともあるが、書かれている内容は厳しい自然や、動物との繋がりを絡めたものが多く、特に冬期の描写は過酷を極める。どれも味わい深いが、表題作の「冬の犬」、ゲール語の歌を扱った「完璧なる調和」がよかった。

Posted byブクログ

2019/11/05

たまたま軽い気持ちで手にとったけれど、読んだ後に心にじんと響いて忘れられない一冊となる本があります。 アリステア・マクラウドは、これまで耳にしたことのなかった作家でしたが、シンプルな装丁と「冬の犬」という表題に惹かれて読み始めました。 舞台はカナダ北東部のケープ・ブレトン島。...

たまたま軽い気持ちで手にとったけれど、読んだ後に心にじんと響いて忘れられない一冊となる本があります。 アリステア・マクラウドは、これまで耳にしたことのなかった作家でしたが、シンプルな装丁と「冬の犬」という表題に惹かれて読み始めました。 舞台はカナダ北東部のケープ・ブレトン島。赤毛のアンの舞台プリンス・エドワード島の、さらに東に位置する最果ての地です。自然と格闘し生きる人たちの姿が描かれています。 彼らはイングランドでの圧政を避け移住したスコットランド高地人(ハイランダー)の末裔。ゲール語という祖先の言葉を大切にしつつロブスター漁を生業とする人、痩せた土地でじゃがいもを栽培して家族を養う者、あるいは木こりとして生きる者がいます。 カナダ北東部ノバスコシア地方の厳しい自然と、牛や羊、犬など人間とともにある生き物の姿が、彼らの汗と息づかいとともに生き生きと描かれています。 これは作者マクラウド自身が、ケープ・ブレトンで育ちゲール語と英語の二つの言語に通じているからこそ作り出せた小説世界でしょう。なかでも、表題作の「冬の犬」がいい。少年の頃のちょっとした冒険が、端正な言葉で綴られていて、久しぶりに物語を読む楽しさを体験できました。

Posted byブクログ

2018/12/03

前作「彼方なる歌に耳を澄ませよ」がもうたまらなく好きで、著者の訃報を新聞で見た時、そうだ、ほかの作品も読まなくちゃ~と思って・・・それで思い出して読んだはずなのですが、訃報もすでに4年前の話なのね。自分にびっくり。目を開けたまま冬眠してんじゃないかしら、私ったら・・・ さて、「...

前作「彼方なる歌に耳を澄ませよ」がもうたまらなく好きで、著者の訃報を新聞で見た時、そうだ、ほかの作品も読まなくちゃ~と思って・・・それで思い出して読んだはずなのですが、訃報もすでに4年前の話なのね。自分にびっくり。目を開けたまま冬眠してんじゃないかしら、私ったら・・・ さて、「彼方なる~」は、ある家族の記憶と現実との間を波のようにいったりきたりする、詩のような歌のような作品だったとおぼろに記憶していますが、この短編集は動物がかなり重要な役を演じているものが多く、そのせいか寓話や神話のような雰囲気があって、前作とはまたちょっと違う印象でした。 ただ、動物と言っても、描かれているのは、愛玩用のペットではなく、生きるための資源、サバイバル・ツールとしての家畜たち。 だから、彼らを描くことで必然的に自然の厳しさと人間のちっぽけさも描かれることになり、ひ弱な私はすっかり恐れ入ってしまった。 干し草の出来具合が家畜たちの運命を決めるところや、濡れた服が瞬間的に凍るシーンなど、とにかく極寒の地の暮らしは知らないことだらけ。やたら心臓をどきどきさせながら読みました。 それだけでも、そこらへんの冒険ものなんて目じゃないくらいに興味深くおもしろかったのですが、そこで終わらないのがこの著者の素晴らしいところ。 前作同様、血に刻みこまれているかのような一族の記憶や、登場人物たちの生き方のくせみたいなものが、長い時間の経過によって、ゆっくりと変化し昇華されたりしていく様子も描かれている。 時間、が動物同様、すごく重要なファクターで。 人がとにかく生きて年を取るという、ただそれだけのことがこんなにも美しいことなのか、と、読んでいて時々愕然としました。 収録作品は全部好きだけれど、特に「完璧なる調和」が良かった。たまらず涙がこぼれ、二回も読んでしまいました。映画一本見たみたいな読後感。 オンダーチェ、アリス・マンローに、この著者、と、どうも私はカナダ人作家が好きみたい。ド田舎で育った幼少期の記憶が体中にしみ込んでいて、カナダの大自然の描写を読むとそれがざわざわしてしまうのかな~。 あるいは、オンダーチェ、ジュンパ・ラヒリ、この著者、のように、二つの言語、二つのアイデンティティに揺れる人々を描く作家も好きみたい。 自分の嗜好にそういう偏りがあると気づいた今日この頃です。

Posted byブクログ