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灰色の輝ける贈り物 新潮クレスト・ブックス
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商品詳細
内容紹介 | 内容:船. 広大な闇. 灰色の輝ける贈り物. 帰郷. 秋に. 失われた血の塩の贈り物. ランキンズ岬への道. 夏の終わり |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2002/11/30 |
JAN | 9784105900328 |
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灰色の輝ける贈り物
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商品レビュー
4.4
18件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
灰色の輝ける贈り物 多くのアイルランド移民が暮らすカナダのケープ・ブレトン島。炭坑町であるケープ・ブレトンの市井の人々のつつましい暮らしを時に淡々と、時に饒舌に著者は語ります。 炭坑町の衰退。文盲の両親と知識を得て都会に出て行く子供たち。炭坑での悲惨な事故。そういったことと均衡を取るように描かれる美しいブレトン島の自然と、炭坑での労働の躍動感とプロフェッショナリズム。 ケープ・ブレトン島という共通点だけで何も関連がない家族の短編が、年代順に並ぶことによってケープ・ブレトン島の歴史とその移り変わりを語っている構成が見事です。 竹蔵が子供の頃は、両親の田舎と東京との差がとても大きく、「帰郷」という短編で都会から里帰りする少年の見聞をとても懐かしく、そして少し恥ずかしく読みました。 もう一冊の「冬の犬」も是非読んでみたいと思います。 竹蔵
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朝の四時、ベッドで目を覚ました男は、寝過ごしたのかと不安になる。漁に出る時間だと、父が待っているだろうと。 だが、ベッドから半分身を乗りだしながら、海から遠く離れた都会でたった独りであり、桟橋の側に揺れる船は早朝の暗がりの影やこだまに過ぎないことに気づく。 家族への愛情と遠く離れ...
朝の四時、ベッドで目を覚ました男は、寝過ごしたのかと不安になる。漁に出る時間だと、父が待っているだろうと。 だが、ベッドから半分身を乗りだしながら、海から遠く離れた都会でたった独りであり、桟橋の側に揺れる船は早朝の暗がりの影やこだまに過ぎないことに気づく。 家族への愛情と遠く離れた故郷への締め付けられるような郷愁が回想され、そして否応なく、すでに失われ戻ることはできないことへの喪失感が浮かび上がる。短編集の冒頭にある「船」という作品は息子の視点からも、父親の視点から読んでも素晴らしい名品だと思う。 はっとするレトリックや、鮮やかに切り取られたストーリーは、この短編集にはない。 どこまでも実直で己の仕事に誇りを持ち、一族の脈々と受け継がれた伝統を胸に抱いて生きる寡黙な人々の生活が、美しく細やかな自然描写の中で描かれる。 一方で、危険で過酷な炭鉱の仕事や時に荒々しい顔を見せる海が簡単に人の命を奪っていく様、伝統的な仕事が廃れていく現実のなかで親と子は同じ価値観では暮らせないことが語られ、読後感は決して牧歌的でもノスタルジックでもない。そこが魅力的であり、何度読んでもやっぱりいいなと思わせられる。 農家だった祖父は、僕が生まれたとき裏山にたくさんの杉を植えた。いつかは木を切り、生活に役立つだろうと。 もはや訪れることもない土地と手を入れることもなく生い茂り過ぎた木々に、娘二人と女の子ばかりの孫達の中で僕が生まれたときに祖父が感じたであろう思いに、少しだけ心彷徨わせた。
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しみじみと味わい深い短編集で、目を閉じて風や匂いを感じるように、ゆっくり少しずつ読みました。 何となく年配の読者の方が良さがわかる本の気がします。うまく言えないけれど、死が近いというか未来の死が見えている年齢、それから近代的じゃない生活を知っている年齢じゃないとこの本を良いとは...
しみじみと味わい深い短編集で、目を閉じて風や匂いを感じるように、ゆっくり少しずつ読みました。 何となく年配の読者の方が良さがわかる本の気がします。うまく言えないけれど、死が近いというか未来の死が見えている年齢、それから近代的じゃない生活を知っている年齢じゃないとこの本を良いとは思わない気がします。 アンドリュー・ワイエスの絵を思い出しました。ワイエスの絵の色や空気感や静寂と同じ感じがする本でした。 ゴツゴツとした岩のような労働者が描かれているのに、何故か髪を靡かせる女性を感じさせるのが不思議です。どちらも人物が寂しげで、人間より自然が勝っているからかも知れません。
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