チョコレート革命

俵万智(著者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 1997/05/08
• JAN: 9784309011332

商品レビュー

2025/11/04

https://opac.lib.hiroshima-u.ac.jp/iwjs0027opc/BB00464709　西図書館２階・開架　 911.16/Ta-97

2025/10/08

私は短歌を詠みはじめてまだ2ヶ月ですが、あとがきの
　短歌は、事実(できごと)を記す日記ではなく、真実(こころ)を届ける手紙で、ありたい。
には共感しました。
『サラダ記念日』も以前読みましたが、その当時よりも歳を重ねられたこともあって大人の恋愛(不倫も)の歌が多い印象です。私は人間が登場しない歌ばかり詠むのでおもしろく、刺激になります。
いくつか好きな短歌にコメントを添えてみました。

p21
ゆりかもめゆるゆる走る週末を漂っているただ酔っている
→「ただよっている」の切る位置、同じひらがな(ゆ、る)の繰り返しの言葉遊びが口に出すと楽しい。

p26
一年に一ミリ伸びるミズゴケに蓄えられる湿原の時間
→私が好んで詠むのはこんな系統。ゆっくり進む時や湿度を感じられる。

p58
「泣くなよ」と言われて気づく今我が泣いているのは「わたし」のためと
→思い当たるところがあるが、誰かのために泣くという場面は実はそうそうないよな、などと思った。

p67
登校の朝は体を削るごと洗えり「クサイと恥ずかしいから」
→海外での体験を詠んだ歌。たった三十一字で言外まで考えさせられる。

p72
はじまりと思いたけれどおしまいとなるかもしれぬ夜を抱かれる
→「抱かれる」という言葉をよく使っているが、この歌では「夜」に接続するのが生々しくもお洒落。

p114
思いきり見つめることの言い訳の小道具となる日もあるカメラ
→誰かを見つめる私ではなく、カメラを主役に据える切り取り方が良い。

p142
知られてはならぬ恋愛なれどまた少し知られてみたい恋愛
→両極に揺れる心が素直に打ち明けられていて短歌らしい表現。短歌は感情を凝縮するせいか、心を曝け出しやすい気がする。

2024/12/18

二十八歳から三十四歳までの作品を収録した第三歌集。恋の歌が殆どで全体的に湿度が高い歌が多く、年齢的に共感できる歌があるかなと思ったけれど、不倫なども含まれており正直あまり好みではなかった。
いいなと思った歌は下記二首。

はじまりと思いたいけれどおしまいとなるかもしれぬ夜を抱かれる

映画ならフラッシュバックで映される君と我とのシーンいくつか