とある超高層マンションの1室で、夫婦の変死体が発見された。そこに居合わせたイニシャルに「N」を持つ男女4人の証言から、とんでもない真実が飛び出す。夫婦はなぜ殺されたのか? そして、彼らが守ろうとする「N」とは誰なのか。
毒々しいものは感じないけど湊さんだなあ、と思う作品でした。人は誰にも言うつもりもなく気づかれなくてもいい傷を持ってると思うし、この作品は愛の形も人生も本当人それぞれだと改めて感じさせられる内容でした。(Posted by ブクログ)
恩師の依頼で、彼女のかつての教え子6人に会いに行くことになった高校教師の敦史。6人は20年前の不幸な事故でつながっており、敦史は手紙でやり取りするようになる。そしてその手紙によって、過去の事件の真相が明らかになっていく。
なぜだか、とても爽やかな読後感のある小説だった。手紙のやり取りで進んでいくお話は、とてもすきだ。誰とは名乗らずとも、誰の声なのか想像できてしまう秀逸さ。(Posted by ブクログ)
美容外科医の橘久乃が、同級生の娘の自殺について関係者に話を聞いていく。ところが、それぞれの証言は食い違い――。「ルッキズム」がテーマ。すべての文章が登場人物たちの会話で形成されているのが特徴の作品。
結局いつの時代も人は見た目に悩まされる(ことが多い)。その考え方を改めるのは非常に難しく、すぐに悩みが消えるわけではないが、少なくともこの本は私の心に刺さったし、是非とも見た目に悩む子に読んでもらいたいと思った。(Posted by ブクログ)
幸せな家庭を築き、絵本作家としても成功している陽子と、家族のいない新聞記者の晴美は、幼いころに両親に捨てられたという同じ境遇を持っていた。ある日息子が誘拐された陽子は、晴美に助けを求める。
題名通り境遇のお話。似てるようで似てない、同じようで異なる、境遇を持つ二人の女性にまつわるルーツを巡るミステリー。面白い。文字通り最後に二転三転する。これは、決して悲劇ではない。(Posted by ブクログ)
有名進学校の入試を妨害するためにさまざまな事件が起こり、生徒、生徒の親、そして教師たちも不審な行動を取るようになる。そして、誰しもが「犯人なのでは?」と、疑わしい状況になるが……。
登場人物が多すぎて最初は大変だったけど、1人1人の心の動きにしっかりスポットライトを当てているのはさすが。ページを進める手が止まらなかったけど、色々考えさせられてとても疲れた。(Posted by ブクログ)
教師生活最後の日、その教師はホームルームである衝撃の告白をする。事故死とされた自分の子供が、本当はクラスの2人の生徒に殺された、そしてその2人にある復讐を仕掛けた、と。
一章を読んだだけでかなりの衝撃を受けました。衝撃と謎を次々に打ち出してくる様は圧巻でした。これだけ複雑な構成になっていながら、現代社会への批判も多分に含まれていて本当にすごいです。(Posted by ブクログ)
表題作「サファイア」をはじめ、「真珠」「ルビー」など美しく輝く宝石にまつわる物語がつまった短編集。
さすが湊かなえ。どのストーリーも一筋縄に行かず、心臓がうっとなったり、ふぅーとなったり。そして読み返したくなる。(Posted by ブクログ)
『山女日記』の続編。今作も「山」をテーマにした短編で、それぞれの主人公である女性たちが一歩踏み出す再生の物語。
苦しい思いをしたあとの素晴らしい風景、美味しい食べ物は何ものにも代えがたい。主人公の方たちと一緒に山登りをして、感動感激させてもらいました。(Posted by ブクログ)
親友の遺体を見たことがあると話す友人の言葉に、自分たちも人が死ぬ瞬間を見たいと思うようになった敦子と由紀。そして2人は老人ホームと小児病棟に、人の死を見るためにそれぞれ向かうことに。
「すべてがつながった」読み終わったときにそう感じた。17歳の少女の大人になりきれない感情や残酷さがみずみずしく描かれています。やっぱり湊かなえさんは面白い。(Posted by ブクログ)
田舎町で1人の少女が殺され、そのとき一緒に遊んでいた4人は口をそろえて犯人を覚えていないと言う。少女の母親は激高し彼女たちにある言葉をぶつけるが、その言葉によって彼女たちの人生が狂っていく。
面白くて、あっという間に読みきってしまった一冊。約束を押し付けられた4人の堕ちっぷりというか、囚われぶりとそれぞれのコンプレックスがものすごく丁寧に書かれていて、すごい!と思った。(Posted by ブクログ)
美人OL・典子が殺された。記者の赤星は、彼女の同僚・城野美姫が犯人ではないかと目を付ける。しかし、うわさや無責任な情報がメディアやSNSにあふれかえり、美姫という人物像があやふやになっていく。
噂が広まっていく怖さ。それぞれがそれぞれの視点で話を受けとめ、作り上げていく。本当に怖い話だし、湊さんのリアリティがすごい作品です。(Posted by ブクログ)
阪神淡路大震災がテーマの短編集。湊かなえ本人が経験したことや、青年海外協力隊員としてトンガに行ったことなど、自伝的な要素を含んだ4作からなる作品。
読むだけでトンガの楽園のイメージは浮かんでくる。神戸震災後のそれぞれのしがらみがトンガの国で癒され新たな心境に変わる。個人的に非常に共感を覚えた作品。(Posted by ブクログ)
『ブロードキャスト』の続編。3年生の引退後、マラソン大会の景品でドローンをもらった放送部員たちは、次の放送コンテストに向け撮影を進めていた。ところが、その映像の中に火のついたタバコを持つ陸上部の生徒が映っていて――。
前作に引き続き、部活に青春を捧げる若者の清涼感、そして湊かなえ特有の嫌な感じも残しており、非常に面白く一気読みしてしまった。(Posted by ブクログ)
美しい少年5人と自分の息子を殺し、その輝きが色あせることのない「人間標本」を作った――。蝶の研究をする榊教授の手記から物語は始まる。異常で狂気的な猟奇殺人の真実とは……。
物語としては奇想天外、最後まで真相が掴めない面白さ。だが、物語の元が「人間標本」そのものであるため、普通の神経を持った空想力豊かな読書好きにはたまらないグロテスクさ。蝶の見ている世界は人間の見ている世界とは違うというのはとても興味深かった。(Posted by ブクログ)
両親が他界し祖母と2人暮らしの梨花。結婚するも子供ができずに悩む美雪。過去の因縁を断ち切ろうと八ヶ岳に登ろうとする紗月。そんな3人の女性の物語が、同時に進行していく。
湊かなえ著の中で1番面白かった。相関図を書きながら読んだ本は初めて。読み進めるごとにどんどん結末が気になってきてハイスピードで読んでしまった一冊。(Posted by ブクログ)
中学時代に駅伝で全国大会を目指したものの、高校では陸上部に入ることを諦めた圭祐。同じ中学の正也の誘いで放送部に入ることになり、そこで全国高校放送コンテストに出場することを目指す。
放送部を舞台にした学園青春小説。マイナー部活+打ち込む物が無い主人公という王道のフォーマットはやはり面白いし、ラジオドラマって読者が脳内で声をイメージできるから小説との相性も良い。(Posted by ブクログ)
自分の周りにも、こんな人たちっていませんか? 湊かなえさんの「原点回帰」ともいえる、衝撃のイヤミスが詰まった6作からなる短編集。
毒がたんまりのイヤミス短編作品。どのお話も短編なのに内容が濃く面白かった。ラストの連作二編は秀逸。黒い湊かなえは期待を裏切らない。(Posted by ブクログ)
瀬戸内海のとある小さな島を舞台に、故郷を思う人々の閉塞感や愛、憎しみなどを描いたミステリー短編集。
湊かなえさん、こんなのも書くのですね。(中略)小さな集落のしがらみの中で懸命に生きていこうとする人々の様子を、静かに見守る目線で描かれていると感じました。ドラマも良かったけれど、原作もよい。(Posted by ブクログ)
母親になれない母と、母に愛されたいと依存していく娘の物語。互いに別々の価値観を持ち、すれ違い、食い違う2人の女性の手記が交互に展開されていく。親子のあり方を考えさせられる作品。
怖い話だった。こういう家庭はたくさんあるだろうと思う。自分が親として、娘として、切り離すところは切り離しつつ、依存しない生き方をしていきたいものだ。(Posted by ブクログ)
結衣子が小学1年生になってはじめての夏休み、大好きだった姉の万佑子が失踪した。そんな姉が2年ぶりに発見され帰ってきたが、妹には違和感があった。「この人は、本当に姉なのだろうか?」と……。
久しぶりに、食い入るようにして読みました。ページをめくる手がとまらず、、!(中略)姉妹ならではの、ライバル意識とか、親の前でいい子でいなきゃ、って意識とか、そのあたりの描写がすごくリアル。(Posted by ブクログ)
湊さん自身がパーソナリティを務めたラジオ番組でのトークをまとめた一冊。おすすめの本や小説講座、家族や知人との交流、旅の思い出など、話の内容は多岐にわたる。
著者はほんとに人柄が良さそうで親しみやすい。 それでいてベストセラーを次々書けるんだからすごい。私もこのラジオのリスナーになりたかった。選曲もめちゃいい。(Posted by ブクログ)
ある日章子のもとに、20年後の未来にいる自分から手紙が届く。その手紙に書かれた「希望に満ちた未来」を信じ、辛いことにも耐えてきた章子。しかし中学生になってもそんな未来が訪れる様子はなく……。
未来から手紙が届いたという冒頭や、ドリームランドの設定はワクワクした。また、後半になるにつれ、登場人物ひとりひとりにフィーチャーして、今までの謎が解き明かされるのも面白かった。(Posted by ブクログ)
「空の彼方」という、結末の書かれていない小説が紡いでいく物語。書きかけの物語があったら、あなたはどんな結末にしたいですか? 最後にはホッと優しい気持ちになれる連作集。
読み終わった後の嫌な気持ちが全くなく、いつものドロドロした感じもなく、新しい雰囲気の話で私は好きです。全体的に優しい内容でした。読んで損はないと思う。ありです(Posted by ブクログ)
高級住宅街で高橋家の夫が殺された。それから間もなく長男、そして妻が失踪する。向かいに越してきて、高橋家と家族ぐるみで仲の良かった遠藤家も徐々に家族の関係が悪化していき……。
湊作品3作目です。今までは読んでいて怖い作者だ。と思っていました。この作品はそういったイメージを払拭してくれた物でした。もう少しこの作家を追ってみても…と思える作品でした。(Posted by ブクログ)
「山」「猫」「珈琲」があったことで、この10年をやってこられたという、湊かなえ初のエッセイ集。
イヤミスという言葉を生んだ数々の著作のイメージとは真逆な雰囲気で驚きました。エッセイが苦手とのことでしたが、とても真摯に取り組んでいるような真面目な文章は好感が持てます。(Posted by ブクログ)
人には言えない苦しい「思い」を持った女性たちが、山に登る。その山の頂上には、何が待っているのだろうか。優しい気持ちになれる連作集。
山登りには全く興味がなかったが、山頂の気持ち良い空気を吸っているような気分になり、山登りがしたくなった。(Posted by ブクログ)
立場の違う3人の女性が出会い、とあるきっかけからボランティア基金「クララの翼」を設立する。しかし、それぞれの思惑が交錯し、彼女たちの関係には少しずつ亀裂が生じていく。
善意は悪意より恐ろしい。と言う帯を見て買いました。3人の女性のそれぞれの立場からの心境、どれも共感出来るものがあった。見応えあり。(Posted by ブクログ)
引きこもりの男が妹を刺殺したのち、放火によって両親をも死に至らしめた「笹塚町一家殺害事件」。それから15年後。次回作のテーマにその事件を選んだ映画監督の長谷部は、脚本家の甲斐とともに真相に迫っていく。
一気にぐわぁんと伏線を回収していくのがすごい。重厚感もあるし複雑な話なのに消化不良にはならない。色んなエピソードが絡まりあっているのがとても面白く、サスペンスとしても面白く、最後まで飽きずに読み切れる作品でした。(Posted by ブクログ)
サラリーマンの深瀬は、コーヒー豆専門店で美穂子と出会い恋人になる。あるとき、美穂子の職場に「深瀬和久は人殺しだ」と書かれた手紙が届く。深瀬は、3年前の夏に起こったある事故について語り始めるのだった。
ミステリーとしては地味なオチなのに、衝撃が凄まじかった。ドロドロ復讐劇の方がまだ救いがある。主要登場人物が皆優しくて真面目でいい人たちだからこそ後味が悪い。ラストで「わっ…」と声が出てしまった。(Posted by ブクログ)