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世界終末戦争(下) 岩波文庫
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世界終末戦争(下) 岩波文庫

バルガス・リョサ(著者), 旦敬介(訳者)

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世界終末戦争(下) 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2025/08/16
JAN 9784003279670

世界終末戦争(下)

¥1,485

商品レビュー

4.7

6件のお客様レビュー

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2025/12/02

大変興味深く、名作だと思う。 ブラジルで実際に起こったカヌードス戦争(1896-97)の話。 救世主と呼ばれたアントニオ・コンセリェイロ。彼が説教をして歩いていると次々と人が集まり、彼と彼を崇める何万もの人がカヌードスに定住する。国家をアンチキリストと称し軍と戦い、軍に全滅さ...

大変興味深く、名作だと思う。 ブラジルで実際に起こったカヌードス戦争(1896-97)の話。 救世主と呼ばれたアントニオ・コンセリェイロ。彼が説教をして歩いていると次々と人が集まり、彼と彼を崇める何万もの人がカヌードスに定住する。国家をアンチキリストと称し軍と戦い、軍に全滅させられる。 読んでいると、そこから生じた様々な思いや考えが頭を占めてしまい、のろのろ読みになって読み終えるのにだいぶ時間がかかってしまった。 感想とかどんな本なのかとかまとめられるような作品ではなく、人間の、社会の、全てがある気がする。 上巻は矛盾について皮肉を込めて書いているという印象。 例えば、人殺しが信仰に目覚めてやっと人を殺す人生から抜け出せたと安堵するのに結局その信仰の為に多くの人殺しをしなくてはいけなくなるとか。思想や主張、宗教や戦争の矛盾を強く感じた。 下巻は人間の本能的な欲について書いている印象。 生きたい、愛し愛されたい、性への欲望、怒り。 登場人物が多様で、犯罪者(犯罪者から信者になる複数人)、革命を見たいと願う人、記者、農園主、権力者、軍人兵士、体に異常がある人々、商人など、それぞれが語り手となって個人の思いや人生を語ったり同じ時をそれぞれの立場から語ったりする。 そのような構成であるのに、発端となるコンセリェイロだけは何を考え何を思っているのか全く書かれず、彼が語り手となることはない。彼の言葉は神の教えだけ。 私的にはそのことがこの作品を名作にしているように感じた。 本当に色々なことを考えてしまう本だった。

Posted by ブクログ

2025/11/08

もともとボリュームはあるけども、割と仕事を忙しくしていたこともあり結局上下読み終わるのに2ヶ月かかった。 私にとっての初バルガス=リョサ。ラテン文学好きで、ノーベル賞作家なのに、初でした。 ブラジルが帝政から共和国制に切り替わった19世紀末、時代の流れに取り残されたブラジルの内...

もともとボリュームはあるけども、割と仕事を忙しくしていたこともあり結局上下読み終わるのに2ヶ月かかった。 私にとっての初バルガス=リョサ。ラテン文学好きで、ノーベル賞作家なのに、初でした。 ブラジルが帝政から共和国制に切り替わった19世紀末、時代の流れに取り残されたブラジルの内陸部地方エリアで勃発した通称「コンセリェイロ」率いるキリスト狂信者集団(作中ジャグンソと呼ばれる)の反乱と、それを鎮圧すべく向かうブラジル共和国との戦い。史実をベースに、細部がセミフィクション化された物語。 史実の通り最終的には鎮圧される。鎮圧されるまでの両サイドの思想なり人間模様なりが、群像劇のように視点を変え語られる。 傍から見たら狂信者と思われる集団なのだけれども、細部を見ると実はその集団ができる非常に合理的な理由がある。 貧困だったり抑圧だったり。貧しさが当然で地形的にも孤立している社会では、コンセリェイロが説く思想が綿のように身体に染み込む。狂信者になろうとして狂信者になるのではなく、その思想を救いとする以外、対抗する思想などどこにもないのだ。受け入れる以外の選択肢はなく、結果その人々が狂信者と呼ばれるようになる。 しかしその彼らは篤信で清貧、信仰が厚いがゆえに規律ができておりコミュニティ内でのトラブルもない。そしてコンセリェイロのおかげで、悪事の限りを尽くしてきた荒くれ者たちすらルールに則った正しい生活を送っている。 ただ一つ、共和制というルールを認めることができず、戦争に巻き込まれていく。 物語の中に何人かキーとなる人物が出てくるのであるが、その中でも最重要人物だと思われるのが、近眼の記者。彼は当初共和国軍側の記者として同行し、その後ジャグンソとの戦いで敗走する中、紆余曲折を経てジャグンソ側に身を寄せる。彼のある意味中立の立場から両者を眺める場面が幾度となく現れ、この戦争の輪郭がはっきりしていく。はっきりしていく一方、何が正しいのかがわからなくなっていくのも彼の視点を通じてである。 両軍ともに困憊しボロボロの状態、そしてその絶望的な状況でなお信念に従い使命を持って動き続ける様、本当に痛々しくも圧倒される生のほとばしりをそのまま文章に落とし込む技術。素晴らしい。群像劇のように視点が変えられると書いたが、終盤はすこし時系列も前後する。ただ、この時系列の前後も物語に大きな印象を付け加えることに一役買っている。この語り口はバルガス=リョサの得意とする技法らしいのだが、これが実に効果的である。上下で1100ページくらいあるのだが、長く続く戦争を読み手に飽きさせることなく語り尽くす。 ブラジルの地形、地名、独特の名前。慣れないと読みにくいところはたくさんある。 ラテン文学の中では抜群に読みやすい方だとは思うが、それでもするすると読めるようなものではない。 それでも少しずつでも、この物語の登場人物それぞれの生のほとばしりに触れる価値はあると思う。傑作。

Posted by ブクログ

2025/10/29

日本大学図書館生物資源科学部分館OPAC https://brslib.nihon-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1000347938

Posted by ブクログ