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天路の旅人(下) 新潮文庫
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天路の旅人(下) 新潮文庫

沢木耕太郎(著者)

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天路の旅人(下) 新潮文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2025/04/23
JAN 9784101235394

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商品レビュー

4.2

24件のお客様レビュー

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2025/11/11

これは簡潔に感想を書きます。 人によってはわかりにくいかもしれないけれど、それは『読んでみて』と言いたい。 凄まじい人生を観た。 自身の生活や目標、大きく言えば価値観にとても影響する読書体験でした。 『自己』を大切にしたいと本気で思えました。

Posted by ブクログ

2025/11/10

沢木耕太郎氏は、1947年東京都生まれのノンフィクション作家・紀行作家である。横浜国立大学経済学部を卒業後、入社企業を初日に退職して文筆活動に転じ、1970年に作家デビュー。社会の周縁に生きる人々や事件、スポーツ選手などを題材にしたルポルタージュを数多く手掛け、1979年に『テロ...

沢木耕太郎氏は、1947年東京都生まれのノンフィクション作家・紀行作家である。横浜国立大学経済学部を卒業後、入社企業を初日に退職して文筆活動に転じ、1970年に作家デビュー。社会の周縁に生きる人々や事件、スポーツ選手などを題材にしたルポルタージュを数多く手掛け、1979年に『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1986年から刊行された『深夜特急』は、自身26歳のときのインドからロンドンまでの一人旅を描いた作品で、若者を中心に絶大な支持を集め、JTB紀行文学賞を受賞。以後も『一瞬の夏』、『凍』、『キャパの十字架』など多彩なテーマで作品を発表し続けている。 本作品は、第二次大戦末期にラマ僧に扮して中国西域へ潜入した西川一三の、8年間に亘るチベット、インド、ネパールへの旅と人生を、西川の著作『秘境西域八年の潜行』と本人への1年間の取材をもとに描いたノンフィクション作品。2022年出版、2025年文庫化。読売文学賞受賞。 私は、好きな書き手を問われれば迷わず沢木の名前を挙げるファンで、これまで読んできた本はエッセイ集を含めて30を下らないが、本書については、文庫化後入手して読んでみた。 作品としては、序章の入り方から、終章の終わり方まで、実に沢木らしいものだったが、驚くのは、何と言っても、西川一三の8年間の旅と生活の凄まじさである。移動の距離(インド国内では鉄道を使っているが、それ以前の内蒙古からインドまでの距離は直線距離でも2,500km)、自然環境の厳しさ(大半の地形は砂漠・土漠や山岳地帯。また、チベット・インド国境のヒマラヤの峠は標高4,000m超で、ここを9回越えている)、文化・慣習・言語の違い等、現代日本に住む私にとっては、にわかには想像すらし難しいものだ。 読了後、私は以前に似たような読後感を持った作品があった気がして、しばらく考えたのだが、それは井上靖の『天平の甍』だった。同書は、奈良時代に戒律を求めて唐へ渡った僧・普照と仲間たちの苦難と理想を描いた歴史小説で、当時はもちろんチベットやインドへは行けなかったものの、その壮絶な旅路が重なって感じられたのだ。 それにしても、西川一三はなぜここまで壮絶な旅をしたのか。。。西川が最初に内蒙古の日本の勢力圏から中国の支配地域に入ったのは、軍にも認められた諜報活動のためだったが、それも軍の命令というより自らの申し出によるものであったし、初期の段階で撤退の指示が出ても、西川はそれを無視して西への旅を続けた。さすがに、日本が負けたと思われる知らせに接したときは動揺するが、それでも(むしろ、それだからこそ)ヒマラヤを越えてインドまで行く道を選んだのだ。一方で、本書には、西川が子供の頃に蒙古服を着た男性から中国大陸の奥地の話を聞いて憧れを抱いていたこと、沢木との会話の中で、西川が「一度行ったことがあるところにまた行っても仕方がありませんからね。行ったことのないところなら別ですが」と語ったこと等が書かれているが、西川という人間の、未知なる世界に対する興味と、それを成し遂げるための情熱・生命力が、人並みはずれたものだったということなのだろう。 そして、本書に加えられたもう一つの面白さは、同じ時期に内蒙古からインドへ旅をした木村肥佐生の存在である。西川と木村は、チベット・インドで一時期行動を共にするが、タイプは大きく異なり、帰国後も対照的な人生を送った。木村は、西川に先んじて『チベット潜行十年』を出版して注目され、また、モンゴルやチベットとの関わりを持ち続けて、大学教授にもなったのに対し、西川は、盛岡で一商売人としての半生を全うした。このことは、沢木が本書で目指した、西川の8年間の旅だけではなく、西川一三という人間を描くために、大きな意味を持ったといえるだろう。 沢木の最長の長編ともされるが(『波の音が消えるまで』の方が長い?)、沢木だからこそ書き得た大作であることは間違いない。 (2025年11月了)

Posted by ブクログ

2025/10/22

大戦中の中国の奥地、チベット、そしてインドへと過酷な、しかしその苦難を楽しむと言っては語弊があるが、味わいながら?旅を続ける西川一三の姿が描かれる。 同行者との出会いと別れ、同じ釜の飯を食う、共に苦難を乗り越える。冷たい川を渡るシーンは読んでいてこちらも足が痛くなるような思いが...

大戦中の中国の奥地、チベット、そしてインドへと過酷な、しかしその苦難を楽しむと言っては語弊があるが、味わいながら?旅を続ける西川一三の姿が描かれる。 同行者との出会いと別れ、同じ釜の飯を食う、共に苦難を乗り越える。冷たい川を渡るシーンは読んでいてこちらも足が痛くなるような思いがした。そして、西川一三自身の飽くなき、旅や未知への渇望の渦に引き込まれるようにして一気に読み終えた。 私の、旅や未知への渇望をくすぐる、そんな面白い、読み応えのある本でした。

Posted by ブクログ