1,800円以上の注文で送料無料

誰のために 何のために 建築をつくるのか
  • 中古
  • 書籍
  • 書籍
  • 1212-01-39

誰のために 何のために 建築をつくるのか

伊東豊雄(著者)

追加する に追加する

誰のために 何のために 建築をつくるのか

定価 ¥2,750

2,255 定価より495円(18%)おトク

獲得ポイント20P

在庫わずか ご注文はお早めに

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 平凡社
発売年月日 2025/04/17
JAN 9784582544817

誰のために 何のために 建築をつくるのか

¥2,255

在庫わずか
ご注文はお早めに

カートに追加するカートにいれる

商品レビュー

3

2件のお客様レビュー

レビューを投稿

2025/10/07

『#誰のために 何のために 建築をつくるのか』 ほぼ日書評 Day934 大阪万博2025の、EXPOホールの設計を担当した伊東豊雄氏の近著。 著者の建築論の基本は、機能からの離脱。コルビュジエ以来の西洋建築との訣別宣言と言うとわかりやすいのかも知れない。 そのことを「部...

『#誰のために 何のために 建築をつくるのか』 ほぼ日書評 Day934 大阪万博2025の、EXPOホールの設計を担当した伊東豊雄氏の近著。 著者の建築論の基本は、機能からの離脱。コルビュジエ以来の西洋建築との訣別宣言と言うとわかりやすいのかも知れない。 そのことを「部屋でなく、場所をつくる」と表現する。 例に挙げられるのが、飼い犬(室内犬)。 決まったスペースでなく「居場所」があれば良い 暑い夏は風通しの良い玄関に、寒い冬は縁側の陽だまりにといった具合で、過ごしやすい場所を身の置き場とすればよい。 その心地よい場所は「淀み」と表現される。 屋根の無い囲いでぐるりと取り巻いただけで、周囲の環境から隔絶された「淀み」が生ずる。 たとえば、塀越しにみる蜜柑畑は、いつもの蜜柑畑ではないということ。 みんなの森 "ぎふメディアコスモス" では、自然の風を取り入れ、檜造りの波打つ屋根が里山に溶け込むデザインを考案した。 ここには一度行ってみたい。 図版がない文評だけではなかなかイメージも伝わらないが、今回、大阪万博へは多くの人が足を運んだようなので、EXPOホールの感想を伺ってみたいものだ(評者はいかず仕舞いで終わりそう)。 https://amzn.to/4o203d2

Posted by ブクログ

2025/05/10

機能概念の崩壊と「場所」の創造: 現代建築や都市において、機能という概念はもはや成り立たなくなっていると伊東氏は指摘する (p.6, p.38)。 ル・コルビュジエに代表される近代主義建築は、機能に最適化された空間(部屋)の集合として捉えられてきたが、伊東氏は「部屋でなく場所をつ...

機能概念の崩壊と「場所」の創造: 現代建築や都市において、機能という概念はもはや成り立たなくなっていると伊東氏は指摘する (p.6, p.38)。 ル・コルビュジエに代表される近代主義建築は、機能に最適化された空間(部屋)の集合として捉えられてきたが、伊東氏は「部屋でなく場所をつくる」ことの重要性を強調する (p.38)。これは、動物が五感を働かせて「居場所」を確保するように、人間も建築の中で自由で感性的な「居場所」を求めるべきだという考えに基づいている。 仮設住宅での経験から、「みんなの家」が被災した人々にとって文字通り「みんなの家」となり、生きる力につながる場所となったことを挙げている (p.136)。 自然との関係性の再構築: 近代建築は技術の進化により自然との直接的な関係を絶ってしまい、自然から独立した存在となってしまった (p.22)。しかし、伊東氏は自然の流れを阻害しない建築、自然界の「流れ」と「淀み」によって構成されるような建築をつくりたいと考える (p.28)。 自身が設計した「せんだいメディアテーク」や「みんなの森 ぎふメディアコスモス」において、自然光や風、水といった自然の要素を建築に取り込み、自然との関係性を回復しようと試みた (p.78)。 中沢新一氏の言葉を引用し、「大地」は自然のプロセスのはらむ流動性や多様性が表現された「地神」であるとし、地鎮祭はその流動性を受け入れるための儀礼であると考察している (p.67)。 建築と感動・生きる力: 伊東氏は建築に求められる美しさは、人間のもつ生命力に訴えかけるプリミティブな美しさであり、埴輪や縄文土器に見られるような力強い美しさだと述べる (p.126)。 「美しい建築に人は集まる」(p.151) と述べ、建築が人々に感動を与え、生きる力を与えることができると信じている (p.122)。 「音の洞窟」と称される台中国家歌劇院の、3次元の曲面が連続する内部空間は、光によって流動的な空間を形成し、人々に自然の中にいるような感覚を与え、感動を呼び起こす可能性を秘めている (p.62)。 理想像の追求と現実化: 建築をつくる兵(者)の意義は、理想像を描いてから現実世界における実現可能性を探ることにあると考える (p.13)。 「白いい闇」や「せんだいメディアテーク」といった初期の作品は、非現実の世界に描いたイメージを現実化しようとした試みであり、現実化の過程でイメージはほとんど消え失せてしまうという経験から、理想と現実の間のギャップを強く意識するようになった (p.14)。 日本の近代建築と機能主義: 戦後日本の近代主義建築は、丹下健三氏などを中心に機能主義の概念を取り入れ、経済復興の中で効率化を追求してきた (p.13)。 しかし、管理が支配的で自由な活動が制限される公共建築や、プライバシーを優先し外部から遮断されたマンションなど、機能に囚われた結果、人々の感性を失わせる建築が増加している現状に疑問を投げかけている (p.39, p.13)。 引用: 「現 代 姓 槃 や 都 市 に 機 能 と い う 概 念 は も は や 成 り 立 た な い」 (p.6, p.38) 「部 屋 で な く 場 所 を つ く る」 (p.38) 「「 流 れ 」 と 「 淀 み 」 に よ っ て 構 成 さ れ て い る」 (p.28) 「建 築 は 人 に 感 動 を 与 え ら れ る か」 (p.122) 「美 し い 建 築 に 人 は 北 ま る」 (p.151) 結論: 本書は、現代社会における建築のあり方に疑問を投げかけ、建築が単なる物理的な構造物ではなく、人々の感性に訴えかけ、生きる力を与える「場所」となることの重要性を訴えかける力強いメッセージである。機能主義の限界を指摘し、自然との関係性を再構築し、理想を追求する過程こそが建築家の役割であると伊東氏は述べている。自身の作品を通して、これらの思想を具体的に示しており、今後の建築のあり方について深く考えさせられる一冊である。

Posted by ブクログ