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長くなった夜を、
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 集英社 |
| 発売年月日 | 2025/04/04 |
| JAN | 9784087718966 |

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商品レビュー
3.3
14件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
※評価は全てつけていません 二人称で書かれている理由、「長い夜を、」ではない理由、それが読んでいくうちに理解できてしまって、どんどんページが重たくなりました。 主人公にとっての幸せを考えてくれるのは他人ばかりでした。 肝心の主人公に自我がないせいで、周りの善意は伝わらない。主人公を取り巻く人間関係がほとんど一方通行であることに、虚無感を覚えました。 主人公に意志がないために、誰に対してもまともな会話がなかったことも印象的でした。 たとえば母に「帰りが早かったなら、なんでもいいから作っておいてほしかったな」と言われても、帰ってきた時間をごまかしただけ。そこには「私だって大変なんだよ」とむっとした描写も、「ごめんね、仕事で疲れててそこまで気が回らなかった」と反省する様子もありません。母親や自分の気持ちを考えるわけではなく、母親を怒らせないことでその場を納めようとするだけです。 こうやってずっと生きてきたとすれば、主人公には家族以外の人間関係は皆無に等しいでしょう。そして、その家族とも意思疎通はしていない。 この時点で主人公の社会性は育っていないと想像でき、彼女の容量の良し悪しに関わらず、幼稚園教諭として仕事はできないだろうと思いました。 印象的だったのは、幼い主人公に対する両親の『教育』の場面です。 辛かったはずなのに、その辛さを覚えているのに、それでも実家を離れなかった(=『教育』に成功した)主人公の目線や表情を見ていれば、早くから妹が反抗的になるのも当たり前だと思います。 子がいながら妹が自分本位に行動してしまうのも、『普通』の子と違って両親から愛されなかったためなのかなと想像しました。主人公と違って『普通』よりに過ごしてきた妹にとって、主人公よりもずっと自分たちのおかしさに触れる機会は多かったでしょうから。 そんな妹に「教えてや」と詰め寄られても、おかしいと感じる感性を捨ててしまった主人公にとって、『幸せ(=主人公家族にとっての正解)』はあのラストしかなかったのですね。 おかしいと思い続けるより、考えを捨てることを選んだ。作品中で見える、主人公の唯一の『自我』だったような気がします。 そして考えることをやめた主人公は、常識をも持ち合わせなくなります。『普通』の人間は、たとえ体調が悪くても良くなるよう動くでしょうし、そこに憐れみを求め続けようとはしない。そうなる前に元気になって、自分の判断がおかしいことに気がつくはずです。 ラストの先、主人公にとっての幸せはなんでしょうか。 どうすれば『よかった』んだろう、ならたくさん答えが見つかるのに、どうすれば『いい』んだろう、と未来のことになるともう何も見えなくなります。 両親が死んだら、 妹に訴えられたら、 入院が長引いて仕事を辞めざるを得なくなったら、 誰が主人公を導いてやれるのでしょうか。 主人公には誰のことも見えていないのに。
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はじめましての作家さん 救いがない!でもこういうのが読みたかった 普通に暮らしていたはずなのに、子連れで出戻ってきた妹と暮らすようになり少しずつ歯車が狂っていく 甥っ子の存在は癒しかと思いきや、あらたな生贄 同僚やスナックママの気遣いがリアルな距離感でいい
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本当になんとなく見つけて手にとって、帯を見て、読んだら苦しい気持ちになるだろうなあと思って、それでも読んで、案の定そうなった。 38歳実家暮らし・非正規雇用の環が、ネグレクト気味のシングルマザーの妹・由梨の息子・公彦の保育園の送り迎えをしたり面倒を見たりしているという話。38歳の娘に門限を強いる両親も頭がおかしいのだが、それから抜け出せない環もどうかしてしまっている。幼い子供を一人家に置いて男に会いに行く由梨もいかれている。個人的には環の父親の一人称が「僕」なのも無性に嫌だった。外面だけは取り繕っている感じが一人称と口調から滲み出ている。ろくでもない登場人物たちを脳内で並べて、つい「だれが一番悪いんだ」と考えてしまうのを堪えて、どうか環の入院をきっかけに、少しでもマシな方に歯車が動いてくれと願うしかない。
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