1,800円以上の注文で送料無料

記憶の戦争 「ホロコースト」の呪縛と現代的危機
  • 中古
  • 店舗受取可
  • 書籍
  • 書籍
  • 1216-02-00

記憶の戦争 「ホロコースト」の呪縛と現代的危機

橋本伸也(著者)

追加する に追加する

記憶の戦争 「ホロコースト」の呪縛と現代的危機

定価 ¥3,960

2,695 定価より1,265円(31%)おトク

獲得ポイント24P

残り1点 ご注文はお早めに

発送時期 1~5日以内に発送

店舗受取サービス対応商品【送料無料】

店舗受取なら1点でも送料無料!

店着予定:12/11(木)~12/16(火)

店舗到着予定:12/11(木)~12/16(火)

店舗受取目安:12/11(木)~12/16(火)

店舗到着予定

12/11(木)~12/16

店舗受取サービス対応商品

店舗受取なら1点でも送料無料!

店舗到着予定

12/11(木)~12/16(火)

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 名古屋大学出版会
発売年月日 2025/03/24
JAN 9784815811891

店舗受取サービス
対応商品

店舗受取なら1点でも送料無料!
さらにお買い物で使えるポイントがたまる

店舗到着予定

12/11(木)~12/16(火)

記憶の戦争

¥2,695

残り1点
ご注文はお早めに

カートに追加するカートにいれる

商品レビュー

5

2件のお客様レビュー

レビューを投稿

2025/08/28

 「ポスト冷戦」期の旧ソ連・中東欧での「記憶の抗争」「記憶の政治」の動向を学ぶためにずっと参照してきた著者の最新の論集。2017年から2024年に発表された論文をもとに、とくにウクライナ戦争、イスラエルのガザでの虐殺と無差別大量破壊という情況を踏まえた加筆がなされている。ロシアに...

 「ポスト冷戦」期の旧ソ連・中東欧での「記憶の抗争」「記憶の政治」の動向を学ぶためにずっと参照してきた著者の最新の論集。2017年から2024年に発表された論文をもとに、とくにウクライナ戦争、イスラエルのガザでの虐殺と無差別大量破壊という情況を踏まえた加筆がなされている。ロシアによるウクライナ侵攻以後のティモシー・スナイダーの変貌など、個人的に気になっていたことがらにも専門家ならではの言及があって、勉強になった。  著者の議論の根幹にあるのは、1990年代以降の「ポスト冷戦」期をグローバルな記憶の抗争の時代と捉え、体制転換を果たした旧ソ連・中東欧諸国で歴史と記憶の民主化と同時に政治化が進行したこと、さらにそうした政治化した歴史と記憶のハレーションが国内外の対立と亀裂を深め、「戦争を生み出す地場」へと転化してきた、という認識である。こうした道具立てで考える著者の議論では、「移行期正義」にかかる一連の問題提起も「記憶の政治化」の一端として再審の対象と捉えられる。  問題は「どのような政治化か」にあると思うので、権威主義的な体制による歴史の道具化と「移行期正義」の実践はいったん区別して考えたいところだが、台湾での事例などを見ると、「移行期正義」の取り組みとナラティブの政治が不可分であることは確かだとも思う。  著者はドイツを歴史と記憶をめぐる問題の「優等生」と捉えて規範化し、そこからの差異/落差において日本国家・日本社会のあり方を否定する話法にも鋭い批判の目を向ける。「ポスト冷戦」期の「謝罪の政治」が、つまるところ誰に対する、何のための「謝罪」だったのか。そのことを国家と社会の暴力がもたらした悲劇的な出来事の記憶と歴史化にどうつなげていくのか――。著者の問題意識は歴史学者に向けられているが、では文学研究者にできることは何なのか。文学には何ができるのか。文学と歴史学の知的な協働の可能性は考えられないのか。重たい問いばかりが思い浮かんできた。

Posted by ブクログ

2025/04/19

本書は、「人々はなぜ過去をめぐって争いを起こすのか」という根源的な問いから出発し、現代における「記憶の戦争」の実態、特にロシア・ウクライナ戦争におけるプーチンの記憶政治を起点として、「ジェノサイド」概念の政治利用や、「ホロコースト」記憶の形成・変容とその現代的な「呪縛」を深く考察...

本書は、「人々はなぜ過去をめぐって争いを起こすのか」という根源的な問いから出発し、現代における「記憶の戦争」の実態、特にロシア・ウクライナ戦争におけるプーチンの記憶政治を起点として、「ジェノサイド」概念の政治利用や、「ホロコースト」記憶の形成・変容とその現代的な「呪縛」を深く考察する一冊。歴史認識が現実の紛争にいかに影響を与え、また利用されるかを、多様な事例を通して分析し、「過去の克服」という規範が揺らぐ現代の危機的状況を描き出す。 第一部「記憶の書かれ方と記憶のされ方」では、ロシア・ウクライナ戦争を題材に、プーチン大統領が「ウクライナ人の歴史的一体性」を主張し、「ドンバスの悲劇」や「ジェノサイド」といった言説を用いて軍事侵攻を正当化する記憶政治を分析。彼の歴史観の根底にある「大祖国戦争」史観や、ソ連崩壊後のロシア帝国の喪失感、「ネオ・インペリアルな野心」を指摘する。ウクライナ側も「脱共産主義化」を進める中で、ナチス協力者(バンデラ等)の顕彰やホロドモールを「ジェノサイド」とする主張など、独自の国民史構築と記憶政治を展開。両国の歴史認識の対立が紛争を激化させる要因となっている。さらに、歴史記述そのものが持つ構築性や文脈依存性を論じ、客観的な「正しい認識」による対立克服という近代歴史学の楽観性を批判。集合的記憶が政治的・社会的に形成されるメカニズムや、記憶政治の具体的な手法(歴史書き換え、国家機関、記憶法)に言及し、歴史家の立ち位置を問う。 第二部「『ジェノサイド』の想起と忘却」では、「ジェノサイド」概念が本来の国際人道法上の趣旨から逸脱し、政治的に濫用されている現状を批判的に検討。ロシア・ウクライナ双方による非難合戦や、過去のドイツによるナミビア虐殺のジェノサイド認定の遅れなどを例示。サルトルらがベトナム戦争における米国の戦争犯罪を「ジェノサイド」として告発したラッセル法廷が、主流のジェノサイド研究から黙殺されてきた事実も指摘する。続いて、「ホロコースト」記憶の形成と変容を考察。アメリカのテレビドラマが国際的関心を喚起した経緯や、米国の記憶政治におけるホロコーストの役割を分析。アウシュヴィッツが抽象的な記憶の場となりがちな現状に対し、歴史の現場へ立ち戻る必要性を説く。ティモシー・スナイダーがホロコーストを東欧の広範な大量殺戮の文脈で捉え直し、ナチ・ソ連体制の相互作用を問うた試みとその賛否を論じる。リトアニアにおけるホロコースト記憶の複雑性(杉原千畝美化とユダヤ人惨禍の忘却、ナチス協力問題)や、ドイツにおける「過去の克服」とその課題(ホロコーストの唯一性強調と他不正義の抑圧、「ドイツ・カテキズム」論争)にも言及。『ホロコーストとナクバ』など、ホロコーストとパレスチナ人追放や植民地ジェノサイドとの比較・接続を通じて、唯一無二性への固執を批判する議論も紹介。 第三部「パートランド・ラッセル法廷の継承」では、ベトナム戦争告発のラッセル法廷の詳細(構成員、審理内容、ジェノサイド認定)と、その理念を継承したパレスチナ法廷の活動(ソシオサイド概念、イスラエル告発)を紹介。民衆法廷が国家犯罪を問う意義を示す。 結論/エピローグでは、過去をめぐる敵対的議論の構造、歴史家への圧力、ポスト冷戦下での「過去の克服」規範の変質・失効の可能性を指摘。本書が、著者にとっての恩師への追悼であると同時に、現代世界の変動の中で歴史と記憶を問い直す試みであることを示唆する。

Posted by ブクログ