地球の測り方 宇宙から見る「水の惑星」のすがた

青木陽介(著者)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2025/02/28
• JAN: 9784065386057

商品レビュー

2025/03/22

第2章: 地球の形状と重力
- 地球の形状の提唱
- ニュートンが地球を赤道方向に張り出した回転楕円体と提唱。
- 自転による遠心力が赤道で強く、北極と南極で無効。
- ニュートンは地球の扁平率を1/230と求め、実際の扁平率は約1/300であると確認。

- 地球の形の定義
- 地球の形とは、重力による位置エネルギーが等しい面（ジオイド）を指す。
- 現在の地球の形は回転楕円体であることが観測され、GRS80が最も広く使用されるモデル。

- 日本の測地系の変遷
- 2002年4月1日よりGRS80に準拠した座標系を使用。
- それ以前はベッセル楕円体が使用されていた。

第4章: 地球の変形を連続的に観測する方法
- 伝統的測定技術の限界
- 従来の測定技術は数ヵ月から数年に一度の計測に依存していた。
- 地球の変動現象は多様な時間スケールを持つため、連続観測が重要。

- GNSSによる連続観測
- GNSSは地殻変動観測の主力技術となっている。
- 傾斜計やひずみ計などの地上技術が依然として重要。

- 傾斜計の役割
- 地面の傾斜変化を高感度で測定。
- 水管傾斜計など、長基線の設置により高感度が実現される。

第5章: 地震と火山活動の観測
- 地震による変形
- 地震後の余効変動に関する研究が進んでいる。
- 地震の際の変動が、地表でのGNSS観測によって可視化されている。

- 火山活動の予測
- 地殻変動の観測が火山噴火の予測に役立つ。
- 伊豆半島の群発地震に先立つ傾斜変動が観測された事例。

第6章: 衛星測地技術
- SLR (衛星レーザー測距)
- 人工衛星の位置を正確に決定する技術。
- 大気の影響を補正し、精度の高い測定が可能。

- GNSS (全地球衛星測位システム)
- 1990年代から普及し、地殻変動観測の主力技術に。
- 多数の観測点により精度の高い位置測定が実現。

第8章: 地球の回転の観測
- 地球回転の変動
- LOD（地球の1日の長さ）の変動が観測されている。
- 潮汐力や大気の影響が変動に寄与。

- VLBI (超長基線干渉法)
- 地球の回転に関する高精度な測定手段。
- 宇宙空間に固定された天体からの信号を利用。

第10章: 気候変動と地球の変形
- 後氷期変動の影響
- 氷床融解が引き起こす地球の変形を観測。
- 地球の粘弾性応答による地表の隆起と沈降が関与。

- 温暖化の影響
- 最近の気候変動が地表変位や海面変動に影響を与える。

第11章: 地殻変動の重要性
- 誘発地震の研究
- 人間の活動による誘発地震の観測。
- 地殻変動が未来の地震予測に役立つ可能性。

- 余効変動の理解
- 地震後の余効変動の観測が、地殻の応力場に関する洞察を提供。

第12章: 火山と測地学の関係
- マグマの上昇と火山活動
- マグマは浮力を得て上昇し、火山を形成。
- ホットスポット火山の発生メカニズム。

- 火山噴火の予測
- 地殻変動の観測が噴火予測に寄与する場合がある。