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庭の話

宇野常寛(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2024/12/01
JAN 9784065377918

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2026/07/25

私の考えるこの本の面白さは、著者の偏った認知にある。 具体的には、①SNSの承認交換的な一面を過剰に重視してその利用者をタイムラインの潮目を読む存在であると捉えている点、②共同体に対する執拗とも言える警戒心を抱いている点、の2点である。 一般に偏りは良くないものだと思われている。...

私の考えるこの本の面白さは、著者の偏った認知にある。 具体的には、①SNSの承認交換的な一面を過剰に重視してその利用者をタイムラインの潮目を読む存在であると捉えている点、②共同体に対する執拗とも言える警戒心を抱いている点、の2点である。 一般に偏りは良くないものだと思われている。しかし、深い分析を行うためには執着が必要で、執着は偏りがなければ生じない。 実際この本では、SNSがその本質に持つ承認交換的なコミュニケーションを促す構造と、個人(特に社会的弱者)を抑圧する共同体の問題点に対する鋭く緻密な分析という形で著者の偏りが良い方向に働いている。 タイトルにある「庭」とは、共同体に頼らずにSNSプラットフォームの強い力に対抗する方法を模索する中で答えとして提示されるものであり、承認や評価とは無関係に個人としてその存在を認められる場とされている。 この「庭」の考えも、著者の過剰なまでの共同体嫌悪がなければ生まれなかったであろう概念であり、極めて興味深い内容だった。 だが12章以降は著者の偏りの要素が薄くなるためか、私自身にとってはあまり面白くなかった。 それまでの章では、共同体のもとで抑圧され取り残されてしまう、社会的弱者や所謂コミュ障的な人間の視点が過剰なまでに重視されていた。 しかし、12章以降でプラットフォームへの対抗策として提示される、「弱い自立」や「制作」はそれまでの共同体批判の語り口とは異なり、弱者へのきめ細やかな視線がなくなっており、「anywhere」の範囲を広げる程度の効果しか持たないと感じられた(この限界についての言及はあるため、著者も認識していると思われる) 左派や共同体主義者等への嫌悪感を感じられる部分がたまに見受けられ、その時には少し極端な論調となるが、そこも含めて著者の感性がよく表れており、刺激的な読書体験となった。

Posted by ブクログ

2026/07/20

ビッグテックが設計・管理する中での相互承認ゲームが既に中動態的な世界になっているという主張はとても面白く、人間以外の事物との関わりが処方箋になるという主張や、共同体に満たないが集まる場の大切さといったところには共感でき、「遅いインターネット」の時より思想がかなりアップデートされて...

ビッグテックが設計・管理する中での相互承認ゲームが既に中動態的な世界になっているという主張はとても面白く、人間以外の事物との関わりが処方箋になるという主張や、共同体に満たないが集まる場の大切さといったところには共感でき、「遅いインターネット」の時より思想がかなりアップデートされていると感じた。 他方で、「庭」的なものとして「戦争」を持ち出しているところは、「戦争」があくまでも人為的なものであるという点で却ってプラットフォームとの差異が曖昧になってしまうと思った。プラットフォームのルール変更等はSOMEWHEREな人々にとって抵抗不可能な事象とは言えないか。それならばプラットフォームと庭を分けるものは何か、ここは本書の中に答えは明確でないように思う。 あと全体的に対立構造を用いながら、いずれでもない存在を捨象しがちなのも気になる。これは「遅いインターネット」と同じ弱点。 とはいえ「では君はどう考える?」と言われるようで、自分なりの思索が膨らむ点で良い本だと思う。

Posted by ブクログ

2026/06/27

『庭』は単なる庭ではなく、自分で手をかけ、時間をかけて育てる小さな世界の比喩だ。 SNSのように反応や評価を求める「広場」と対照的に、誰かに見せるためではなく、自分が責任を持って育てる場所。そこから世界との関係を考え直そう、という提案である。 「世界を変える」よりも、まず自分が関...

『庭』は単なる庭ではなく、自分で手をかけ、時間をかけて育てる小さな世界の比喩だ。 SNSのように反応や評価を求める「広場」と対照的に、誰かに見せるためではなく、自分が責任を持って育てる場所。そこから世界との関係を考え直そう、という提案である。 「世界を変える」よりも、まず自分が関われる小さな場所を丁寧につくる。その考え方が、今の自分にはしっくりきた。 本書では、この「庭」という概念から、情報社会や民主主義、教育など多岐にわたる提案がなされている。それでも私の中に一番残ったのは、この考え方だった。 庭とは、自分が責任を持って関われる小さな世界。それでいて、すべてを思い通りにはできず、変化や偶然も受け入れる場所。その「手をかけるが、支配はしない」という距離感が、とても心地よく感じられた。

Posted by ブクログ

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