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この世の喜びよ 講談社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2024/10/16 |
JAN | 9784065369593 |
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この世の喜びよ
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商品レビュー
3.3
9件のお客様レビュー
詩でも小説でも、井戸川射子の言葉は、過去を慈しみ、今を鮮やかにうつしとり、未来に開かれている。 『石井千湖 解説』 不思議な小説でした
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
表題作は、スーパーの喪服売り場で働く中年女性が、いつもフードコートにいる中学生と話をするようになる様子を、同じスーパーで働く人たちとの交流を交えて描くお話 何か大きな事件があったり、決定的に悲しい出来事があるわけではないのだけど、日常を送る中で孤独を募らせている中年女性が、自らの子育てが終わりを迎えようとしている中で、中学生に心を開こうとするというような内容で、読んでいて切ない気分になる作品でした。 二人称で書かれているのが特徴的だけど、過去を振り返ってやさしく自分に語りかけているように感じたけれど、二人称は同時にその語りかけが読者にも向けられるように感じられるから、情報の処理のプロセスがいつもと違う感じになって、読むのに時間がかかってしまいました。 特にドラマ性のない現代の普通の人々の暮らしの中に普遍的な人生の後半の寂しさを描いているところが芥川賞に繋がったのかな。
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詩のように書かれた物語。本来なら句点で区切られるような文章が読点で繋がれてゆき、不思議なところで句点が打たれる。解説を読み、まるで川のような文章だと思った。道端を這う水が流れ行く先を見ようと水を辿っていくが、思いもよらないタイミングでその水が途切れるような、そんな感覚。視点もその...
詩のように書かれた物語。本来なら句点で区切られるような文章が読点で繋がれてゆき、不思議なところで句点が打たれる。解説を読み、まるで川のような文章だと思った。道端を這う水が流れ行く先を見ようと水を辿っていくが、思いもよらないタイミングでその水が途切れるような、そんな感覚。視点もそのように移り変わっていく。“あなた”の目の前の出来事が書かれていると思いきや、段落を変えず次の文章では、“あなた”の過去の出来事に視点が移り変わる。思考の自然な揺らぎを文章で読むことにしばらくは慣れなかったが、慣れると意外にも読める。目の前の少女と、自分の二人の娘の小さな頃を重ねる“あなた”。親として娘たちを大切に思う気持ちと、目の前の少女を大切に思う気持ちが、ゆっくりと重なり合っていく。それは親心ではなく友愛なのだが、“あなた”はそれをまだ受け取る心の準備が整っていない。「この世の喜びよ」とは新たな自分に出会えることや、大切なものや人が増えていくこと、自分の中に新たな感情が芽生えることの喜び、なのだろうか?
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