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空鳥(ヌエ)の碑 文庫版 講談社文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 講談社 |
| 発売年月日 | 2024/09/13 |
| JAN | 9784065362433 |

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空鳥(ヌエ)の碑 文庫版
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商品レビュー
3.9
28件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
鵼の碑 京極夏彦さんの百鬼夜行シリーズを読んだのはいつだったか?もう忘れてしまった。青春時代と共にあったサイコロ本の最新刊ということで、衝動的に本屋で購入した。購入したはいいものの、読み切るのにとても時間がかかって、本読めなくなったなあと改めて実感する。 脳みそが文字面を短期記憶にすらとどめておけないのような、読んだ端からぽろぽろ理解が落ちていくせいで、昔のように熱中するのが難しくて、少し読み、進まず、おいて、少し読みを繰り返した。相変わらず積読は増えてるし、ついこの前に一年前に買った積読を一冊読み終えただけだというのに、亀よりも遅いスピードでだらだちらちらと、読んだ。 鵼、と書いて「ぬえ」と読む、ヌエという妖怪はトラツグミという鳥がモデルという話もあるが、先日初めて夜にその声を聴いた。たしかにひょーだのひぃーだと細い声で夜に鳴くので、あるはずもない公園のブランコの軋みにも聞こえ、ぎょっとした。たしかに何も見えない闇夜に聞こえるにはぎょっとする。でも少しかぼそくて、もの悲しい囀りだった。 今回ヌエという妖怪をモデルにしたのは実態がつかめない、つぎはぎだらけのキメラを彷彿とさせるように、章の題名が、猿、虎、蛇、とモチーフごとであったことが印象的だった。だからといってこれがこう、と書かれた通りの構成が頭に入っているわけではないが、キーワードが合わさると快感を感じるのは本能的な反応だろうか。 そういった欲求によって人々は自由に思い描く。それが妖怪であり化け物だったりする。だいたいの幽霊や妖怪のルーツをたどると、簡単なトリックでしたーとか、科学的にはこういう理由でしたとか、思い込みでした、とか、蓋を開けてみればあっけないものだったりする。でもそんなもの理解したとて、くだらない子供騙しだと切り捨てて、なにが面白い?と疑ってしまう。楽しい方に、愉快な方を遺してしまいたくなる。うやむやであること、その余白や余地を余らせることを望んでしまう。だってそっちのほうが愉快じゃないか。 もしかしたら多くの人も同じようにそう考えてしまうからこそ、SNSで陰謀論に取り込まれてしまうのかもしれない。 誰かを”敵”や”異物”として扱っていた方が都合がいいし、混乱しないからだ。 そんな現代の、うーん、ほの暗い欲求を見透かされているように感じた。 登場人物たちが想定して帰結した『かつての政府が秘密裏に日光の山奥で原子力開発を進めていた』という壮大な鵺の正体は、存在しなかったのである。タイトルにある碑、石であるはずなのに燃え盛っていたものは、夜光塗料という現代から「あーね」で終わる理由で済んでしまった。でももし夜光塗料という前提がなく山でそれを浴びた猿と出会ったら正直たまげると思う。 これまでのシリーズに比べると幻想と狂気が薄らいだ正体だからこそ、無戸籍の謎の山の民・サンガや、戦前の原子力開発の陰謀論、日光に現れるまさに顕現あらかたな猿、などが躍動するように感じた。 原子力が夢のエネルギーなのか。ただ、先人たちの恩恵を享受している現代人からすれば、素晴らしい効能を喧伝され、それを鵜呑みにし、眉唾ものでもありがたがるというのは、変わらないのかもしれない。 余談だが作者の京極夏彦さんも喫煙者であることは有名だが、風の噂で『ヤニネコ』を勧められたと耳にした。かくいう私も紙たばこに比べて煙が少なくて灰が出ないという理由だけで電子タバコを嗜好しているが、死んだ父とも話したが結局のところ現時点で悪影響が科学的に証明されていないだけで紙たばこよりも健康に良いという意味ではないのだ。たまにこうして文字を打っている時に咥えられないのが寂しくなる。ダイエットに効果的だとしてマンジャロという糖尿病の薬を摂取して痩せようとしている人もいるそうだが、実際には過多に摂取してしまうエネルギーを薬品によって抑えているだけなので、悪影響がないわけがない。スマホの登場によって飛躍的に移動コストは減った。知らないものはすぐ調べられるし、何もしたくないときなどショート動画を流していればいい。解説したがりの人間たちがわらわらをご高説を垂れている。私たちが日々享受しているすべてのものが、作中の「夢のエネルギイ」とさして変わらないものばかりだ。 だからといって今それらを手放すことなんてできない。 作中でキーマンとなる笹村兄妹、ならびに桐山寛作さんも含まれるのだろうか、どうやら『巷説百物語』という別シリーズの系譜に連なる人物たちらしい。正直、百鬼夜行シリーズを読むのが手一杯で、そこまで京極さんの著作を読み切れていない。とはいえ、本作をきっかけに少し興味が湧いたので、百鬼夜行シリーズだけに拘らずに、いつもの京極節を読みたくなったらいずれ手を伸ばしてみてもいいかもしれない。
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つ、ついに追いついた……。 思えば「姑獲鳥の夏」を読んだのは、本作が出版される直前だったので、3年かけてようやくという感じだが。 さて本作は、ヌエ。 ゆる言語学ラジオ かわいい小鳥「鵺」は、なぜ怪物に変わった?文学研究で分かった驚きの経緯【聞きなし1】#301 https://www.youtube.com/watch?v=t4jeIxyKxZU おばけラジオ 第51回 「鵺の話」の巻 https://open.spotify.com/episode/3ymv7TXqrOftUanA9ifOzD で聞いたことがあるが、そもそも妖怪とは、というテーマを、結構そのまま体現した妖怪だと思った。 前作に続いて、京極堂の妖怪談義がほぼないのが残念だが、この小説自体がヌエだと思えば、まあ。 そして、いないものを見ようとするってどういうこと、という人の心性(ベクトルの在り方)は、昨今他人事でなくなりつつある陰謀論にも通じるし、信仰とか科学信奉とかにも通じる。 もう少し踏み込めば、ミステリを読みたくなる人って一体どういうこと、という問いの立て方、つまりアンチミステリでもあるのだ。中井英夫「虚無への供物」のように。 まあシリーズ全体の話でもあるし、人間の認知の仕組みでもあるので、本作に限ったことではないが。 今回新鮮に感じたのは、女性の視点人物。 御厨 冨美(みくりや ふみ)がいいなーと思いきや、 緑川 佳乃(みどりかわ かの)が最高に好き。 というか、京極夏彦が描き出す、人の性格って、大なり小なりどの人物も好きだな。 消極的というか、無駄な熱さがなく、人生に対して割と冷淡な感じ。好ましい。 関口くんがなんだか成長しているのも、嬉しい。
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1300ページ、あっという間だった。久しぶりに再会する登場人物の面々、いつものやり取りが楽しくて。ゲストキャラクタもみんな良かったし。すごく面白かった! 結局身体のパーツの端々の生き物を追いかけて、謎が増えて、形が見えて、実は私も【ああこれは軍部の陰謀!?大掛かりな軍事的秘密!?】つて。もう完全に憑かれていましたので、最終章にてすっかり祓われて、ああこれは一体なんだったんだ、となりました。 事件はたしかにあったけどそれは概ね終わった話で、たしかにこれは【化け物の幽霊】かと。よく出来てる。出来すぎてる。 緑川さんがすごくいいキャラで。御厨さんも最初は煮えきらなくて(何だこの人)と少し思っていたけど、最後にはなにか吹っ切れて。本当は感動の再会が見たかったけど、そんな綺麗なご都合主義にはならないんだよね。それも、なんか良かったし。謎は解けたようでとそもそもあったのか、なかったのか、いやあったのだけれど。 はっきりしない形の取りにくい「あいこ」の謎解きなのにどこか清々しい爽やかな読後感が不思議。 彼らがいつも通りの彼らで、嬉しかったなって。
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