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息のかたち
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2024/07/25 |
JAN | 9784065361733 |
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商品レビュー
3.3
7件のお客様レビュー
良い作品に出会えると、読み進む喜びと読み終わりが近づく哀しみが交差する思いになる。ページという物理的な存在が残り少なくなっていくことを目と手で確認しながら読む紙の本の醍醐味のひとつかもしれない。 この本も私にとってそういう本となった。深い呼吸をしながら俯瞰で世界を捉えることを...
良い作品に出会えると、読み進む喜びと読み終わりが近づく哀しみが交差する思いになる。ページという物理的な存在が残り少なくなっていくことを目と手で確認しながら読む紙の本の醍醐味のひとつかもしれない。 この本も私にとってそういう本となった。深い呼吸をしながら俯瞰で世界を捉えることを想像しながら読んだ。 高校2年生陸上部女子の夏美は、小学生が手を滑らせて離してしまったバットが後頭部に当たってから人の息が見えるようになった。人それぞれに色や形が異なる息を見ている中、ひとりの男が息をしていないことに気づく。しかし、その男は息をしていないのではなく、、、、、 そこから夏美の息の修業が始まる。 息の力のすごさを改めて教えてくれるこのお話しは京都が舞台。 登場人物は京都弁で話す。 万城目さんとかの本を読んでいる時も思うのだけれど、関西が舞台のお話しの地の文は頭の中で関西弁のイントネーションで読んだほうが良いのだろうか? 関西の人が小説を読むときは、地の文は関西弁のイントネーションで読んではるんやろうか? そこ、ウチにはようわからんとこなんです。 どなたか教えてくれまへんか。(叱られる前にナンチャッテ関西弁は撤収) 流麗な京都弁は美しい。特に年配の女性の言葉は。 聞いていて涼やかな風が流れているように感じる。息もそういうものなのだろう。この作品で忙しなく浅い呼吸で生活している自分に気づくことができた。 超おすすめの作品です。ていねいに読んでくださりたい。
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高2の夏実はひょんな事から他人の息が見える様になる。どうも遺伝らしい。読んでいると透明感溢れるパステルカラーを想像する、が、これは20年から24年までのコロナ禍の時代が舞台だと思うと切なくなる。あの頃の狂気溢れる自粛警察を思い出すからだ。不思議な世界なのに絵空事に感じなかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ある日金属バットが頭に当たった夏実は、人の吐く息が目に見えるようになる。そんな彼女のコロナ禍の日常、事件、悩みながら決める進路などのおはなし。色とりどり、形も様々にあらわれる息が素敵。息をしているとはつまり生きていることとおんなじであって、息のかたちを見られている側はどこか深いところに触れられるように感じてしまうがために夏実が急にモテモテになってしまうという事件が面白かった。古代ギリシアでプネウマ(息)が生命のもと、命そのものとされていたのを思い出す。私たちは自分でも知らぬうちに常に命のかたちを吐き出していて、それがちぎれては世界に満ちているなんて、なんてロマンティックなんだろうか。 3章の展開はちょっと唐突に感じたが、おばあちゃんの「息してますえ」の一言はすごく好き。その場の緊迫した空気をさっと払うユーモアもあるけど、この小説の「息」のイメージの豊かさによってコロナ禍のやるせなさをやわらげる感じが良かった。夏実も家族も、周りの人々も、たくましく息をしてそれぞれの生活を生き抜いている。
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