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遠藤周作短篇集 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2024/06/18 |
JAN | 9784003123416 |
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遠藤周作短篇集
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本著は、遠藤周作の15の短編小説及びエッセイからなる。 『沈黙』しか読んだことがなかったが、最近『私とルオー』という40年前のテレビ番組の再放送があり、生前の彼がルオーの宗教画について語る深い洞察に感銘を受け、久しぶりに読んでみた。 作品に共通するのは、信仰心を持ちながら完全...
本著は、遠藤周作の15の短編小説及びエッセイからなる。 『沈黙』しか読んだことがなかったが、最近『私とルオー』という40年前のテレビ番組の再放送があり、生前の彼がルオーの宗教画について語る深い洞察に感銘を受け、久しぶりに読んでみた。 作品に共通するのは、信仰心を持ちながら完全に正しい行いを追求できない人間の弱さである。 物理的にも心理的にも描写がリアルで、すらすらと簡単には読めないことが特徴だと感じる。 遠藤周作と言えばキリスト教が代表的なモチーフだが、この私小説的な小品集でもう一つ主要な題材となっているのは、幼少期の両親の離婚である。 特に自身の実体験である、両親の離婚を機に少年期を過ごした中国・大連を離れ、母親と兄弟とともに帰国する、という題材が繰り返し用いられている。 信仰と同じく複数回登場するそのモチーフは、彼の人生に深く影響を与えていることが感じられた。 最も印象に残ったのは『五十歳の男』という作品だ。 大連の地で両親の不仲に心を痛める少年を、雑種の飼い犬が慰めてくれる。 時が経ち五十歳になった彼には、今また別の雑種犬が寄り添っており、老いて息絶えようとする愛犬との交流が描かれる。 犬と人という違いを超え、「同士」として語りかける言葉に愛情を感じる。 少年を慰める愛犬とその離別から、ユーゴスラビアの作家ダニロ・キシュの『若き日の哀しみ』を思い出した。 「人生を共に歩む神・イエス」というテーマは、本著の他の作品でも描かれており、先出のルオーの解説でも語られていた。 『五十歳の男』の主人公となった著者は、傷心の自分に寄り添う飼い犬に、神の姿を見たのかもしれない。 遠藤周作の描き出すリアルな信仰の実感は、キリスト教圏の小説家や研究者、神学者が書くような、壮大な宗教世界や神話学とはまた違ったものだ。 幼少期の洗礼は自らの意思では無かったが、「愛する者が私のためにくれた服」(『合わない洋服』p.279)として生きた、と言うところに、日本人でありキリスト教徒である彼の思いやりや心の深みを感じる。 作家としてだけでなくその実体験にも触れ、改めて偉大であると感じる。 -神は《中略》我々に栄枯盛衰は常に表と裏であり、人生は決して真底まで憎むべきものではないが、また我々の心をすべて惹きつけるものでもないことを教えられたのだ。(『学生』p.153) -拷問を恐れて棄教したものをころび者と言うが、この村はころび者の村だ。父も伯父もこの村で生れたのだし、二人の血は私の体にも流れている。(『帰郷』p.135) -おそらくこの男は《中略》生涯、同じ過ちを繰り返すだろう。私もまたそうだった。人間の弱い性格は何をしても決して変えられぬ。(『指』p.191)
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「船を見に行こう」 両親の不仲で離別する直前の、父と子(遠藤周作)の話し。 父の変えられぬ性格や思いと、それを受け止める子の心情が繊細に描かれています。 子である遠藤周作はどのような思いで父の心情を書いたのだろう。父と自分とが一体となったような目線で語られていて深い感受性を感じる...
「船を見に行こう」 両親の不仲で離別する直前の、父と子(遠藤周作)の話し。 父の変えられぬ性格や思いと、それを受け止める子の心情が繊細に描かれています。 子である遠藤周作はどのような思いで父の心情を書いたのだろう。父と自分とが一体となったような目線で語られていて深い感受性を感じる。 「イヤなやつ」 戦時中の学生(遠藤周作)が癩病院へ慰問に行く話し。 自身はまだキリスト者では無い設定だが、まわりの信者である学生達の行ないや献身的な態度と自分を対比しながら、肉体的恐怖を抑えきれない自身の浅ましさや心の穢れを痛感する話し。 「その前日」 三回目の手術の前日の話し。 踏み絵を踏んだ藤五郎と、キリストを裏切ったユダを対比させて、人間の弱さとキリストの愛を観想する。 「私のもの」 主人公は小説家の勝呂。 不純な動機で洗礼を受けたり、妻を選んだり、どんよりと重い空気の中、自分の心の弱さを噛み締める話し。「海と毒薬」と同じような澱んだ重さを感じる。 「札の辻」 江戸時代にキリシタンの処刑が行われたという札の辻と言う場所(現在の田町あたり?)をとおして、処刑された信者の心の強靭さと自分の心の弱さを観想する話し。 普通の人の中にある可能性(強さ)を見出す。 いまだ「深い河」しか読んでいなかったので こんなに私小説な感じだとは思いませんでした。 また、遠藤氏の生い立ちや時代背景などをあまり理解できていなかったので、末巻の解説から先に読んでみて正解でした。
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かくれきりしたんが最終的にはほぼキリスト教とかけ離れてたっていうのが気になった。かくれきりしたんのマリアの絵を角川ミュージアムで見た。生々しさあった。
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