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花と夢 アジア文芸ライブラリー
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 春秋社 |
発売年月日 | 2024/04/18 |
JAN | 9784393455104 |
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花と夢
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
チベット出身の作家による、チベットの田舎から生活のために都会・ラサに出稼ぎにやってきた少女たち4人の物語。4人は苦労と苦しみの果てに「ばら」という娼館に行きつき、そこでまた苦界を見るのであった。 とても悲痛で虚しい物語であるはずなのに、最後にはそれでもまだ生きていくという意志を見...
チベット出身の作家による、チベットの田舎から生活のために都会・ラサに出稼ぎにやってきた少女たち4人の物語。4人は苦労と苦しみの果てに「ばら」という娼館に行きつき、そこでまた苦界を見るのであった。 とても悲痛で虚しい物語であるはずなのに、最後にはそれでもまだ生きていくという意志を見せてくれる。 訳者あとがきも必読である。この少女たちがどういう経緯で人生を歩むことになったのか、訳者による解説のおかげで解像度が上がる。 チベット出身の方による本は初めて読んだ。とても貴重な物語を読むことができて嬉しい。作者と訳者にお礼を言いたい。
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チベットの区都・ラサのナイトクラブで働く4人の女性の物語。 4人とも地方から出てきて、ほかの仕事を経てナイトクラブ(というかキャバクラ兼風俗店?)で働いているという共通点があり、狭いアパートで共同生活を送っています。 みんなそれぞれにつらい過去や事情がある訳だけれども、菜の花は優しい家族がいるんだから出稼ぎで無理する必要はないし、ハナゴマとプリムラも、そのタイミングで故郷に帰れるなら、もっと早くに…と思ってしまいましたが、それではお話にならないですもんね。 となると本当にかわいそうなのはツツジで、帰る場所がないのは呆然としてしまうよな…と思いました。 ただ、ツツジが家政婦に行った家の主が優しくて、親への反抗は凄まじいものの娘のテンジン・ランゼーが見下すような態度を取らない子だったのは救いだったと思います。とはいえ、泥棒扱いされて、娘が家出した家に居続けるのは無理でしたよね…。 すごいと思ったのは、プティーを見たとき、ドルマに再開した時のツツジの怒りの鎮め方。この冷静さがツツジを幸せに導いてくれる…と思えました。 強い仏教信仰が物語の端々から伝わってきますが、チベットの信仰と当時の時代背景についてあとがきで書かれていて、ストーリーをより深く理解できました。 ツツジが菜の花の家族と会う未来があればいいなと思います。
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2000年代初頭の大都会ラサで、裏で売春を営むクラブのホステスとして働く4人の若い女性たちが、なぜそこで働くようになったのかを丁寧に描き、やがて訪れる悲劇を超えてかすかな希望を抱かせる作品。 苦しい生活や境遇にありながら、さらに自身の身に起きた不幸な出来事を、自らの前世が負った...
2000年代初頭の大都会ラサで、裏で売春を営むクラブのホステスとして働く4人の若い女性たちが、なぜそこで働くようになったのかを丁寧に描き、やがて訪れる悲劇を超えてかすかな希望を抱かせる作品。 苦しい生活や境遇にありながら、さらに自身の身に起きた不幸な出来事を、自らの前世が負った業の深さによるものだと嘆きつつも受け入れていく前半部は、読んでいてとても辛い部分だった。とくに中心人物となるヤンゾムがあまりにも良い子なので、その理不尽な運命に自分の家族や友人の身に起きたかのような痛みすら感じた。 その痛みの中で、ふとこの感覚を以前にも感じたことがあるぞと思い出したのが三浦綾子の「氷点」だ。氷点のテーマであるキリスト教の「原罪」とこの作品の仏教の「業」はもちろん厳密には異なるけれども、読み進めれば進めるほど、共通するテーマを描いた作品なのではないかと思えた。 一人の女性(とくにヤンゾム)が、語る言葉を得て、自己を再生していく物語として、自立し、共存し、抵抗する「ケア文学」としても読める気がする。コロナ禍で多くのチベットの人々の心をつかんだ少し懐かしい雰囲気を持つこの物語が、国内外で売春の世界に足を踏み入れる女性が増えているという今の日本でこそ、必要とされているように思えてならない。 テーマは重いけれど、非常に読みやすい筆致で書かれていて、チベットならではの楽しい言い回しにくすりとさせられるところもあり、翻訳者である星泉氏のチベットへの深い理解と物語への愛情によるところが大きいのだろうと感じた。
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