1,800円以上の注文で送料無料

百年と一日 ちくま文庫
  • 中古
  • 書籍
  • 文庫

百年と一日 ちくま文庫

柴崎友香(著者)

追加する に追加する

百年と一日 ちくま文庫

定価 ¥792

715 定価より77円(9%)おトク

獲得ポイント6P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2024/03/11
JAN 9784480439437

百年と一日

¥715

商品レビュー

4

17件のお客様レビュー

レビューを投稿

2024/08/30

こんな心地よい平熱があるのかー 自分の人生において、覚えていようがいまいが1ミリも支障のない些細なシーンなのになぜか何年たっても頭から離れないことや、自分以外は誰も覚えていないけど自分だけがひっそりと覚えている友達とのやりとり、みたいなもの。そんな場面を詰め込んだような短編集で...

こんな心地よい平熱があるのかー 自分の人生において、覚えていようがいまいが1ミリも支障のない些細なシーンなのになぜか何年たっても頭から離れないことや、自分以外は誰も覚えていないけど自分だけがひっそりと覚えている友達とのやりとり、みたいなもの。そんな場面を詰め込んだような短編集です。 基本は平熱です。ずっと平熱。最後の一行でどんでん返しがある?ある?ある?、、、やっぱない、みたいな。あえてラストの数行を手で隠しながら読んだりしましたが、そこには常に平熱しかありませんでした。これはけして「つまらない」と言っているのではありません。こんなに心地良い平熱があるのかと不思議な読後感です。派手な盛り上がりはないですがぐいぐいと惹き込まれます。 どんでん返しもないうえに、なんなら各話のタイトルが内容をそのまんま語ってしまっています。がゆえにタイトルとしては長い文言になっていて、著者自ら先にネタバラシをしてしまっている構造も含め、ある意味とても挑戦的なタイトルだと感じました。「ラーメン屋「未来軒」は、長い間そこにあって、その間に周囲の店がなくなったり、マンションが建ったりして、人が去り、人がやってきた」というタイトルの話は、本当にこのタイトルのまんま展開していくのです。それが分かったうえで面白く、満足な読後感があります。 岸政彦さんとの共著「大阪」を読んだときも思ったけど、柴崎さんは街を描くのが本当にうまい。時代や場所の指定はないし、細密な説明もないけど、みんなが思い浮かべる「こんな街」「あんな場所」をするりと自然に想起させます。肩の力が抜けた作風ではあるけれど、実は丁寧に表現してるのかなあ。 街の表現の豊かさと対照的に、人間関係はかなりあっさりと書かれています。あっさりと書かれていることで、呼んでいるこちらに行間の熱を想像させてくれます。街の表現と人の表現、両者の手触りの差がおもしろい。感触の違うものが一つのストーリーに混在していて独特のノリを感じます。柔らかい牛皮にカリッとした胡桃が混ぜ込まれた、くるみゆべし食べてるみたいな感覚だな、と思いました。 書かれているのは場所、人との関わり、時間の経過です。環境と人と時代は切っても切れません。無関係ではいられず、当たり前に作用しあってしまうものなんだと改めて気づかせてくれます。 世代や国をこえて、思いが受け継がれていく様が描かれます。一緒に過ごしたあの夏を、戦争をはさんで別々の国で思う。親がすごした家のことを、子供が思う。祖母の育てた大根を、移住した先の国で孫が栽培する、、、、短編だからこそ、限られたページの中で時間の経過が際立ちます。読み終わって本を閉じ、この本のタイトル「百年と一日」に立ち返ったときに、時間の流れについてボーっと考えてしまいました。各話は物語として、終わりがあるからもちろん終わるんだけども、現実がそうであるように、このストーリーもページの外へ続いていくし、描かれていない「これまで」があるんだろうと、、、 久しぶりに「フィクションの効能」というものを感じた気がします。物語が、記憶のどこかにしまわれていたあの街・あの人を読者に想起させて、ページをめくる手をとめてしばし追想・夢想させる。これこそフィクションがなせる技で、現実からしばし離れてイメージの世界へ意識を飛ばし、その間、人はリラックスできる時間を得られる。いい読書タイムになりました。

Posted by ブクログ

2024/08/25

サッと読める。 すれ違うもう2度と会わない人とか同じバスにたまたま乗り合わせたとか、そういうたまたま、同じ時代、同じ瞬間同じ時間を共有した人と自分の人生が地続きのように感じて、不思議な感覚になる。 ちょっと不思議を期待したけど、思ったよりも地に足ついてて、ありそうな体験が短くたく...

サッと読める。 すれ違うもう2度と会わない人とか同じバスにたまたま乗り合わせたとか、そういうたまたま、同じ時代、同じ瞬間同じ時間を共有した人と自分の人生が地続きのように感じて、不思議な感覚になる。 ちょっと不思議を期待したけど、思ったよりも地に足ついてて、ありそうな体験が短くたくさん続いて、丸一日で読めた。 この作品の一部に自分がなりたいと思えるような、ささやかで何気ないけど価値のある日々を過ごしたい。

Posted by ブクログ

2024/08/23

それぞれが10ページぐらいのほぼ独立した短いエピソードが30個ぐらいあって、それぞれのエピソードでそれぞれの人の生きざまが断片的な情報ではあるけど語られる、というスタイルのモノ。それぞれは短いけど、それぞれに人生があるのだ、ということが印象に残る短編集だった。2,3日で読み切って...

それぞれが10ページぐらいのほぼ独立した短いエピソードが30個ぐらいあって、それぞれのエピソードでそれぞれの人の生きざまが断片的な情報ではあるけど語られる、というスタイルのモノ。それぞれは短いけど、それぞれに人生があるのだ、ということが印象に残る短編集だった。2,3日で読み切ってしまったけど、一つ一つのエピソードを一日ずつかけてゆっくりと読んでいく、という読み方もいいかもしれない。

Posted by ブクログ

関連商品

同じジャンルのおすすめ商品

最近チェックした商品