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氷の致死量 ハヤカワ文庫JA
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2024/02/20 |
JAN | 9784150315672 |
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氷の致死量
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商品レビュー
4.5
12件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「ぼくは、彼女を理解しきれなかった。いや、理解できずとも、丸ごと許容してやればよかったんだ。」 内容は全然違うのに、着地点が『本性』と重なった。 列挙される性的マイノリティを調べつつ、”ヘテロセクシャル:異性愛者”の段で、ああ、普通の…ってなって、こういうとこだな、と思う。「『こうあるべき』なんて型は、性的指向には全く意味がない」「人それぞれとしか言いようがない」、そのとおりだと思うし、偏見もないつもりだけれど、つい”普通”とか”基準”を設けてしまう。なかなか意識を変えていくのは難しい。 犯人も含めて登場人物の、その生い立ちに起因する言動に筋が通っていて腹落ち感がすごい。櫛木理宇には珍しくサイコサスペンスには終わらないメッセージ性の強いもので、読後感もよかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
表向きの話の主軸は、猟奇的な連続殺人とそれにつながる過去の事件・人間関係かと思いますが、実質的なメインテーマは毒親による精神的支配からの脱却なのかな、と感じました。 それは作中、十和子を含む多数の人物が、親から身勝手な理想を押し付けられて苦しんでいる様子が描かれていたことと、それを土台としていろんな要素が構築され、ストーリーが進んでいったことが原因のような気がします。 十和子や更紗は親に抑圧されていたためか自我が弱く、他人の期待に無意識に応えてしまうタイプで、それに応えられないと矛先を自分に向けてしまいそう。 逆に八木沼とある人物の方は、もともとなのか後天的なものなのか、現実と理想が乖離していると強烈なストレスを感じ、その修正のためには殺人すら厭わない性格(ただし徹底的な他責思考)。その上さらに親から歪んだ(あるいは世間一般から見たら極端な)価値観を植え付けられてしまった。 そのような設定の中で、これまたタイプの違う毒親を持つ市川樹里の存在が、序盤は浮いていたように思いました。連続殺人や戸川更紗の件と関係が薄いので、このキャラって何のためにいるんだろう?と疑問に思いながら読んでいました。 しかしフタを開けてみれば、樹里がいろんな点につながる「要」のキャラクターになっていたように思います。 八木沼や真犯人の親との関連性、脅迫チェーンメール、十和子襲撃のトリガーなどなど。なにより、樹里との共同生活が十和子の精神的自立に大きく寄与していたことに、彼女の存在の必然性を強く感じました。 おそらく十和子は、親から精神的に悪影響を受けている樹里の姿に自分を重ね、それによって初めて客観的に認知したのではないかと。そして樹里の話を聞き、励ましたり課題解決の提案をしていくことが、図らずとも自分の癒しや親からの精神的自立につながっていったのでは、なんて考えました。 そして何よりクライマックス。襲撃された十和子が助かったことより、実母の顔色をうかがうことなく堂々と離婚の報告をする場面の方に感動させられました。 こうしたことが、本作は毒親からの精神的自立が主題のように感じられた次第です。個人的にはそれは興味のあるテーマなので、本作にはなかなかに心を惹かれました(特に十和子の精神的自立が匂ってくる中盤以降)。猟奇的な連続殺人を題材にしたサスペンスであることを前面に出して売ってる本なので、評価の仕方としては邪道かもですが……
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ミステリーと性的マイノリティを合わせたようなお話で非常に面白かったです。ミステリーとしても二転三転するどんでん返しも多く満足しました。
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