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黛家の兄弟 講談社文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 講談社 |
| 発売年月日 | 2023/12/15 |
| JAN | 9784065331767 |

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商品レビュー
4.5
15件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『高瀬庄左衛門御留書』の文章から浮かび上がる、静かなたたずまいに一読すぐにファンになった。 「神山藩シリーズ」第二弾ということで、またそのような作品を読めるものと思ったら、またがらりと趣向を変えてきた。 神山藩で代々筆頭家老を務めてきた黛家。 長男は家を継ぐとして、次男より先に三男が、大目付を務める黒沢家に婿にと求められる。 筆頭家老の座を虎視眈々と狙う次席家老。 行き場のない次男。 凡庸な藩主。 歴史小説はある程度事実を踏まえなければならないが、すべてフィクションの時代小説なら勧善懲悪であってほしい。 しかし、歯車のずれがどんどん大きくなっていき、三兄弟がただ兄弟という間柄だけで繋がることは難しくなっていく。 一応、この事件はこういうことなのだろうなあ、こういう風に決着するといいなあ、などと思いながら読んでいるのだけど、そして途中までは確かにそのとおりに話が進んでいたはずなんだけど、最後の方はほとんど、怒涛の展開に翻弄されました。 「よき政とは、なんだと思う」 「だれも死なずにすむ、ということでござろう」 これのなんと難しいことか。 人の心の複雑さにより、善にも悪にもなり切れない半端ものであるのが大半なので。 この作品もまた、面白うございました。
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2022年第35回山本周五郎賞 歴史小説、時代小説から少し遠のいていましたが 一挙に引き込まれてしまいました。 架空の神山藩が舞台となります。 著者の時代シリーズに共通する舞台です。 そして、日本史ポンコツなので気楽にこの世界に入れる重要なポイントかもしれません。 筆頭家老...
2022年第35回山本周五郎賞 歴史小説、時代小説から少し遠のいていましたが 一挙に引き込まれてしまいました。 架空の神山藩が舞台となります。 著者の時代シリーズに共通する舞台です。 そして、日本史ポンコツなので気楽にこの世界に入れる重要なポイントかもしれません。 筆頭家老黛家の三兄弟の物語、その中でも主人公は17歳の三男です。 家督は長男が継ぐ、三男は大目付の家へ婿養子へ、次男は藩政をめぐるトラブルに巻き込まれてしまいます。 若い兄弟は望まぬも藩の政争の渦中へ。 そして二部構成となっており、十三年後が描かれます。若者は三十歳となり藩政の中央に近づいています。 著者は、一貫してビルドウングスロマンを意識されていると何かで聞いた記憶があります。 権力闘争の中で兄弟の絆を若き武士達の成長を描くとても素敵な作品です しかも派閥争い、藩主の跡目争いに関わるミステリーまで仕込まれています。 この作品があまり登録数が多くないのがミステリーです。
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この方の作品はとにかく文面が緻密で美しい情景が浮かんできて圧倒される。 導入部では黛の三兄弟が内記の策略により翻弄される。選択を迫られる苦悩に新三郎の未熟は罪だ、と至らなさを痛感する場面、分かってしまう。無知であるのが恐ろしいんだ。 第二話になると成長した織部正(呼び方が役職で引...
この方の作品はとにかく文面が緻密で美しい情景が浮かんできて圧倒される。 導入部では黛の三兄弟が内記の策略により翻弄される。選択を迫られる苦悩に新三郎の未熟は罪だ、と至らなさを痛感する場面、分かってしまう。無知であるのが恐ろしいんだ。 第二話になると成長した織部正(呼び方が役職で引き継がれているのが新鮮)が内記の懐刀になっているのだからどうしても勘ぐってしまう。 本当に疑う余地がなかったのだけど、十年近くも一緒にいたら情か移ってこやんのかと。 読み進めてたら物語の締めにはやはり、師の様な存在でもあったとわかり敵でもあったが複雑な思いが垣間見えた。 後半はミステリー的な感じもあり、騙し合いとドロドロとした流れであったが、最後は爽やかな締め方でスッキリした。 後、男衆は裏表が激しかったが、女性は強く可愛い人が多かったのが印象に残った。
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