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〈私〉を取り戻す哲学 講談社現代新書2730
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2023/12/14 |
JAN | 9784065343883 |
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〈私〉を取り戻す哲学
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商品レビュー
3.6
19件のお客様レビュー
難解。第三章の「幸せとは」の部分の展開は興味を持てた。幸せは状態と理念といった辺りは読むのを止めて考えさせられた。
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思考を重ねていくという表現が正しいか、思考を深めていくという表現が正しいか、哲学の王道を見るような本。著者と一緒にその道を歩くのだが、所々深さや厚みが一致せずに躓きながら、その過程もエキサイティングで楽しかった。 言葉を厳選し、そこに意味を凝縮する。その凝縮した言葉から敷衍した...
思考を重ねていくという表現が正しいか、思考を深めていくという表現が正しいか、哲学の王道を見るような本。著者と一緒にその道を歩くのだが、所々深さや厚みが一致せずに躓きながら、その過程もエキサイティングで楽しかった。 言葉を厳選し、そこに意味を凝縮する。その凝縮した言葉から敷衍したり、イメージをコンパイルする。例えば、「常時接続と過剰接続」というキーワード。今の社会は人間関係がスマホにより、常時、そして過剰に繋がっているという話だ。そのために、いつでも誰かからの情報を気にしてしまい、自分だけの余暇に他者の価値観が侵出する。それは、「過剰」だというのだ。単に、気が散ると言っても良いかも知れない。何に気が散るのか、それは、自らの潜在的な欲望と他者の価値が重なるポイントでもある。 ー 余計なものをそぎ落として私を取り戻すこと、情報と関係性の過剰さを哲学的に解体することー 本書で考えてみたいのは、すべての認識の起点となる(私)にほかならない。さしあたってここでは、(私)の本質は、「絶対性」と「有限性」である、と言っておこう。デカルト的省察のハイライトは、(私)に見えているものを見えていないと言うことはできず(絶対性)、しかし(私)の見え方は完全なものではない(=有限性)、というものである。 ー 逆に言えば、(私)によく見えていないものについては、それが何であるかの判断を急がない。つまり、判断を保留してみる、という選択も成立するだろう。この判断保留という選択は、事実と嘘の見分けがつきにくくなったポスト・トウルースの時代を生きていくための指針となるだけではなく、(私)にはどうにもならない状況に耐えるかを陶治する。 タイトルの話だが、取り戻す、という事は奪われた、と言える。そして、元々はあったもの、とも言えるだろう。取り戻すという言葉遣いだけで、著者の主張が分かる。元々なかった、とは言っていないし、私を奪った何者かの存在を示唆しているし、更に言えば、しかし「今はない」と言っていて、何なら、「元が良かった」とも読める。 その仮定は正しいだろうか。私を構成する言葉や価値観は常に外部や他者と混ざるもの。これは奪うとか、取り戻すとかという丸ごとを左右する話とは、本質的に異なる。単に環境適応的なだけだとも、ゼロ百で捉えるのは誤りだとも言える。そんな事を考えた読書。
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※このレビューにはネタバレを含みます
現代の人たちが陥りがちなSNSやバーチャル空間への没頭などを、哲学の考え方を参考にしながら、失った〈私〉を取り戻す。哲学的な考えが私たちの日常とどう結びつくまでの道のりが長く、完璧に理解するのがとても難しかったが、論旨をなんとか見失わないように追っていくと、最後はスムーズに読めていける。最後はネガティヴケイパビリティについての記述が出てくるが、昨今すでに注目を集めている考え方だったので、知っている方からすると目新しい視点ではないかもしれないが、ここでも必要なのは立ち止まることや、時間をかけて考えることなのだと再理解する。現代はそのスピードの速さから、立ち止まることや、ゆっくり考えること、何も考えないこと、なんなら後もどりすることを許してくれない。原始時代に戻れとは言わないが、スピードダウンを許容するその寛容さがあれば、現代で起こる諸問題も少し光が見えるかもしれない。
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