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すべての見えない光 ハヤカワepi文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 早川書房 |
| 発売年月日 | 2023/11/21 |
| JAN | 9784151201127 |
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すべての見えない光
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商品レビュー
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17件のお客様レビュー
第二次世界大戦中の重苦しさとダイヤモンドを巡るサスペンス感がありつつも、繊細な心情が綴られた詩的な文章が素敵で魅せられた。 ドイツ兵というと横暴なイメージしかないけれど、全員がそうではなくヴェルナーやフレデリックのような性格の人達もいたんだよね。学問に興味のあった2人が戦争がな...
第二次世界大戦中の重苦しさとダイヤモンドを巡るサスペンス感がありつつも、繊細な心情が綴られた詩的な文章が素敵で魅せられた。 ドイツ兵というと横暴なイメージしかないけれど、全員がそうではなくヴェルナーやフレデリックのような性格の人達もいたんだよね。学問に興味のあった2人が戦争がなければ全く別の人生を歩んでいけただろうに…と思ってしまう。 戦争経験者は戦争が終わっても生きている限りその記憶はいつまでも重い心のしこりとして残ってしまうのもやるせなく辛い。 ドラマ化もされているので観てみたい。
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"絶望は長くはつづかない。マリー=ロールはまだ若く、父親はとても辛抱強い。彼は娘を安心させる。呪いなどない。悪運や幸運はあるかもしれない。それぞれの日が、いい日か悪い日かに、わずかに傾くことはあるかもしれない。だが呪いはない。" (p.40) "こ...
"絶望は長くはつづかない。マリー=ロールはまだ若く、父親はとても辛抱強い。彼は娘を安心させる。呪いなどない。悪運や幸運はあるかもしれない。それぞれの日が、いい日か悪い日かに、わずかに傾くことはあるかもしれない。だが呪いはない。" (p.40) "この世界は、なんと迷路に満ちていることか。木々の枝、線条細工のような根、結晶の基質、父親が模型で再現した町の通り、アクキガイの貝殻についた小さな結節にある迷路、カジカエデの樹皮にできた迷路、ワシの羽の空洞内部の迷路。なによりも複雑なのは人間の脳だよ、とエティエンヌはよく言っていた。存在するなかで、もっとも入り組んだものかもしれない。水に浸された、一キログラムの物体のなかで、宇宙が回転している。" (p.606) "女の子はぶらんこに乗ると、脚をせっせと動かして前後に揺れ、それを眺めていたヴェルナーの魂のなかで弁が開く。これが人生だ、と思う。冬がその力をゆるめつつある日に、ああやって遊ぶこと、それがぼくらの生き方だ。"(p.500)
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その光は波であり、海であり、ラジオだ すべての事物が反射する可視光線とは別の、見えない光 それは命であったり、希望であったりする 第二次世界大戦下のフランスとドイツ それぞれに生きる人々 そこは混沌として、明日がみえず、望みは断ち切られ、人々の命は消えていった “見えない”ことは...
その光は波であり、海であり、ラジオだ すべての事物が反射する可視光線とは別の、見えない光 それは命であったり、希望であったりする 第二次世界大戦下のフランスとドイツ それぞれに生きる人々 そこは混沌として、明日がみえず、望みは断ち切られ、人々の命は消えていった “見えない”ことは少女の盲目だけでなく、世界に溢れる不可視なものと同時に、その時代性も指している そこにある綺麗なものと醜悪なもの それらは同時に並立し、簡単に反転する 技術の軍事転用や宝石、人の心 すべてが簡単に裏切っていく しかし戦争をある種の壮麗さと残酷さを同居させるように描きながら、物語には救済を用意しない それはアンソニー・ドーアの覚悟に思える 少年は少女に出逢うが、再び出逢うことはない 鳥好きの少年は思い出すことはない 妹は兄の善行を知ることもない 誰もがあの日々を思い出さず、口に出したくない みんなが様々なものを失った その中で善悪の区別なく、生きるものは生き、死ぬものは死ぬ 運命の仮借のなさは全員に平等である けれど、自分の中に仕舞い込んだ大事なものはずっとそこにあり、それが誰かを救ってくれることもある ラジオから聞こえるフランス語や海の音、模型の街並み 上級曹長が炎の海に妄執したように、私たちは何某かに取り憑かれている それが美しいものか、醜いものかに気づきもせずに きっとたぶん、何年後かにこの本を取り出したくなる そしてその美しさと残酷さに言葉を失うほどに興奮し、打ちひしがれると思う
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