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言葉の風景、哲学のレンズ
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言葉の風景、哲学のレンズ

三木那由他(著者)

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言葉の風景、哲学のレンズ

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2023/11/09
JAN 9784065336809

言葉の風景、哲学のレンズ

¥660

商品レビュー

3.8

12件のお客様レビュー

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2025/03/05

同氏による著書『言葉の展望台』が面白かったので本書を手に取った。どちらも哲学エッセイで面白いのだが、本書ではややカミングアウト後のトランスジェンダーの生き辛さに触れる私的な内容が多かった気がする。 哲学は視点を増やすと同氏はいう。ものの見方を多様化するには、いろんな角度から考え...

同氏による著書『言葉の展望台』が面白かったので本書を手に取った。どちらも哲学エッセイで面白いのだが、本書ではややカミングアウト後のトランスジェンダーの生き辛さに触れる私的な内容が多かった気がする。 哲学は視点を増やすと同氏はいう。ものの見方を多様化するには、いろんな角度から考える作業が役に立つのだろう。そうした「役に立つ」という利点に目を向ければ確かにそのような効用がある。私は、カントの永遠平和の思索が国連の理念に、マルクスの思想が社会主義国家を、ルソーの一般意思が共和制を、ジョンロックが議会制民主主義をという具合に、哲学が制度設計に繋がっている事例を考えると、個人的な利得の話に限定されない哲学の偉大さを感じることができる。 しかし、そんな壮大な視座ではなくとも、トランスジェンダーとして「ものの見方」に嵌まらない自分自身の生き辛さの方がよほど重要だという感覚も良くわかる。我々は世界平和よりも、先ずは自らが飢えず、暴力を避け、平和に生きられることを望む。 ― 「からかいの政治学」では「からかい」が「遊び」の文脈にあること、それゆえ女性やその他のマイノリティへの攻撃に「からかい」という装いを与えることで、それに対する抗議を「おとなげないもの」や「理不尽なもの」として無効化する働きをすることが論じられていく。さらに女性がもともと性的な「からかい」の対象とされてきたがゆえに、女性解放運動への「からかい」に対する真面目な主張や抗議は、特有の仕方で意味を捻じ曲げられるという。 一文を引くが、「からかい」とか「茶化し」というのは私も日ごろから気になっていた内容だ。コミュニケーションのテクニックとして認められる部分もあると思うが、対象を自らの編集範囲の対象として捉えることで、自分自身を落ち着かせるために相手を利用する作法だという気がする。それは「あだ名」にも似ている。本来、私はあなたの世界の住民ではない。しかし、これらのテクニックにより、私はあなたの世界に無理やり引きずり込まれるのだ。そしてその世界が嫌だと拒む事が「おとなげない」とされる。これは暗黙の了解のような礼儀作法やマナーの延長にあり、それは、上下関係等の比較が前提としてあるものだ。 トランスジェンダーが否応なくこの上下関係に組み込まれるために、生き辛さを感じるのだろう。哲学のレンズは、異なる世界を見せる。時々、そのレンズを付け替えてみるべきなのかもしれない。

Posted by ブクログ

2025/01/20

信州大学附属図書館の所蔵はこちら→ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD04630061

Posted by ブクログ

2024/12/30

言語哲学の本だと思っていたので、どの話にもジェンダーがベースに出てきたことに単純に驚いた。本の紹介文や「はじめに」に、記載しておいていただけるとありがたい。 哲学を実生活に落とし込むような試みが興味深い。失礼な言い方にはなるが、ごちゃついているような印象を受けるのも生活感があった...

言語哲学の本だと思っていたので、どの話にもジェンダーがベースに出てきたことに単純に驚いた。本の紹介文や「はじめに」に、記載しておいていただけるとありがたい。 哲学を実生活に落とし込むような試みが興味深い。失礼な言い方にはなるが、ごちゃついているような印象を受けるのも生活感があった。 色々と思考している著者と比べるとカケラも考えていない自分がヒトとして同時に生きていること自体、面白いなあと思うような内容だった。

Posted by ブクログ