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哀れなるものたち ハヤカワepi文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2023/09/26 |
JAN | 9784151201110 |
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哀れなるものたち
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商品レビュー
4
21件のお客様レビュー
良くも悪くも「人を食った」ような形式をとった作品で、流石はイギリス文学! と感じました。 川へ身投げして死んでしまった女性の胎内にいた赤ん坊の脳を、医師が母親に移植して蘇らせた…という概要だけは知っていたのですが、ストーリーそのものだけでなく、物語の形式そのものが、読者に色々と考...
良くも悪くも「人を食った」ような形式をとった作品で、流石はイギリス文学! と感じました。 川へ身投げして死んでしまった女性の胎内にいた赤ん坊の脳を、医師が母親に移植して蘇らせた…という概要だけは知っていたのですが、ストーリーそのものだけでなく、物語の形式そのものが、読者に色々と考えさせる構成になっているのが何とも曲者でした。 恐らくですが「フェミニズム」が激化したり、世間の考えに変化が起こるたび、評価を集める作品ではないでしょうか。 映画版だと後半部分は(ほぼ?)カットされてるとのことですが、そちらも好評なので観てみたいです。
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女性が女性として教育された脳をリセットして、思うがまま自由に生きてみたら…。 そのリセットというのが、胎児の脳を移植するというのだから、本当に何の先入観もないゼロからのスタートである。しかも、身体的には魅力的な容姿を持った成人女性として。 女性は選ばれ、管理されるものである。女...
女性が女性として教育された脳をリセットして、思うがまま自由に生きてみたら…。 そのリセットというのが、胎児の脳を移植するというのだから、本当に何の先入観もないゼロからのスタートである。しかも、身体的には魅力的な容姿を持った成人女性として。 女性は選ばれ、管理されるものである。女性は結婚を望み、性に関しては受け身なものである。 そのような女性観をリセットした主人公 ベラの言動は、現代においても新鮮で、見るものを清々しい気持ちにさせてくれる。 特にベラとウェダバーンの駆け落ちあたりが最高に面白かった。2人の関係性がよくある駆け落ち中の男女の描写とは違って、性欲や感情に支配されずに、目的を持って計画的に行動しているベラの姿がかっこよく思えた。 そして文章のリズムも心地良く、頭の中をふわふわと短歌が漂っているような不思議な感覚が味わえる。クセになりそう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
あらすじを書くと、19世紀末の医学博士の若き日の回想録と、その妻による回想録に対する反論を、20世紀後半のある作家・画家が編集したことを書き記したフィクション、ということになる。それだけ。世に出回っている、身投げした女性に胎児の脳を云々というあらすじは、上記の回想録の部分を要約したものである。 この本の中の語り手は、編者、医学博士、医学博士の妻の3人であり、このすべてが信用ならない。 編者はこの本の著者と同じアラスター・グレイだがあくまでフィクションであるこの本の架空の登場人物と見るべきである。ああややこしい。 で、中でも最も信用ならないのが編者である。回想録が真実であることを裏付けるための事実を並べ立て、巻末には異常なほどの量の注釈で補強しようとしている。回想録の真偽については回想録の最初の発見者とは意見を異にしているらしい。一人前の作家であるという自負があり、見栄を張りたいという様子が透けて見える。 ということはつまり、回想録はアレであって、妻の反論の方がアレであって、世に出回っているあらすじはつまりアレであって、、、ということになる。この構造的ないたずらがとても面白い。訳者までもが、この編者のたくらみに加担したような解説文を寄せているところも笑える。 ちなみに、ある意味本編とも言える回想録の部分は、奇想天外なゴシックホラー的、SF的な冒険物語となっていて、ここだけ取り出してももちろん面白い。 映画化されているが、本全体なのか回想録の部分だけなのか気になるところ。
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