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サキの忘れ物 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2023/08/29 |
JAN | 9784101201436 |
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サキの忘れ物
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商品レビュー
3.6
43件のお客様レビュー
短編小説。それぞれの主人公たちと周りの人々が関わる中で起きた出来事を淡々と描いている。 主人公たちは大抵やる気に満ち溢れてはないし、どちらかというと冷静に周りの人たちを見て、仕方ないと諦観している人物たちが多かったが、様々な人と関わる中で「やってみたい」と感じたことを実行して小さ...
短編小説。それぞれの主人公たちと周りの人々が関わる中で起きた出来事を淡々と描いている。 主人公たちは大抵やる気に満ち溢れてはないし、どちらかというと冷静に周りの人たちを見て、仕方ないと諦観している人物たちが多かったが、様々な人と関わる中で「やってみたい」と感じたことを実行して小さな幸せと日常をつむいでゆく姿がよかった。 印象深いのは買い物するときに「〜が得」「〜すると儲ける」という話はするけど、「〜が好きだから買う」という話はしないという人。登場する人物が皆、あぁこういう人いるなぁという妙なリアルさがあった。
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津村さんの短編集。 高校中退後カフェで働く、自己肯定感の低い千春が、席にサキの短編集を忘れていった女性客との淡いつながりを機に、一歩歩みを進めていく「サキの忘れ物」。 これは本好きの琴線に触れる作品であることは言を俟たない。 「ペチュニアフォールを知る二十の名所」「喫茶店の周...
津村さんの短編集。 高校中退後カフェで働く、自己肯定感の低い千春が、席にサキの短編集を忘れていった女性客との淡いつながりを機に、一歩歩みを進めていく「サキの忘れ物」。 これは本好きの琴線に触れる作品であることは言を俟たない。 「ペチュニアフォールを知る二十の名所」「喫茶店の周波数」あたりは、なんとなく森絵都さんの『できない相談』を思い出した。 そういえば、本書の帯に森さんがコメントを寄せている。 「行列」も面白い。 人々が期待しながら、何時間も行列になって待っている。 その詳細がリアルに描かれていくのだけれど、何の行列かは、最後まで読者には明かされない。 まあ、カフカなんかと比べれば、不条理感は比較的耐えられるもののような気はするが。 むしろ読書経験によって心がざわつくのは「真夜中をさまようゲームブック」。 短い章段が連なっていて、章末には読者が主人公(「君」)の行動を選択することによって、次に読み進める章段が決まっていく形式の小説。 鍵をなくして、深夜自宅に入れなくなってしまった主人公がやむなく夜の街に出てやりすごそうとするのが物語の発端。 正直、自分ならどれも取りたくない選択肢があったりするし、主人公は筆者の忠告通り、割とすぐに死んでしまったりする。 夜中の街をさまよう主人公と同様に、こちらも作品世界からなかなか抜け出せないのだ。 なるほど、こういう読者の巻き込み方もあるんだなあ、と思いながら、「本を閉じ」た。
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111108さんにおすすめしていただいて。いつも素敵な作品を教えていただきありがとうございます。 どの小説の人物の日常も地味でうだつが上がらないのだけど、その中のほんのわずかな転機や喜びが描かれていて、なんだか読んでいて励まされるような気持ちになった。適度な距離感で幸運を祈って...
111108さんにおすすめしていただいて。いつも素敵な作品を教えていただきありがとうございます。 どの小説の人物の日常も地味でうだつが上がらないのだけど、その中のほんのわずかな転機や喜びが描かれていて、なんだか読んでいて励まされるような気持ちになった。適度な距離感で幸運を祈ってくれるような1冊。 職場で、自分は便利な駒あるいははけ口にすぎないと感じ、出勤の足が重いなあという時、通勤電車で何度もほのかに気分を上向かせてもらった。 「どこもかしこも居心地が悪いのだとしたら、それは柵や檻の外を選ぶだろう」という文章もすごく好きだった。津村作品はいつも心に響く文章がある。 どの作品も捨て難いけど、「サキの忘れ物」「河川敷のガゼル」「隣のビル」が特に好き。
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