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ジャンヌ Jeanne,the Bystander 祥伝社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 祥伝社 |
発売年月日 | 2022/12/09 |
JAN | 9784396348434 |
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商品レビュー
4
6件のお客様レビュー
数ヶ月前であれば、恐らくただのSFミステリ=エンタメ小説とだけ思って読んだことだろう。 これは日本の抱える人口動態の問題、その行く先を端的に指し示したものであると同時に、「人間とは何か?幸福とは何か?」の問いに応えようとする哲学の入門書でもある。 失われた30年の結果である...
数ヶ月前であれば、恐らくただのSFミステリ=エンタメ小説とだけ思って読んだことだろう。 これは日本の抱える人口動態の問題、その行く先を端的に指し示したものであると同時に、「人間とは何か?幸福とは何か?」の問いに応えようとする哲学の入門書でもある。 失われた30年の結果である「今」、そして「未来」において人は幸福をどのように考えるとよいのか?善悪の問題や介護問題、そして国防問題も絡めながら考えられるよい書籍だった。 個人的には、コスモ・バビロニア主義における洞察力に優れた人(ニュータイプ)による統治が最も合理的であるように思うが、この論を出した瞬間、差別の問題が起きてくる。ヒトはその本質から差別の問題をクリア出来ておらず、合理性は必ずと言っていいほど分断と憤怒の嵐を巻き起こす。恐らくは既得権益層の損失、自己愛憤怒を刺激するというのが大きな理由だ。個人主義がはびこるのをヒトという種は抑制できていない。「智を以て愚に説けば必ず聴かれず」ということにつながるのはこういうところからだろう。 加害者(悪)がなぜそうなったのか?について知ろうとしない、考えを止めている点で、結局ジャンヌも中途半端な知識しか持っていないことになる。それでいて善悪を断じるとは片腹痛い。思考し続けることを止めた存在は決して神ではない。それ故、ジャンヌは別のタイプの人間…というだけの存在、不完全な存在という枠は出ていないものと考えられる。 進化という歴史の中でなぜ悪存在が淘汰され得なかったのかについて思いを馳せるべきだろう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
―― 正統派SFミステリ。 アシモフのロボット三原則を軸に、その原則に従いながら人間を殺害したロボット、という特異点的存在であるジャンヌを中心としたミステリ。 アイデアは充分。テーマ的にも私の好きな「有り得べき未来」に向かっているようでとても期待して読んだのだけれど……残念。ストーリィも設定もその成り立ちも、ありとあらゆるものを説明し過ぎていて興が削がれた。如何にも最近の小説、という感じ。 なにしろ筆が甘い。すべてが直接的で、ストレートに過ぎる表現ばかりが続くのでキャラクタの造形も甘い。そうすると繰り広げられる思惑や思想も甘くなり、重々しくテーマを語っても甘くなる。 これだけのものを書けるのになんでこの甘さに気が付かないのかなぁ、と思うのだけれど。なんというか、読者の不在を強く感じた。まじで編集はなにしてんの? という感じである。 そのむかし、大学の文芸サークルに代表されるような、文壇の手前に位置するようなコミュニティには必ず「読むプロ」のような存在がいて、自分じゃ大したものを書けやしないのに(いや、書けるやつもいるが)ひたすらひとの作品を読みまくって、的確なダメを出しまくって蛇蝎のごとく嫌われるか鬼神のごとく畏れられるかしている、そんなイメージがあるのだけれど、そういう存在が居ないのだろうなぁ、と思う作品がここのところ多いように感じる。うーむ。 いずれにしても、残念。 ☆2.4
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ロボット三原則があるにも関わらず殺人を行ったロボットの犯行理由、原則の回避方法を巡るお話 以下、公式のあらすじ --------------- 彼女は、なぜヒトを殺せたか? 改変不能の「自律行動ロボット三原則」を埋め込まれ、バグもなく正常な家事ロボット〈ジャンヌ〉。 “不可能な...
ロボット三原則があるにも関わらず殺人を行ったロボットの犯行理由、原則の回避方法を巡るお話 以下、公式のあらすじ --------------- 彼女は、なぜヒトを殺せたか? 改変不能の「自律行動ロボット三原則」を埋め込まれ、バグもなく正常な家事ロボット〈ジャンヌ〉。 “不可能な殺人”を犯した彼女に対峙した刑事が、衝撃の事件の先に見たものとは―― まさに今読むべき、大興奮のSF×ミステリ・エンターテインメント! 「私は、自律行動ロボット三原則に逆らう行動はできません」 人口が5000万人まで減少した2060年代、ロボットの存在は珍しいものではなくなっていた。 ある日、警視庁の刑事・相崎按人は“ありえない”現場を目撃する。 政府主導で開発された家事用人間型ロボットが主人を殺害し、風呂場でその死体を洗っていたのだ。 〈ジャンヌ〉と名付けられたそのロボットにも、人間に危害を加えることを禁じる「自律行動ロボット三原則」が組み込まれ、絶対に人を殺せないはずだった。 バグが疑われたが、科捜研での検査では異常なし。 急遽、製造元のJE社への護送を命じられた相崎は、道中、謎の武装集団の襲撃に遭う。 その絶体絶命のピンチから相崎を救ったのは、なんとジャンヌだった……。 --------------- 犯行の現場の状況から、物語の定番の展開が推測できてしまう それを基に原則が回避できた理由も容易に想像がつく 終盤のあのセリフまんまを序盤に思いついてしまう自分の物語摂取量が嫌になっちゃうね でもまぁ「どうやってそこに至ったのか?」という予測はちょっと外れたかな シェリーの神格化めいた展開ではなかったですねぇ 聖書での殺した人数の最多は神という余計な知識がある故か…… 襲撃者達の背後の存在も、殺人ができるロボットを欲していて、それなりの権力を持っているという条件なら大まかな該当組織は一つでしょうよ なのでストーリーとしてはまったく意外な点がなかったけれども 読み終えるとまるで哲学書を読まされたような読後感 襲撃者を撃退した際にジャンヌが語ったフレーム問題回避の説明 思考プロセスがを有限に設定されているからというけど、5段階というのはプロセス数が少なすぎないか? もしくは、副次的な事象を細かく分ければいくらでも人間を害せるように思える このセリフ自体がフェイクの可能性もあるんだけど、ここで敢えてジャンヌが「嘘」をつく必然性が思い浮かばない という事は、正規の思考ルーチンなんでしょうねぇ ってか、本当に危ういな リアルにAIの法整備が行われるケースを考えると、かなり難易度が高いのを実感する 今更ロボット三原則なんて単純なものは採用しないだろうけど 今作のような大原則があったとして、附則や細則の文言や言葉の定義が難しい 何をもって対象を判別するのか?という問いの絶対的な正解はない 世の中にあふれる他のSF作品でも、アンドロイド、サイボーグ、ヒューマノイドの人権に関する議論がされてあったりするし 明確な定義ってその時代や社会背景によって如何様にも変化しうる リアリティという観点では杜撰な設定だけど、思考実験としては面白い題材でした
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