ザ・ロイヤルファミリー 新潮文庫

早見和真(著者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2022/11/28
• JAN: 9784101206936

商品レビュー

2024/11/12

**ザ・ロイヤルファミリー**
**早見和真／著**

**あらすじ**
子は、親を超えられるのか。馬主とその家族の20年を描く圧巻のエンターテインメント長編。
「絶対に俺を裏切るな――」。父を亡くし、心に空虚さを抱えた税理士・栗須栄治は、偶然当たった馬券をきっかけに、人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」のワンマン社長・山王耕造の秘書として働くことに。競馬に情熱を注ぎ、〈ロイヤル〉の名を冠した馬の勝利を追い求める山王と共に有馬記念を目指し、家族と競馬、そしてその背景に流れる20年間の波乱が描かれる。山本周五郎賞受賞作。

**感想**
読んでいて、自分が子供の頃に夢中になっていた「ダービースタリオン」という馬育成ゲームを思い出しました。知られざる馬主の世界、その独特な人間関係を垣間見られるのがこの物語の魅力です。馬の血統の継承と親子の血の継承が交差し、家族の絆やチームの結束が、競馬の舞台を通じて丁寧に描かれていると感じました。

この物語を読むと、競馬という一種のギャンブルに対するイメージが少し変わります。普段はギャンブルに興味がない私ですが、背景を知ることで、馬券の一枚一枚に込められた思いやドラマが興味深く思えてきました。もっとも、競馬の一般的な回収率は75%で、掛け金の25%は手元に戻らないと知り、軽い気持ちで参加するのは難しいとも感じますが、それでも競馬の奥深さと馬主や関係者の情熱を感じられる一冊でした。

2024/11/12

競馬を題材にした小説は、古内一絵さんの「風の向こうへ駆け抜けろ」シリーズを読んだことがあるが、その女性ジョッキーや厩舎目線の疾走感あるストーリーに対して、「ザ・ロイヤルファミリー」は同じ競馬が題材でも全く趣の違う、オーナー目線の重厚な雰囲気の物語。
馬券はほとんど買わないし、競馬に詳しい訳ではないけれど、スポーツとして観るのは好き。業界の知らなかったことを知れたので、またひとつ観るポイントが増えて楽しみ。特に、オーナーに対する印象がちょっと変わったし、“推し”を見つけて血統を追いかけていくのもおもしろそうだなと思う。

タイトルのとおり“ファミリー”を描いた物語でもある。主人公 栄治に対して、共感できるところもできないところあったけれど、社長との圧倒的な信頼関係には、胸が熱くなった。

クライマックス、有馬記念に向かっていくところの高揚感がよかった（ちょっと長かったけど…）。
物語としては、はっきり描かれていない部分のロイヤルファミリーの戦績一覧も、ここまで紆余曲折を辿ってきた登場人物たちの想いや表情が想像され、読後もしばらく物語の余韻も楽しめた。

2024/11/08

競馬の知識はほとんどゼロに近いが、壮大な物語を目の前にページをめくる手が止まらなかった。
「馬から馬へ人から人へ」この繋がりがすごく面白かった。