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このやさしき大地
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このやさしき大地

ウィリアム・ケント・クルーガー(著者), 宇佐川晶子(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2022/10/04
JAN 9784152101747

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商品レビュー

4.3

22件のお客様レビュー

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2024/05/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・あらすじ 1932年大恐慌時代のミネソタ州が舞台。 孤児であるアルバートとオディ(オデュッセウス)の兄弟はリンカーン救護院というネイティブインディアンの子供たちが集団生活を送る施設で暮らしていた。 横暴な施設長や管理人から支配され、鞭を振るわれる日々。 そんな中オディは横暴な管理人を殺してしまい、兄のアルバート、スー族のモーズ、孤児になったばかりのエミーとカヌーにのってミシシッピ川を下り兄弟のおばがいるセントポールを目指す旅に出る。 ・感想 「ありふれた祈り」の姉妹作らしく「祈り、信じ、ゆるすことの大切さ」という明確なテーマがあった。    川を下る中で様々な人々(家族)と関わりあい12歳の少年オディは成長していく、正統派な成長冒険譚。  住む場所と家族をもたない「さすらい人」である4人の子供たちは旅を続ける中で、理解し合い反発し繋がりを深めていく。そして自分の土台となる「家族・居場所・自分の家・ルーツ」を見つけていく。  現代日本では宗教というか信仰心は割と敬遠されるものではあるけど「信じるものは救われる」という精神性自体は大事なものだと思ってる。  自分の土台となるもの、根をはれるものがある人はやっぱり強いとおもうし。    特にエピローグがジンときた。  「広大で不可解な大きな流れがあってその流れは捻れていたり澱んでいる。それらをコントロールしようとしたり、流れる先を心配するのは無意味である。」  一種の諦観ではあるけど、だからと言ってやるべき事から逃げたり目を逸らすのではなく、人々がお互いを助けあい「信じて、祈り、ゆるす」事が大事だと説く作者の一環した哲学があった。 時代的に大恐慌、貧困、ネイティブインディアンへの迫害など様々な社会問題になすすべなく振り回される市井の人々もかかれている。  登場人物たちも個性的でよかった。  好奇心旺盛で無鉄砲な行動力のあるオディ。  年長者として責任感をもち思慮深く、弟を大事に思うアルバート。  幼少期に過酷な経験をしたにも関わらず大らかで優しいモーズ。  不思議な力をもち、天真爛漫さで3人を癒すエミー。    子どもたちが辛い目にあうけど、過酷な施設生活の中で味方となってくれたハーマンや生きていく上で必要な知識を授けてくれたボーイスカウトのミスターサイファーがいてくれて良かったー。  あと登場時怪しすぎてお布施目的のエセ新興宗教団体に思われた「神癒伝道団ギデオンの剣」のシスター・イヴも強い信念を持った誠実な人だった…割と終盤まで怪しんでてごめん。  おばの家に辿りついてからももう一展開あって、黒い魔女まじで最悪な種類の人間だなって感じだった。  解説のおかげでこの作品がより深く理解できた。  主人公の名前がオデュッセウスだしホメロスの一大英雄叙事詩「オデュッセイア」のテーマが「故郷への帰還(らしい)」なので、そこにオディの動機があるのも納得。(ただ私の知識は世界史の授業とFGOから得た偏ったものw)    ミシシッピ川と4人のさすらい人が描かれた表紙のちょっと切ない絵も良かった。   

Posted by ブクログ

2024/04/23

すごく読みやすくて深く没入でき、爽やかな読後感。 子どもがその年ごろになったらぜひ読んでもらいたい話でもある。 頼れる家族、仲間という括り、どんなに大変な環境でもへこたれず、他人に手を差し伸べられる人々(逆の人もいるが)、勇気をもらえる話だと思う。 1930年代のアメリカのことは...

すごく読みやすくて深く没入でき、爽やかな読後感。 子どもがその年ごろになったらぜひ読んでもらいたい話でもある。 頼れる家族、仲間という括り、どんなに大変な環境でもへこたれず、他人に手を差し伸べられる人々(逆の人もいるが)、勇気をもらえる話だと思う。 1930年代のアメリカのことは無知だったが、インディアンなど、急に生きづらくなった人が多かったんだなぁ、、 あと過去が見えたり未来が見えたりという人もいるが、最初こそ"リアルさとは…"と思ったが、だんだん抵抗がなくなっていく不思議。 折を見て読み返したい。

Posted by ブクログ

2024/03/31

“ひとりじゃないから” “ぼく”ことオデイら4人は、孤児院から脱走してミシシッピ川をカヌーで下りセントルイスへ旅をする。 その道中でさまざまな出来事と遭遇し、やがて4人はそれぞれの道を探し始める。 少年たちの成長を描くロードムービーとして、王道を進む物語だが、さすが「ありふれ...

“ひとりじゃないから” “ぼく”ことオデイら4人は、孤児院から脱走してミシシッピ川をカヌーで下りセントルイスへ旅をする。 その道中でさまざまな出来事と遭遇し、やがて4人はそれぞれの道を探し始める。 少年たちの成長を描くロードムービーとして、王道を進む物語だが、さすが「ありふれた祈り」の作者で読み進めることに飽きさせない。 ネイティブ・アメリカンの処遇や世界恐慌がもたらした農民たちの貧困と流浪など、20世紀初頭の出来事が挿入されており、読後感は濃厚。 ただ、同時代を描いたスタインベック『怒りの葡萄』と比べてしまい、力強さに物足りなさを感じた。 でも、面白かったです。

Posted by ブクログ

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