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トーヴェ・アルステルダール(著者), 染田屋茂(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 KADOKAWA
発売年月日 2022/08/31
JAN 9784041128848

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商品レビュー

3.5

17件のお客様レビュー

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2024/08/01

14歳だった少年が罪を犯したとして地元を離れたが23年後戻って来た。慌てて実家を後にする彼と、バスルームで発見された父親の刺殺体。彼が殺したのか?その土地で生まれ育った女性警察官・エイラが捜査にあたるが疑わしい過去が掘り起こされていく。初めて読んだ北欧ミステリ。スウェーデンで数々...

14歳だった少年が罪を犯したとして地元を離れたが23年後戻って来た。慌てて実家を後にする彼と、バスルームで発見された父親の刺殺体。彼が殺したのか?その土地で生まれ育った女性警察官・エイラが捜査にあたるが疑わしい過去が掘り起こされていく。初めて読んだ北欧ミステリ。スウェーデンで数々の文学賞を受賞した作品らしいがとても面白かった。老人の死から23年前の事件の真相に繋がる過程が読み応えを感じた。真相に近付いた時のエイラの葛藤も理解出来る。警察の杜撰な捜査で人生を変えられた彼が最後まで気の毒ではあったかな。

Posted by ブクログ

2024/05/08

スウェーデンの北からストックホルムへ、自動車を運ぶ仕事をしているウーロフは久しぶりに実家に寄ってみると、父親が浴室で死んでいた。実はウーロフは23年前、14才の時に16才のニーナを殺したとして刑に服し出てきた、という過去があった。クラムフォシュ署の警察官補のエイラは捜査に赴くが、...

スウェーデンの北からストックホルムへ、自動車を運ぶ仕事をしているウーロフは久しぶりに実家に寄ってみると、父親が浴室で死んでいた。実はウーロフは23年前、14才の時に16才のニーナを殺したとして刑に服し出てきた、という過去があった。クラムフォシュ署の警察官補のエイラは捜査に赴くが、そこは自身の育った地域に近い所だった。そして近所の住人はさらに前の事件に、そして自身の家族さえもが23年前の事件とのつながりが見えてくる。 クラムフォシュはスウェーデン北部地方で、にぎやかなところではなく、数十年前は木材の切り出し工場がたくさんあったが、今は1つの工場が残るが機械化され過去の何倍もの製材をしている、そして昔は川で木材を流していた。また夏の明けない夜、冬の長い夜、など知り得ない高緯度地方の描写が興味深い。北欧小説に惹かれるのはここか。 事件そのものは、思ってもいない結末だった。事件は少年と少女の性の事件だが、著者のあとがきでは実際に起きた1985年の集団暴行事件や1998年の誘導自白をヒントに創作したとあった。 少年少女期の心情行動の残酷な一面が現れた事件ともいえる。少女殺害とされる事件は1996年に起き、その時ウーロフは14才とあるのでウーロフは1982年生まれ。事件が23年前とあるので現在時点は2019年。出版は2020年なので今現在を舞台に書いたことになる。 紙の地図帳とグーグルマップで検索しながら読んだが、本に簡単な地図をつけて欲しかったなあ。クラムフォシュは地図帳にもグーグルでも出てきたが、スウェーデン発音で出てこないところもあった。場所を分かって読みたいのだ。 トーヴェ・アステルダール:1960スウェーデンマルメ生まれ。2009年「海岸の女たち」でデビュー。本作で2020年度スウェーデン推理作家アカデミー最優秀長編賞、2021年のガラスの鍵賞受賞。 マルメで生まれ、ウメオとストックホルム郊外のヤコブスベリで幼少期を過ごす。高校卒業後ストックホルムの精神科病院に精神科専門看護師として勤務。20代半ばにフィンランドとの国境に近い北部の街カーリクスの学校でジャーナリズムを学ぶ。そこでのちに人気作家となるリザ・マークルンドと知り合い親交を深め、のちにマークルンドの作品のほぼ全作品の編集を行う。その後カーリクスの南方にある街ルレオに居を構えて、執筆活動を始める。フリーのジャーナリスト、テレビやラジオの番組編集者から始め、以後20年にわたって映画、テレビ、ラジオの脚本を書き続けた。20年近く前、オーダーレン地方に家を買う。 2020スウェーデン刊 2022.8.31初版 図書館

Posted by ブクログ

2023/06/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

北欧スウェーデンと言えば、美しい森と湖。オーロラ、白夜。「魔女の宅急便」に出てくるような綺麗な街並み。 そして手厚い福祉で幸福度も高いが、税金も高い国、というイメージ。 しかし、この小説では森も川もそして森、川を含んだ風景も、美しく綺麗には書かれていない。暗く全てを呑み込んでしまう恐ろしさを森や川、風景に感じてしまう。その森と川で起こった23年前のレイプ殺人事件。若い男達に、誘うように微笑みながら森の中に入っていくリーナ。他の男達にからかわれながらリーナの後を追う最年少14歳のウーロフ。この事件が、そして森や川が、この物語の全てを支配する。 物語の始まりはウーロフの父、スヴェン・ハーグストレームが殺されているところから。たまたま家に立ち寄ったウーロフが父の遺体を見付ける。しかしウーロフは23年前のレイプ殺人事件の加害者。つい逃げてしまうが、捕まる。読んでいるこっちは、ウーロフが犯人でないことだけはわかる。真犯人は誰か? この小説は所々で、レイプ犯に対して徹底した嫌悪、憎悪を描いている。レイプは許されない犯罪であり、許してはいけない犯罪でもある。しかし、だからと言って行きすぎな制裁をしてはならない。例えば刑期を終えた者が反省し静かに生涯を終えたいと思っているのに、有らぬ疑いを持ち、声高らかに「制裁を」と強調して叫ぶこと。 或いはレイプ犯の疑いある者を無理やり犯人にする冤罪。この小説は、それも描いている。 何はともあれ、次から次へと目紛るしく変わる展開。次々と出て来る新事実。そして一癖も二癖もある容疑者とその家族。煽る群衆と軽薄な若者達。真面目な普通の女性警部補である主人公と自分に影響がない範囲で主人公に同情的な同僚たち。これ等の登場人物たちは、見方によっては魅力的。 この小説は面白い。さすがスウェーデン推理作家アカデミー最優秀長篇賞、スカンジナヴィア推理作家協会ガラスの鍵賞W受賞作にして、米国でTVシリーズ化も決定している小説。久しぶりに海外のサスペンスを読んだが、後を引く面白さだった。

Posted by ブクログ

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